ダンケルク [強制起訴シリーズ]
起訴者: 元店主
強制起訴シリーズ82弾
1940年。フランスに侵攻したドイツ軍と闘っていた英仏軍は、兵士の数でも武器の装備でもドイツ軍に勝っていたにも関わらず、ドイツ軍の"電撃作戦"にやられて崩壊、敗退して逃げ惑い、フランス西北部の港町"ダンケルク"に追い詰められていた。その数40万人!英仏海峡を渡ればそこはすぐイギリス。しかし背後に迫るドイツ軍。果たして彼らを救う事はできるのか。民間の船までも駆り出す、"ダイナモ作戦"が発動された!
今や監督名で客を呼べる貴重な存在、クリストファー・ノーランの最新作。
- ヤマネ
- …むーん、評価の難しい作品ですね~。嫌いじゃないし、音と映像はさすがだったけど、それだけ、と言えばそれだけの作品、てか。
- マツヤマ
- オレは、好きか嫌いかと言われれば、あまり好きではない…という感じか。臨場感はあったから、それなりに楽しんで観られたんだが…まあ、陰鬱なアトラクションを楽しんだ気分だな。
- ヤマネ
- そうなんですよ、正にアトラクション的な面白さ。あんま心には残らない感じなんですね~。ノーラン嫌いのケンタロウさんはどうでした?
- 元店主
- その変なレッテル、やめてくれない。
- ヤマネ
- へ?でもケンタロウさん、ノーラン嫌いですよね?
- 元店主
- いや、嫌いというか…ノーランの映画って、なんか色々と引っ掛かってヤな感じなんだよね。頭デッカチ感がある。でも…今回は別に引っかかる所はなかったな。かといって、別に「好き」という訳ではないんだけど。…私はね、冒頭のシーンが一番良かった。なんか70年代のヨーロッパ映画みたいで。
- マツヤマ
- あ、わかる。アントニオーニの「赤い砂漠」とか、オレも想い浮かべたよ。
- 元店主
- あれで「おお!」と一気にあがったんだけど、その後は…まあ、悪くはなかったよ。やっぱノーランの画作りはカッコイイ。
- マツヤマ
- 確かにな。ただ、CGを使ってない、って情報にちょっと振り回された感はあったな。オレは基本、感情移入して見る方なんだが、妙に一歩引いて観てしまったよ。それが良かったのか悪かったのか…オレにはよく分からん。
- ヤマネ
- 良かったんじゃないですか。この作品、別に感情移入して見るもんじゃないでしょう。ドラマ的には大した事なかったでしょ。
- マツヤマ
- オレは割りとキリアン・マーフィーの話は好きだったが。
- ヤマネ
- ええ~、ボクは ちょっと…あの男の子、死ぬ必要あったんですか?この映画、 むろん戦場なんでたくさんの人が死んでる訳ですが、死に重みがあったの、あの男の子とフランス兵だけでしょ。どちらも後味悪いですよー。
- マツヤマ
- それをノーランも狙ったんじゃないか?
- 元店主
- あのフランス兵のやつは一種の"カルアデスの板"ですよね。好きやなぁ、 ノーラン、ああいうの。「ダークナイト」でも似たような事やってましたよね。極限状況における人々の倫理を問う、みたいなの。
- ヤマネ
- サンデルのトロッコ問題ですね。なんかやっぱり、ちょっと頭デッカチ感ありますねー。韓国映画ならもっと上手く、情にも訴える形でやるかも。
- 元店主
- ま、それが良くも悪くもノーランのスタイルだから。ではそのスタイル の問題でいうと…この映画では、1週間と1日と1時間を同じ尺で描く、というスタイルを採っている訳ですが、これはどうでした?
- ヤマネ
- わかりにくーい。混乱して、せっかくの緊張感が失われましたよー。
- マツヤマ
- オレもわかりにくかった。なんか、めんどくせえ奴、とか思っちゃったよ。大しておもしろくもないのにさ、わざわざあんな撮り方。
- 元店主
- 私も分かりづらかったんですよね。これ、失敗してると思うなぁ。一応最後は合わせているつもりかもしれませんが、もっとバチッと合わせないと。ノーランって、時間いじくるの好きだけど、あんまり上手じゃない、といつも思うんです。なんか、こう…ね、中途半端というか、頭だけで考えてるというか…。
- ヤマネ
- あ、知ってました?この映画、IMAXシアター用に撮ってるんで、通常の劇場で観たら、上下20%は切れてるらしいですよ!だからIMAXシアターで観ないと、この映画の本当の良さは分からない、と。なんやそれ?納得いかない!
- マツヤマ
- マジかよ。やっぱめんどくせえ奴…。
- 元店主
- 禁欲的で台詞が少ないとことか良かったし、画も音楽もいい。頭デッカチ感も、今回はそこまで引っかからなかった。でも、何か足りない。何だろ。やっぱ…ユーモアかなぁ。「インターステラー」は、 バカバカしい事も生真面目にやってたから、かえってそこはかとないユーモアが生まれていたけど、今回は実話だったからかなぁ…いまひとつ面白味に欠ける感じ。
- ヤマネ
- 「ダークナイト」シリーズも、生真面目すぎてちょっとうんざりしますもんね
- マツヤマ
- もひとつ撮影の事をいうと、実際は何百機かの飛行機が空中戦をやったらしいんだけど、それをわずか数機で表現したのは、感心した。でも逆に、とても33万人も救ったようには見えなかったんだよな。せいぜい数百人じゃない、救えてたの。
- ヤマネ
- この映画、日本で凄くヒットしてるみたいですよ。みんなほんとに面白いと思ってるんでしょうか…よーわからんわ。…てな訳で、10月の課題映画は?
- マツヤマ
- おう。「アトミックブロンド」にするよ。予告編みたら、しょうもなさそうだったから。
- ヤマネ
- そうなんですか?「ワンダーウーマン」「エル」ときて、強い女性シリーズ第三弾!てな感じで個人的には楽しみですが…ではまた次回!アディオス!
Comments
投稿者 uno : 2017年10月01日 20:31
私はIMAXで見ましたが、すごい迫力でした。観終わったあとはクタクタになったんですが、満足しましたよ。
鼎談でアトラクションのようと話されてますが、ほんとそのように感じました。没入感が強く、客観的に見ると言うより、体験してる感覚が強かったです。
私も冒頭のシーンがとても好きです。鼎談で語られているヨーロッパ映画的な良さとはまた違うのですが、敵の銃弾から逃げるところが、IMAXの効果と相まって奥行きに臨場感があり、自分が街に吸い込まれていくような感じを受け、とてもスリリングでした。
個人的には空中戦が緊張感があって良かった。スピットファイヤが燃料切れながら海岸上を飛行するシーンは思わず涙が。。。
ストーリーは生真面目すぎますが、完全に映像力に持ってかれました。ただ、家のモニターで見たらキツいやろなあ。
投稿者 オーソン : 2017年10月09日 23:31
本物を使っているからか、絵に力があったと思います。閉塞感がすごくあったけど、IMAXで観たらもうちょっと開放感があったのかなと思ってます。
最後の方の着陸前に飛行機の車輪を出すシーンが好きでした。ちょっとづつ車輪が出てくる姿が愛らしかったです。
序盤の砂浜にたくさんの兵士がいるシーンも迫力があってよかったです。飛行機が水上に不時着するシーンも格好よかった。
こうやって書いているといい映画だったような気がしてくるんですが、全体を思い返すと、話運び下手じゃないかと感じてしまいます。
歩兵と空軍パイロットと船乗りの3つの話にする必要あったのかなと。それぞれの話がむすびついていく感じもしませんし…。
味方の飛行機3機しか飛んでないから、何十万と救出するようなスケールの話に見えなかったのも気になりました。
ノーランの話運びって、ややこしくしてるだけで特に意味がないのではと感じることが多々あり、今回も僕にとってはそのタイプでした。
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