京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > レビュー >

サブメニュー

検索


月別の過去記事


2016年06月10日(Fri)

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ 強制起訴シリーズ

起訴者: マツヤマ

強制起訴シリーズ66弾

『ボウリング・フォー・コロンバイン』『シッコ』など、アメリカの社会問題に切り込むドキュメンタリーを撮り続けているマイケル・ムーア。その彼がある日、アメリカ国防総省に呼ばれる。彼らの悩みは、世界最強の軍備を誇りながらも、戦争に勝てなくなった事だった・・・。
それは何かアメリカの制度そのものに問題があるに違いない。その制度の不備を補うべく、他所の国に行ってその国の素晴らしい制度(のアイデア)を持って帰ること。それがマイケル・ムーアに課せられたミッションだった。他国に乗り込み(侵略し)、その国の素晴らしい制度を持ち帰ること。かくして、マイケル・ムーアによる世界侵略の旅が始まった。

ヤマネ
・・・すんません。ボク、途中で寝ちゃいました。
マツヤマ
あー、オレもかなり、睡魔と闘ったよ。でも・・・なんか怒りも沸々と沸いてきてなぁ・・・なんぢゃこの下らない映画はー!!!
元店主
いや、全く。私もあまりのしょーもなさに呆れ果てました。ていうか、なんかこれ、テレビの三流ドキュメンタリー番組みたいじゃないですか。映画として公開してお金をとる様なもんじゃないですよ。
ヤマネ
はい、ここでマイケル・ムーアのコメントを読み上げます。「あなたが目にする今年の最高傑作だという自信があります。面白くて、空いた口が塞がらない、2時間を最も有効に使えます(プライベートに割く時間としても短いしね)。」・・・な、なめとんのかー!呆れて空いた口が塞がらんわー!
マツヤマ
2時間をドブに捨てた様なもんだな。映画を面白くするアイデアでもとりに行った方が良かったんじゃないか。
元店主
私はマイケル・ムーアとかあんま興味ないんですが・・・それでも確か“突撃アポなし取材!”とか言ってた様な。でも、今回のこれは、あまりに馴れ合いの極地というか・・・。
ヤマネ
マイケル・ムーアも前はこんな事はなかったですよ。意見の違う人の所に行って、敢て相手の嫌がる事を質問して、相手を怒らせたり。その様がスリリングで面白かったんですけど・・・今回のはスリルゼロ。相手が喜びそうな事ばっかり言って,確かに馴れ合いの極地でしたねー。「嘘だろ?嘘だろ?アメリカならそんなこと考えられないぞ!」「いや、うちではこれフツーだから(ニンマリ)」とか。気持ちワル!
元店主
これらヨーロッパの国々にも悪い所はあるだろう、しかし今回は侵略して戦利品を穫るのが目的だから、いい所だけに注目する!・・・とか最初にエクスキューズしてますが、そんな国の制度のいい所だけとるなんて不可能なんだから、これ全く無意味という事です。そんな無意味で自己満足なだけのものを2時間も見せられるなんて・・・。
ヤマネ
イタリアの企業は有給休暇がバンバンあって、みんな給料貰いながらバカンスで遊びまくってる・・・とか最初に出て来ますが、イタリアってそもそも失業率メチャ高いですし。国の財政もボロボロだし、少子化に関してはアメリカより酷いですよ。「きみたち一流企業に勤める人間がカネ貰って遊んでるから、他の国民が苦しんでるんじゃないか?」とか、突っ込むのが本来の突撃取材ですよね!
マツヤマ
ノルウェーの刑務所は開放的で快適、って話があったが、ノルウェーの殺人発生率って、周辺国のスウェーデンやデンマークより高いんだよな。って事は、「やっぱ刑務所が快適だと、人を殺すのも気楽にできるんだねー」とか突っ込んで欲しいよなぁ。
元店主
そもそも凄く内向きなんですよ、この作品。アメリカ国民のみに向けて作ってる。要するに、あまり外の世界に関心がないと言われているアメリカ人に、「ほら世界はこんなだぞ、アメリカの現状がスタンダードじゃないぞ」って言ってる訳じゃないですか。そういった内向きな点も、完全にテレビ的で、映画として世界に出す様なもんじゃないですよ、これ。
ヤマネ
アメリカ人とは逆に、いい意味でも悪い意味でも外の世界に関心がありすぎる日本人的には、目新しい情報はなにもなかったですよね。むしろ、あまりに恣意的に表層のみをつまみ食いしてるのが見え見えで、しらけました。
マツヤマ
フィンランドは宿題をなくして学力世界一になった、とかさ。それだけ聞いたらまず、その学力って何?誰が測ったの?って疑問に思うのが当然だろ。そこらに全然触れないからさ、あまりに薄っぺらだよ。
元店主
確かあれは、論述中心のテストの話だったはずですよ。まぁ、彼らは自分の意見を述べる訓練みたいな授業をしてますから、成績は良かったんでしょう。でも、例えば計算力とかを中心に据えたテストだと、ガラッとトップの国は変わるんですよ。測り方の問題ですよね。何のための学力なのか、その学力で何ができているのか、問題点はないのか、などを考えないと、別に“学力世界一”とかいっても、それがどうしたの?って話ですよね。
マツヤマ
だいたい外人に自国の批判やらせる、ってのが下品なんだよ。フランス人の子供にアメリカの給食を見せて、「おえー、不味そうー」とか言わせたり。どっかのオバさんに「お金を貰ってもアメリカには住みたくないわ!」とか言わせたり。嬉しそうな顔してそれ聞いてるんじゃないよ、マイケル・ムーア!
ヤマネ
ははは。マツヤマさんは普段は反米的なのに、なんかアメリカ人の肩を持ってるみたいですね。
マツヤマ
いや、オレもアメリカは色々と酷い所のある国だと思うけど、そこに住んでる人たちも居るんだから。彼らにとったら、いくら酷くてもそこは母国だよ。むろん、いい所もいっぱいある。それをあんな一方的で、薄っぺらで、不誠実な批判を投げかけたら、失礼だよ。マイケル・ムーアみたいな“インテリ”はさ、けっきょく自国民に偉そうに説教たれて、自らの権力欲を満たしたいだけなんじゃないのか?って勘繰ってしまうよ。
元店主
あとは、ちょっと女性の持ち上げ方が異常でしたよね。まるで世の中、女性に任せれば何でもうまくいく、みたいな。マツヤマさん的には思う所があるのでは?
マツヤマ
ああ、アメリカ大統領選も近いしな。露骨にプロパガンダっぽい・・・って、マイケル・ムーアはサンダース支持だったはずだけど。まぁ、民主党支持って事だな。・・・クリントンか・・・ヤだなぁ。
元店主
私もクリントンは嫌いですけど、トランプよりはマシじゃないですか。
マツヤマ
・・・・・・まぁ、ここでのコメントは控えさせてもらうよ。
ヤマネ
ボクも女性が輝く社会は素敵だと思うんですけど、映画に出て来た女性経営者の人たちって、印象あまり良くなかったっすね。あれは、わざと?・・・な訳ないか。
元店主
サシャ・バロン・コーエンなら、あそこで「女性は男性より脳みそが少ないのに、よく経営なんか出来ましたね」とか言って、相手をぶち切れさせたのになー。なんかヌル過ぎますね、マイケル・ムーア。
マツヤマ
そうだよ。一応自分はアホでマヌケなアメリカ白人を気取って、それで笑いをとろうとしているけど、全然だよ。せいぜいフランス人のコックに、「ハンバーガーを食べた事がない?それじゃ一人前とは言えないな」とか言うぐらい。ぬるー。もっとさ、ハンバーガーを口いっぱいに頬張りながら、小洒落た給食に向かって、「男の子たちをゲイに育てるつもりか?」ぐらいの事を言ってほしいよ。大体、ギャグのレベルが低過ぎるんだよ。冒頭でいきなり「戦艦ロナルド・レーガン号に乗って・・・」って、寒過ぎ!
元店主
完全に世間とずれたオヤジギャグ、って感じでしたね。にしても、何かひとつぐらいいい所はなかったんですかね、この映画。もし我々がこの映画から得るものがあるとすれば・・・
ヤマネ
これからもうマイケル・ムーアの映画を観なくてもすむ、って事じゃないですか。
元店主
やっぱそれか・・・。
ヤマネ
あ、そういえば『デッドプール』を観たんですよ。もう最高!
元店主
おお!私も観たよ、デップー。良かったよな、デップー。おもろかったわー。
ヤマネ
そうですよ。いくらダメな所があろうと、アメリカ文化は『デップー』を作る事ができるんですから。やっぱ素晴らしいです!
マツヤマ
このマイケル・ムーアの映画もアメリカ文化だけどな。
ヤマネ
・・・まぁ、文化には良い所もあり、悪い所もあり、って事で。マイケル・ムーアと違って、我々は悪い所も観てますからね!(泣)・・・で、6月の課題映画は『クリーピー』にします!ではー。

Comments

投稿者 オーソン : 2016年06月10日 23:53

書かれていること全てに同意します(『デッドプール』の感想も含めて)!
これは、かなりキツい映画でした…。全部で何カ国いったのか覚えてないですが、構成がまるっきり同じで、「それ知ってる」ということを何度も繰り返す…。たとえ知らない情報だったとしても、ここまで美化した姿を一方的に見せられるのには辟易しました。そして、昔やってたような、ガチの突撃レポは皆無だったことに驚きました。突撃レポがマイケル・ムーアの売りなのに…。「スロベニアの大統領に突撃レポ!」って…相手側を持ち上げるだけの取材を見せられても困るんですが…。
これ、アメリカ国内での評判がどうだったのかが気になります。売上はかなり悪かったようで、オープニングから終了まで一切劇場が拡大しなかったようです。
マイケル・ムーアはもう一度「チーム・アメリカ」に酷い目にあった方がいいと思います。

投稿者 uno : 2016年06月13日 23:13

こんばんは。
批判されまくってる。。。書きにくいなぁ(苦笑)
初マイケル・ムーアです。
私、何も考えずに「有給とバカンスええなー」「給食美味しそう!」「宿題ないんかー」「学費がタダっていいよね」って見てました。
確かに、これ映画か?とか、まだ続くんかい!とは思いましたし、やらせ感満載な上にマイケル・ムーアがダサ過ぎますが、知らないことだらけで結構勉強になりました。
アメリカ人に向けられてるって鼎談で言われてますが、私は日本にも当てはまる部分は多いんじゃないかなって思い見てました。すぐに思い当たるのは労働時間の問題とか、大阪市の給食問題。あと最近じゃ奨学金の返済が出来ずに自己破産する方がいて問題になっていますし。。。
社会が抱えている問題を、視点を変えることや、話し合いで良い方向に持って行って成功したサンプルの例が並べられてて、なるほどって思うところが多かったです。(微妙なものもありましたが)
ま、これを映画館に行って大画面で見る必要があるのかと言えば、無いんですが。。。
ネタをぶっ込みすぎて問題解決のプロセスが全く掘り下げられてなく(映画だったらそこを見せないと!とは思います)、作品として薄っぺらいですが、出来るところから変えていったら解決する問題って意外とあるんじゃないかな、と思えたのは収穫。(ただ単純なだけかも知れない)
そんな嫌な気分にはならなかったなあ。

投稿者 Anonymous : 2016年06月15日 11:49

>書かれていること全てに同意します(『デッドプール』の感想も含めて)!

ほんとか?なんか手ぇ抜いてるような…

それじゃ「デッド・プール」の具体的な感想でも書いてもらおうかな。って冗談です、半分は。

Yahoo!映画他、映画関係のサイトでは、この映画の評価が軒並み高いことに驚きだ。ウノピのように「これは日本にも当てはまる」というような評価も少なくない。だ・け・ど、この映画の面白さ(面白いと仮定して)は「取りに行った“いいもの”は、ほとんどアメリカが発祥だ」ってことなんだ。これを観たアメリカ人は「えーっ!知らなかった!驚きーっ!」って思う(マイケル・ムーアの期待通りなら)。だから、やはりアメリカ人に向けたものなんだと思うね。ただ、どこの国にも一長一短あるから、もちろん日本にも当てはまる。オレ個人的には、そんなに羨ましいとか思えるようなことはなかったかな。給食なんてバランスさえよければ、適度に不味くてもいいと思うよ。少なくとも家のメシよりはネ。フィンランドの高学力の子供らは一様に容姿がゴスで、何カ国語も話せるのに、クレバーさのかけらもなくて不気味だったのも印象的だったな。

投稿者 マツヤマ : 2016年06月15日 11:50


オレでした

コメントしてください





※迷惑コメント防止のため、日本語全角の句読点(、。)、ひらがなを加えてください。お手数をおかけします。


※投稿ボタンの二度押しにご注意ください(少し、時間がかかります)。



ページトップ