2017年★オパール映画ベスト10 【その2】 [ベストテン]
1位 お嬢さん
- ヤマネ
- では2017年のナンバーワンは、三人とも文句無しの一位! パク・チャヌク監督『お嬢さん』=アガシです!
- マツヤマ
- …いや、別にいいけどさ、君ら一位に選んでないよね。
- ヤマネ
- 何を言ってるんですか、細かいなあ、もう。さっき、僕は『お嬢さん』も一位だって言いましたよ?前回の見直してください。
- 元店主
- 私も…まぁ、実質一位みたいなもんです。
- マツヤマ (ヤマネ)
- 「満場一致でごじゃいます。」
- マツヤマ
- こら、人のセリフを勝手に書き換えるのやめろ!
- マツヤマ (ヤマネ)
- 「秀でた美しさでごじゃいます!」
- 元店主
- とまあ、何とも美しく、面白く、そして痛快な映画でしたね。
- マツヤマ
- ジャンル映画として完璧だよな。
- ヤマネ
- 「顔、耳、足、へそ」と順番に発音するシーンがツボです。普段は日本語で赤ちゃんに対してしか語りかけないですよね。そういう言葉を恥ずかしがらずに役者が言っていると、くすぐったいというか、気恥ずかしい気持ちになります。ああ、この映画を見るのに日本人でラッキーと感じますよね。
- 元店主
- この映画を真の意味で楽しめるのは日本人だろうからね。思い出せば…タルコフスキーの『ソラリス』を観た時に、これ日本人だけが本当には楽しめないやん!と思ったけど、あの時のリベンジが果たされた気分だ。
- マツヤマ
- ああ、あの未来都市な。にしても、随分とリベンジに時間かかったな。
- 元店主
- パク・チャヌクはパク・クネ政権の時にブラックリストに載せられて、映画撮れなかったっぽいんですよね。政権が変わって晴れての復帰!とはいえ、今の政権下では反日を押し出さないと、なかなか撮りにくい…のか、一見反日っぽい作品を撮った訳だけど、内容は全然反日じゃない。うまいですよね。支配/被支配の関係を国単位で描くんじゃなく、むしろ持てる者/持たざる者、男性/女性などの関係で描き、普遍的な問題意識へと開いている。ちゃんと自国への批判的視座もあるし、知性を感じる。似たような事をして失敗したのが『軍艦島』…らしいんだけど、観てないからなんとも言えない。まぁ、難しいですよね、こういうの。
- ヤマネ
- 日本だとジャニーズ使え、不治の病を使え、言われたらそのまま言われた通りに映画とってるからなあ。
- 元店主
- いや、そりゃ韓国でも政府や社会の要請に阿って、単純な反日映画撮ってる人もいるんじゃないの?パク・チャヌクは格が違うんだと思うよ。
- マツヤマ
- 世間とはかけ離れた貴族のような階級が存在する社会背景で、統治下で侍女がいて、収集癖のある登場人物がいて、という舞台設定は…と考えると、原作のイギリスを除くと日本と朝鮮しかない、と監督は思い至ったらしいね。その時代の家屋やインテリアの豪華さや、着物、春画など、美しいものを沢山描けるのにも興奮したらしいけど、観客も監督の熱にガツンとやられるよな。
- 元店主
- この映画はむろん語り=騙りも素晴らしいんですが、美術がまた素晴らしいんですよねぇ。パク・チャヌクのスタイリッシュさはいつも群を抜いている。かっこよすぎ。帰ってきてくれてありがとー!
- ヤマネ
- ほんとに! それに女性の解放がテーマですけど、男性監督でこんなに痛快に取れるんですよね、驚きです。女性ファンの評判がいいみたいですし。やっぱ一位で間違いなし。『アジョシ』に続いて『アガシ』も傑作。おじさんとお嬢さん…きゃああああ。
- マツヤマ
- なんなんだよ。
- ヤマネ
- 次いきましょう、次。
2位 ジョン・ウィック:チャプター2
- ヤマネ
- うっとりするような作品でしたねえ。
- 元店主
- 確かに素晴らしかった。美意識が高く、世界観もしっかり作り込まれているし、アクションのアイデアも豊富で、他に類をみない。この映画でアクション映画はネクストステージに行ったな。
- ヤマネ
- こんなに面白いのに、「頭が悪すぎる映画」「知能指数0」「アメリカでそこそこ流行っているのが怖い」とけちょんけちょんに言われたりもしているみたいですね。ダメな人にはダメなんだろうなあ。もったいない。あんまりディスるとジョンに消されるぞ。
- 元店主
- ジョンはそんなんで怒ったりしないよ。
- ヤマネ
- 前作では犬が殺されただけで…だけでと言ってはなんですが、ロシアンマフィアを壊滅に追い込んでますやん。いつもツイッターで自分の悪口言われてないかチェックしてそうですよ!
- 元店主
- 『2』で は敵役が、ジョンの家を破壊してしまうからな、目の前で。そんなことしたら絶対あとで後悔する、…って、きっと前作を見てなかったんだろうな。
- ヤマネ
- この映画を敢然と無視するマツヤマさんも、ジョンの怖さを知らないんですよね!でもマツヤマさんは同じく87イレブン・プロダクションズが製作した『アトミック・ブロンド』は好きだから、この映画はさらに楽しめるんじゃないですか?
- マツヤマ
- オイオイ、無視なんかしてねーぞ!単に見逃しただけだ!しかもオレは『アトミック・ブロンド』は鼎談でのっけから酷評してただろ。捏造するんじゃない!フェイクニュース流すなーっ!
- ヤマネ
- あ、そうでしたっけ?忘れちゃいました。まぁまぁいいじゃないですか。
- マツヤマ
- ぜんぜんよくなーい!
- ヤマネ
- 僕も『アトミック・ブロンド』はイマイチでしたからねー、やっぱマツヤマさんは『ジョン・ウィック2』ダメ派かも。洒落のわかる大人のキアヌ映画、というジャンルを作ることに成功したアクション映画の金字塔ですけどね。
- マツヤマ
- だーかーら、勝手に決めつけるなっつうの!
- ヤマネ
- リアルに殴りあう『アトミック・ブロンド』と違って、ジョン・ウィック2は銃撃がメインなのです。そして、キアヌは特殊な防弾スーツを着ているという設定だから、時々被弾するのです。銃撃戦で被弾するのが命取りにならないという素敵な設定が効いてくるのです。でも適度に痛そうだから緊張感も放棄しない絶妙なバランス!
- マツヤマ
- それ、あまり褒めてるように思えないぞ。バカっぽいじゃないか。
- 元店主
- いやいや、これは”戦車道だから被弾しても誰も死なない“という素敵な設定によって、女の子による迫真の戦車バトルを成功させた『ガルパン』に通じる素晴らしい設定ですよ。
- マツヤマ
- ますますオレ的には褒めてる様に思えない。
- 元店主
- 最近『キングスマン 2』を観たんですが、『ジョン・ウィック 2』の後だとどうにもアクションが古臭く見えてしまって…かなり辛かったんです。『キングスマン』は、出てきた時は「新しい!」と思ったんだけど、『2』ですでに古臭くなってる…『2』でパワーアップした『ジョン・ウィック』とは大違いです。
- ヤマネ
- なんといっても、「こいつ、何かがすごい‥」と感じさせる厨二的興奮はたまらんもんがありますね!
- 元店主
- 闇の炎に抱かれて消えろー!…みたいな?なんと言ってもキアヌは『カウボーイビバップ』のスパイクを演ろうとした男だからな、信用できる。
- マツヤマ
- すごい観たいと思ってたのに、2人の説明きいてたら、萎んできたぞ。
- ヤマネ
- ハイハイ、次いきましょう。
3位 ベイビー・ドライバー
- 元店主
- まー、順当かな。
- マツヤマ
- オレは最高だったなあ…
- ヤマネ
- …僕もこの映画、1位‥
- マツヤマ
- おいおい、強制起訴シリーズの時に散々異を唱えていただろ!
- ヤマネ
- ち、ちがいます、誤解ですって!読者も気づいているとおり、強制起訴シリーズの時の3人の役回りって、型が決まってますやん。あの時は二人が絶賛するものだから、僕が鼎談を読みやすくするために映画を貶したりする役目に落とし込まれていただけ、というのは暗黙の了解でしょう!僕も褒めたかった!
- 元店主
- へー、そうなの?
- ヤマネ
- そもそも全員40オーバーのおっさんばっかりなのに、いつまでたっても「わーい」とか「!」マーク多用したりとか「おはラッキー」とか20代から変わらないキャラクターを演じていることに疲れきってきているんです!!!!!!!
- マツヤマ
- おっ、ぶっちゃけトークでこの場を逃げ切ろうとしているな。応援するぞ。
- ヤマネ
- なんですと!!
- 元店主 & マツヤマ
- !?
- ヤマネ
- ♩?
- 元店主 & マツヤマ
- ♫
- ヤマネ
- ♪
- 元店主 & マツヤマ & ヤマネ
- 〜🎶
- ヤマネ
- みたいな!映画でしたよね!!
- 元店主
- 何も良さがわかってないな。
- ヤマネ
- はいっ!すみません!
- マツヤマ
- …。一般の映画では、音楽は登場人物には聞こえてなくて、観客だけが聞くものだろ。ラジオから音楽が流れてきたり、演奏シーンでもない限り。
- ヤマネ
- インド映画のダンス場面のように、第四の壁をやぶってくるようなものもありますけどね。
- マツヤマ
- で、この映画では、音楽のみならず雑音、騒音、効果音などを聴いてベイビーは動くし、観客が拾う音を同時に共有している。そのベイビー達と同じ音を聴いているという没入感が気持ちいいんだよな。
- 元店主
- 音楽を聴きながら街を歩いていて、まるで自分が映画かMVの世界に居る様な気がして、思わずポーズを決めて恥ずかしい想いをした事は誰にでもあると思うんだけど…
- ヤマネ
- ボクはないですね!
- マツヤマ
- 同じく!
- 元店主
- …まぁ、そういった嬉し恥ずかし感を全編に渡ってやる、というチャレンジング精神が嬉しい。結構、強引だと思ったけど…この無理矢理感は評価したいな。エドガー・ライトはずっとジャンル映画のパロディを撮ってきた訳だけど、今回のこれはパロディというより、ほとんど批評の様な気がする。気がするだけだけど。
- ヤマネ
- 聾唖のおじいさんの存在がいいですよ。ベイビーは音の無い世界も知っていて、手話もスムーズにこなすし、おじいさんも耳が聞こえなくても音楽が楽しめるんだよ、とばかりに踊ります。俳優も聾唖者を使っていて、健常な俳優がマイノリティーを演技するのではなく、ごく当たり前に障害者が存在しているのがとても良いと思いました。2016年の「聲の形」がそうですが、描くのが難しいとされている障害者の描写を正面に自然に撮っているのがとてもカッコイイ!
- マツヤマ
- なんかキレイにまとめたなー。低評価だったのにー。
- ヤマネ
- いや、だから、あれは役割としてですね…
- マツヤマ
- なぁヤマネくん、それを言ったら7年も続いた強制起訴シリーズが全部フェイクだったのか?って、数少ない読者の皆様が怒って炎上するぞ。数少ないからボヤ程度だろうけど。当然オレはすべてホンネだったけどな。
- 元店主
- 当然私もホンネです。
- ヤマネ
- すみません…ボクも…ホンネ…でした…
- マツヤマ
- 「ベイビー・ドライバー」は?
- ヤマネ
- ダメ…、でした…
- マツヤマ
- カツ丼、食うか?
- ヤマネ
- …(´༎ຶོρ༎ຶོ`)号泣…
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