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2015年06月27日(Sat)

海街Diary 強制起訴シリーズ

起訴者: ヤマネ

強制起訴シリーズ55弾

鎌倉の古民家に住む美人三姉妹(綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)。彼女らの元に、子供の頃に彼女らを捨てた実父の死去の報がもたらされる。その実父の葬式で、彼女らは異母妹のすず(広瀬すず)に出会う。その時のすずの様子から、彼女の辛い立場を推察した三姉妹は、彼女を鎌倉の自分たちの家に引き取る事を決意。ぎこちないながらも、美人四姉妹の共同生活が始まる・・・。
原作は吉田秋生の人気コミック。その原作コミックの大ファンだと公言し、長らく映像化を熱望していた是枝監督が遂に映画化!

ヤマネ
うう〜ん、うう〜ん、うう〜ん、うう〜っむむむ・・・。
マツヤマ
何を唸ってるんだよ、便秘か?ヤマネくんはどうだったんだよ、この映画。オレは良かった。うん、好きな映画だよ。
ヤマネ
う〜〜〜ん、ボクはですねぇ〜〜〜、よ、よく分からなかったんですよー!いいのか、悪いのか!!好きなのか、そうでないかも!!!
マツヤマ
なんだそれ?脳みそも便秘なのか?
ヤマネ
いや、ねー、ボクは原作マンガの大ファンなんです。もう、凄く好き。で、なんかそれに引きずられちゃって・・・ひたすら原作マンガを頭でなぞってるだけの感覚、というか。原作と違う所とかも、テキトーに脳内で補正してしまったりとか。たとえば、堤真一や加瀬亮、リリー・フランキーなどの男性陣は、映画の中では浅く薄くしか描かれてないんですけど、原作マンガではみんなしっかり描かれてるんです。で、それがこの映画の欠点になるのか、どうか分からない。だって、ボクの脳内では勝手にこれらのキャラの補正が入ってますから。勝手に、凄く立体的なキャラに直して観てしまっている・・・。お二人は原作マンガ読んでないんですよね?
マツヤマ
読んでない。吉田秋生のマンガは・・・「櫻の園」くらいかなぁ、読んだの。
元店主
私も若い頃は色々と読みましたが・・・「BANANA FISH」とか「河よりも長くゆるやかに」とか。でも、最近はさっぱり。このマンガも知らなかった。
ヤマネ
なら、逆にボクから訊きたい。原作を知らない人から観たら、この映画はどうなんですか?
マツヤマ
だから、オレは面白かったって言ってるだろ。やっぱ原作がいいのかな・・・って気はしたが。吉田秋生は、女子の世界を描くのが上手いのかな、と。ケンタロウさんは?
元店主
私は・・・まぁ、面白かった、と言ってもいいんですがそう素直に言ってしまうのもなんか自分に嘘を言ってるようでどうにも気持ちが悪いんでなかなか簡単には答えられないんですがだからと言って積極的に貶すほどがといえばそうでもないような気がしてなんともはやどうにもこれが・・・
マツヤマ
なんなんだよそれは!もっとはっきりしろよな、二人とも。要するに、素直に「いい」とは言えない訳だろ?なんかひっかかってる事がある訳だろ?それは何なんだよ?
元店主
うーん、そうですねぇ・・・まず、お!と思える様なシーンがなかったんですよ。グッとくる様なね。
マツヤマ
ふーむ、まぁ、確かにオレも特にグッとくる様なシーンはなかったが・・・敢て言えば、四姉妹が窓から梅をみていて、そこからパッと港の大量のしらすが水揚げされるシーンに変わる流れ、とかかな。あと、ラストの四姉妹が海辺を歩いてるシーンも結構よかった。まぁ、ちょっと生命保険か何かのCMっぽかったが。
元店主
正にそれなんですよ!なーんか、そこそこいいシーンはあるんですが、みんな既視感に溢れてる、というか。おお!と思う様な斬新なイメージが皆無だったんですよねー。私は、自分がおお!と思える様なシーンがひとつでもあればオッケーな方なんですが、それがなかった。ありそうで、ない。このモヤモヤ感が・・・。
ヤマネ
ボクは、この映画は街の映像が良くない、と思ったんです。ある意味、鎌倉、という街が重要な映画じゃないですか。それが、ちっとも魅力的じゃない。遠景とアップが多用されてたと思うんですが、中景、というか、いわゆる生活者の視点からの映像がほとんどなかった。それがダメじゃないかと。この街に住みたい!とか思わないですもん、あれじゃ。・・・長澤まさみと鈴木すずの二人が、電車に遅れそうで走っていくシーン、あそこは中景が効果的に使われて、唯一印象に残ったシーンですね。ちなみにマンガでは、街が非常に魅力的に描かれております!
マツヤマ
ふむ。全体的に仏事と食事の映画で、日本人の日々の生活を丁寧に描いてる。そこらの感じがオレには良かったんだけどな。まぁ、そこらが小津的と言われるんだろうが。
元店主
え?この映画、小津的とか言われてるんですか?
ヤマネ
そうですよー。ってか、是枝はデビューした時から「小津的」とか言われ続けて、本人はそれを否定し続けているんですよ。小津好きのケンタロウさんは、なにも思わなかったんですか?
元店主
いや、是枝を小津的だと思った事は一度もない。全く違うと思う・・・みんな、観てるポイントが違うんだろうなぁ。私にとって“小津的”とは、極度にスタイリッシュ、という事だから。不自然なまでの棒読みのセリフ、人形の様な表情、リアリズムを無視した美的な構図・・・など。でも是枝って、凄くリアルっぽく、自然っぽく撮ろうとするでしょ?なんかドキュメンタリー風というか。全然対極だと思う。
ヤマネ
是枝本人は、ケン・ローチや侯孝賢が好きだと言ってるんです。まぁ、ドキュメンタリーっぽいとことかですかねー。でも、ケン・ローチや侯孝賢は時間の使い方が上手いと思うんです。それに対して、この映画は時間の使い方が下手!なんか淡々としてるだけで、時間の濃淡・強弱が感じられないんですよ。ケン・ローチや侯孝賢からは、時間の使い方こそを学んで欲しいですね!ビシ!
元店主
淡々と日常を撮っていくなら、小津の様に極度にスタイリッシュにした方が、輪郭がはっきりしていいと思う。それによって、普通なら見えない・感じない・分からない日常の襞、ワンダーが露になると思うから。ドキュメンタリー風に、リアルっぽく撮られても、それは曖昧模糊としてしまうのではないか?ビシ!
マツヤマ
なんか二人とも偉そうだなぁ。そりゃ確かにそういった欠点はあるかもしれないが、相対的にいい映画だと思うぞ、特に今の邦画界では。
元店主
それは私もそう思います。だから、別に貶すつもりはない、というか、貶したくはないんですが・・・まぁ、自分の釈然としない気持ちを探っていくと必然的にそんな言葉が出てしまう・・・。
マツヤマ
オレはこの映画、「レイチェルの結婚」っぽいと思ったんだ。まぁ、あっちは全編印象的な音楽に彩られていて、それが良かったんだけど、その点はこの映画は弱いか。是枝はもっと音楽を頑張った方がいいと思うぞ、ビシ!
ヤマネ
あー、マツヤマさんまで偉そー。
マツヤマ
わはは、冗談、冗談。・・・マジで言うと、確かに印象的なシーンもないし、色々と弱い所もあるけれど、全体としてどっぷり浸る事のできる映画だと思ったんだ。オレはそういう映画が好きだし、観て満足感がある。細かい欠点は、どうでもいいかな。
ヤマネ
確かに是枝は上手いですもんね、編集とか。ディテールもきちんと描いてるし。マンガの映画化としては、「寄生獣」の様なガッカリ・トホホ感はないですし、こんなもんかな〜という納得感はあります。マンガの方が圧倒的に素晴らしいんですけどね!
マツヤマ
ところで、普通この映画を語る時には、みんな女優の話をすると思うんだけど、全然してないよな、女優の話。ちょっとベタだが、一応しとくか。オレは・・・夏帆が良かったんだけど、二人は?
元店主
私は長澤まさみですね。長澤まさみは「ロボコン」以来なんですが・・・
ヤマネ
えらく昔ですね!
元店主
だって私の観る様な映画に出ないんだもん。で、久しぶりにみて、まずその老けっぷりにビックリ!まぁ、役柄もあるでしょうが、荒れ方とか・・・でもそれがまたいい感じ。小泉今日子っぽい?
ヤマネ
ボクも長澤まさみが一番です!で、次点は広瀬すず。サッカーの動きがねぇ、ちゃんとしてる。体重移動とか。あの5秒だけとれば、なでしこ入りできます。綾瀬はるかは、とにかく姿勢がいいですね。
マツヤマ
綾瀬はるかは、佇まいがまんま原節子だったよな。ああいう感じの女優さんって最近はあんま居ないから、好感度は大だ。で、長澤まさみだが・・・オレは彼女の食事中の立て膝が気になって!なんで綾瀬はるかも注意しないんだ!と。他の事は細々と注意してるのに、立て膝には触れず。まず注意すべきはそこだろうが!
元店主
ははは、マサユキくんも厳しく躾けられてるんでしょうね。
マツヤマ
ああ、食事中の立て膝なんか絶対に許さん。その代わり、逆立ちして食べたりしてるけどな。
ヤマネ
マツヤマ家は重力無視ですか!
元店主
では、そういった訳で、来月の課題映画はマサユキくんも観られる様に「バケモノの子」にします!
ヤマネ
出た!アニメ!・・・あ、ならこの鼎談にマサユキくんも参加する、というのもいいですね。
マツヤマ
それは本人にきいてみないと分からないが・・・多分、参加するにしても逆立ちしてると思うぞ。
ヤマネ
いったいどういう教育してるんですか!
元店主
はい、ではまた来月ー。

Comments

投稿者 uno : 2015年06月29日 23:32

こんばんは。元鎌倉市民です(8ヶ月間)
モヤモヤめっちゃわかります。
尚、吉田秋生の作品は読んだことがありません。

私、この作品を見た第一印象が「アンニュイ。。。」なんですが、アンニュイの意味がそもそも分かってない。調べたら「けだるそうな、退屈そうな」らしい。私の印象は、ちょっとフランスっぽい気怠さ(なんやそれ)
是枝監督の作品は前作「そして父になる」になるに続いて2作品目なんですが、映像が灰色っぽい。晴れた映像でもカラッとした印象がない。それもアンニュイの一因なのかな。ただ実際の鎌倉をよく描けているとは思います。いい感じの湿気があって。

私は広瀬すずが良かった。
少し野性的な感じがしました。田舎から転校してきてクラスに溶け込んだ感じがいい。
最初の方で、温泉町(かじかざわ温泉って架空らしい)の駅の前にあるベンチに座るんですが、その姿がこの作品で一番いい映像でした。監督やばいな!って。
サッカー仲間の青年と自転車で桜並木を走る場面も良かった。なんか、心の奥にある影の部分を洗い流すような疾走感が好き。
青年と海岸を歩く場面も良かったなあ。父親のことを少しだけ青年に話す場面。キュンとした。あの青年、地味にいい。あれっ?けっこういい場面あるやん(笑)

この作品、4姉妹+食堂のおばちゃん(風吹ジュン)の男性との付き合い方で、人間像を作っているように思いました。言葉ではなく薄墨を重ねるように映像で描いていて、そこが凄く良いなあって。ただ、綾瀬はるかと堤真一の関係だけリアルな感じがしたんです。作品から浮いているというか。

ああ、このアンニュイさを吹き飛ばすために鯵の南蛮漬けでビールを飲みたい!

投稿者 元店主 : 2015年06月30日 02:59

うのぴへ

うのぴの言ってる事が全くわからん!

ア、アンニュイ〜〜〜〜??? この映画のことを「アンニュイ」という人はうのぴくらいじゃないか。
アンニュイというのは、確かにうのぴの調べた様に「けだるそうな、退屈そうな」という事だけれど、それには物事を達観したような投げやりさがあるし、物事に熱中できない不感症もある。あと、ニヒリズムに滑り落ちていく空虚さもあると思う。そんなこんなが、この映画のどこにある?みんな一所懸命に生きてるやん。全体に不思議な明るさが漂ってるやん・・・と思うんだけど。

そもそも、うのぴはこの映画、良かったの?面白かったの?それとも、鯵の南蛮漬けでビールを飲んで印象を吹き飛ばしたくなるほど不快だったの?

投稿者 オーソン : 2015年06月30日 21:28

面白かったです。三女とスポーツ店のオーナーが好きでした。
吉田秋生といえば、『BANANA FISH』や『吉祥天女』が好きだったことを思い出します。今回の原作は1巻だけ読んだことがある状態で観にいきました。たしか、原作の長女はもっとキツイ顔立ちと性格だったので、綾瀬はるかのイメージとは違うと感じました。でも、これはこれで良かったと思います。あと、大竹しのぶの登場シーンがよかったです。いい感じにイライラさせられました(笑)。
ただ、全体的に説明の台詞が多かったんじゃないかと思いました。具体的にどこと言われると思い出せないんですが…心情を言わなくても表現できたところがあったような…

まあ、これを観る前にみた映画の影響が大きいんだと思います。
…イモータン・ジョー!

投稿者 uno : 2015年06月30日 21:51

元店主さん
す、すみません〜
説明までしてもらって。完全にアンニュイの意味を間違ってました。
この作品、嫌いじゃないですよ。かと言って面白かったわけじゃないけど。。。
鯵の南蛮漬けでビールを飲みたいってのは、純粋にめっちゃ美味しそうだったからです。タッパウエアに入ったのをお持ち帰りなんていいじゃないですか!

投稿者 元店主 : 2015年07月01日 00:58

オーソンへ

お、夏帆が良かったのか。マツヤマさんと同じだねー。

>ただ、全体的に説明の台詞が多かったんじゃないかと思いました

ん?そうかな?あんまりそんな風には感じなかったんだけど・・・具体的にはどこ?・・・って、覚えてないのか!
んー、オーソンは観た映画の事をすぐに忘れ過ぎだと思うぞ。故に、せめて強制起訴課題映画ぐらいは、メモとかとりながら観たらどうか。観終わってすぐに、ロビーとかで書き留めてもいい。絶対にここに感想書かなきゃならないんだからさ。いい訓練になると思うよ。


うのぴへ

いや、謝る事ではない。ただ、ちょっとビックリしたから・・・。

そうか、うのぴは鯵の南蛮漬けが美味しそうだったのか。・・・いや、私はこのやたらと食事だらけの映画で、あんまり美味しそうに思える食事がなかったんだよね。別にマズそうとかではないよ。なんか美味しそう・・・な、はずなんだけど、そうでもない、か・・・と、もどかしい感じ。私の映画全体に感じるモヤモヤ感に通じる。
うのぴの、嫌いではないけど面白いわけでもない、という感じはわかるよ。私もそんな感じ。

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