変な人が書いた成功法則 [読書・文学]
斎藤一人著『変な人が書いた成功法則』を読む。斎藤一人は「銀座まるかん」の創業者であり、中卒から始めて、高額納税者番付の実質1位を何年もキープ、2003年には累積納税額まで1位になつてしまつた超成功者である。かういつた人は「変な人」、つまり独自の哲学を持つた人が多く、なかなか面白い。で、実はこの本は可能涼介に勧められたのだけれど、読んでみてなかなか面白かつたので、ここにその内容を紹介する。
一言で言つて、斎藤一人の成功法則とは、困らない、といふ事なのだ。京極堂風に言ふと、「この世には困つたことなどなにもないのだよ、関口くん」、といふ事になる。我々が「ああ、困つたなァ、困るなァ」と思つてゐる事は、実は困つたことなのではなく、神さまからのプレゼントなのだ。我々は全て、成功するべく運命づけられてゐる。全ての人間は成功するために生まれてくる。が、大多数の人間は成功しない。それは何故か。それは、やり方・考へ方が間違つてゐるからなのだ。我々が出会ふ「困つたこと」とは、神さまが「今のやり方・考へ方は間違つてゐるぞ」と教へてくれてゐること、つまり神さまからのプレゼントなのである。だから、困つたことに出会へば、「ああ、神さまが私に何かを教へてくれやうとしてゐる。私のやり方・考へ方のどこが間違つてゐるのだらう? いま直面してゐる問題の中に、そのヒントがあるはずだ」と考へ、行動すべきなのだ。それによつて困つたことがなくなれば、我々は成功への階段を一段上つたことになるのである。
たとへば、斎藤一人はこのやうな例をあげてゐる。斎藤一人の友人で、同じくバリバリ働いてお金を儲けてゐる人がゐるのだが、その人にはいくつになつてもサーフィンばかりして働かない弟がゐた。その人は常にその弟のことを「困つた奴だ」と愚痴つてゐたのだが、斎藤一人に「本当にそれは困つたことなのか?」と諭され、「考へてみれば、弟が遊んでゐやうと、誰も困らない。私は弟の生活費ぐらゐ出しても別に困らないし、弟もイヤな仕事をしなくてすむので困らない」と考へ方を変へた途端、弟が働き始めたといふのである! つまり困つたことがなくなつたのだ。…と、これだけ聞けば、なんだか神懸かりのやうだが、これはかういふ風に考へるべきだと思ふ。まづ、弟のことを「困つた奴だ」と思つてゐる時は、生活費を渡すにしても嫌々だつたらうし、説教もしただらう。それなら、弟の方も「うざいなー、別にいいぢやないか」と反発してゐただらうが、本当に心の底から「別に困つてないからいいや。それどころかこれは誰も困らない最善の方法なんだ」と思つて、弟に接して生活費を渡すやうになれば、弟の方も反発心がなくなり、悪いといふ気にもなつただらうし、なによりそんな兄の姿に惹かれて、働き始めたのだらう、と。
これは考へ方が間違つてゐたので、それを変へただけで事態まで一変した例である。困つたことはなくなり、(弟まで働くやうになつたので)成功への階段をさらに一歩上つた感じである。なるほど独特の考へ方だが、ある種の説得力はあると思はれる。トモコはどう思ふ?
「全く正しいと思ふわ。実を言ふと私もねェ、困つたことがあつたのよ。それは早くに起きられない、といふ事。おかげでここ数年は映画を観ることができなくて。上映時間に間に合はないのよ。それで困つたなァ、と思つてゐたんだけれど、別に映画を観なくても死ぬ訳ぢやないし、DVDで観てもいいか、と考へ方を変へたの。さうしたら、家の近所に映画館が出来るのよねー。二条駅のところに、シネコンが。11スクリーンもある。これで映画を観られるやうになると思ふわ。確かに、考へ方を変へるだけで、事態は変はるのよねー」
そ、それは一寸違ふのでは…。いや、違はない、のか?
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