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2015年06月06日(Sat)

チャッピー 強制起訴シリーズ

起訴者: マツヤマ

強制起訴シリーズ54弾

南アフリカでは治安維持のためにロボット警察を導入。犯罪率が大幅に下がり、ロボット警察を発明したディオンは鼻高々。同僚でライバルであるキリスト教保守主義者のムーアの激しい妬みを買っている。しかし、ディオンはこれで満足している訳ではなかった。彼は単に言われた通りに行動するロボットではなく、人間の様な感情を持ったロボットを作りたかったのだ。
そして、とうとうそれのプログラムに成功するディオン。が、無慈悲にも上司はそのロボット制作を拒否。故に、彼は廃棄処分寸前のロボットを一台盗み出し、勝手にそれに自分の発明した感情プログラムをインストール。ここに、まるで人間の様に考え、感じるロボットが産まれた!
彼の名前はチャッピー。名付け親はギャングのヨーランディー。ギャング?そう、チャッピーはなぜかギャングに育てられる事になったのだ・・・。
「第9地区」で鮮烈なデビューを果たした南アフリカの監督、ニール・ブロムカンプによる最新作。

                 ★
ヤマネ
観る前は、あまりに古くさいテーマで、なんなんそれー、おもろなさそー、と思ってたんですが、観てみると、意外やこれが・・・
マツヤマ
つまんなかったよな!オレはダメだったよ。
ヤマネ
ええー、そうですかー、ボクは観ている内にどんどん面白くなってきたんですけど・・・ラストなんか、やっほー!って感じで。
元店主
私もダメだった。安易すぎる、雑すぎる。全体的にちっとも乗れなかった。
ヤマネ
ほー、どこらへんが具体的にダメでした?
元店主
全体的なんだけど・・・最大の問題点は、チャッピーがちっともロボットにみえないこと。人間がかぶり物してる様にしかみえない。それではダメだろう。
ヤマネ
だからー、人間とロボット(人工知能)との差異に哲学的に頭を悩ますことなく、脳のデータもコピペでオッケーだから人間とロボットの差異なんてないんだよー、と軽く割り切った所が新しいんじゃないですか。
元店主
それは新しいんじゃなくて、単に雑なだけだよ!
マツヤマ
五日間で壊れてしまう身体に意識をインストールするなんて、うわ!残酷!!と思ったよ。大体、このディオンという奴、かなり人間的に問題あるな。魅力は全くなし。嫌な奴だよ。だからラストでチャッピーが必死にディオンを助けようとするのも、ちっとも乗れなかったしな。シラケた感じ。
ヤマネ
五日間で人生を凝縮して描きたかったんではないでしょうか・・・なんて、全然それには成功してませんでしたね。てへ。ディオンはほんと、なんも考えてないですよねー。プログラムしか能がないナードで、精神年齢は6歳くらいですか。
マツヤマ
そんな奴が、赤ちゃん状態のチャッピーを嬉々として育てよう、躾けようとするから、見ててグロテスク。誰かまずディオンを躾けろよ!と思った。怒りさえ沸いてきたな。
ヤマネ
ま、ボクらも子育て中ですからねー。あんなもんじゃない!とは思いますわよね。
元店主
人工的に意識・感情を作る事ができるかどうかは別にして・・・たとえできたとしても、今の人間と全く同じ、という事はないと思うんです。例えば、死に対する恐怖の感情、なんてのは、プログラミングしない限り存在しないと思うんで・・・普通に死を恐れているチャッピーには違和感があったし、もしそれがプログラミングされたのだとしたら、ディオンは極悪非道の冷血漢、あるいは狂人という事になる。ありえんわー。
ヤマネ
だーかーらー、多分この映画、そんな人工知能とかそんなのどうでもいいんですよ。SFじゃないんです。そこら真面目にやってる様にはみえない。むしろギャングの生き様、教育問題、ヒュー・ジャックマンはやっぱいい!、なんかを描いた映画なんじゃないでしょうかー。
元店主
ああ、ヒュー・ジャックマンは良かったねー。あとギャングのニンジャとヨーランディーも凄く良かった。南アフリカのギャング風俗がみられたのに関しては大満足!それだけで、観る価値はある、とは思う。
マツヤマ
オレもヒュー・ジャックマンには大満足だが・・・ギャングは苦手だったな。正視できないタイプだよ、あの手。ニンジャとヨーランディーのコンビは・・・「ドーベルマン」のコンビの失敗作みたいに感じたよ。
元店主
あの二人は“ディ・アントウード”という南アフリカのヒップホップユニットのメンバーなんです。名前・・・ってか芸名もそのまんま、ニンジャとヨーランディー。映画のバックでかかってたヒップホップはほぼ彼らの曲らしいですよ。私も今回の映画で初めて彼らの事を知ったんですが・・・ちなみに彼らのPVはこちら
元店主
どうです?なかなかいいでしょ?
マツヤマ
・・・いや、ますます嫌んなった。
ヤマネ
えー、ボクもギャングは良かったですよー。ニンジャとヨーランディーもいいけど、アメリカとか、けっこう好きな顔でしたけど。それから、ボク的にはヒップホップよりは、ずうっと騒がしいハンスジマーの音楽!あれで映画の快楽度がグッとアップしましたね!
マツヤマ
ヒュー・ジャックマンは悪役(ムーア役)だけど、あの映画の中では一番まともに見えたな。ヒュー・ジャックマンが、自分の作ったマシンを売り込むために、全てのロボット警官を使用不能に陥れたときも、オレはむしろギャングと一緒に「うおー!」となったよ。だって、ロボット警官なんて庶民の敵だろ?あんな政府の手先の強力な抑圧マシーン。やってしまえ!
ヤマネ
でも、無政府状態になった時にギャングたちがやったのは、庶民の店を襲うことでしたけど・・・マツヤマさんの店も襲われますよ、ギャングに。
マツヤマ
オレの店はビルの4階だし、看板も出してないから大丈夫。問題ないよ。
ヤマネ
そういう話ですか???まぁ、確かに暴動のシーンというのは常に面白いんですが・・・にしても、あのロボットを管理してる会社のセキュリティあますぎ!
マツヤマ
ラストの、コピーした意識をロボットのボディに移して、死ぬはずのディオンやヨーランディーをロボットとして生き返らすシーン。あれは、もうやめろよ!って感じ。まぁ、ディオンはどっか壊れてるからいいのかもしれないけど、ヨーランディーは絶対に怒るだろ。「あたしになにしてくれてん!」って。
ヤマネ
いや、ボクはむしろそこを評価したいんですよ!確かに、ヨーランディーは怒ると思うし、ってか、自分がロボットになった事で、精神が壊れるかもしれない。どー考えても悲劇にしかならないのに、あの能天気な感じ。とてつもないブラックユーモアじゃないかと思って。
元店主
それ、過大評価だよw。監督はハッピーエンドのつもりでしょ。アホすぎるけど・・・。むしろ私がこだわりたいのは、あまりに強いアイデンティティ神話のほう。人間の精神はもっと多様だし、不安定。アイデンティティは脆いもんだと思う。だから、あんな風に別の身体に精神を移されたら、別のアイデンティティ、別の人格になると思うんだな。それが人格そのままなんて・・・。そこらもなんか、イージーだな、と。
マツヤマ
実はオレはクレヨンしんちゃんの「ロボとーちゃん」を思い出したんだけど・・・あっちの方がずっとロボットに移植された意識の切なさを描けてたと思う。感動したし。
元店主
ああ!これ、アニメで描いたらもうちょっとマシなものになったかもしれないですね。監督は日本のアニメが好きらしいですけど・・・でも、何をアニメで描くべきか、実写で描くべきか、を分かってないと思います。実写で、CGまで使って世界をリアルに描くんなら、この各所の杜撰な設定は許されないですよ。アニメなら、象徴として処理されるんで許されることでも。たとえば、「ロボとーちゃん」の、とーちゃんの意識をロボットにコピペする・・・という設定とか。
ヤマネ
チャッピーの造形とか「アップルシード」みたいだし、名前も「チャッピー」ですからね。まー、監督は日本のアニメが好きなんでしょうねー・・・でも、アニメの真髄は掴んでない感じですね。表層だけ。そこらがオタクなのか。まぁ、「ロボとーちゃん」を観て勉強し直して下さい!って感じですかー。
元店主
結論として、私は南アフリカのギャング風俗が観られたので、それで満足。あとは全くのれなかった・・・といった感じ。
マツヤマ
オレは、ヒュー・ジャックマンがやっぱいい、ロボット警官なんて最悪だろ、ってのが結論かな。
ヤマネ
ボクはですねー、プレステ4凄過ぎー!!!というのが結論です。人間の意識を転送できるんやー、とビックリ!
マツヤマ
なんだよ、それ。そんなことより、6月の課題映画はヤマネくんだろ。
ヤマネ
あ、そうでした。えーと・・・是枝監督の「海街diary」にします!
マツヤマ
なにー、「そして父になる」に続いてまた是枝かよー。
元店主
原作は吉田秋生のマンガだな。ふむ・・・まぁ、ではまた次回!

Comments

投稿者 オーソン : 2015年06月08日 11:06

ディオン、最悪です。5日間しか生きられないなんて…。最後にチャッピーがディオン(創造主)に反抗して、殺したほうが納得できる話なんじゃないかと思いました。主を殺すことで、より人間的になるという終わりのほうが好みなので。殺すのが無理なら、旧式の機械にディオンの意識をインストールするとか。例えば、PC98とかに。
とにかく、ディオンにはしかるべき罰を与えるべきだと思います。
あと、ディオン誘拐の時からこの企業のセキュリティの甘さはとにかく気になりました。警察用のロボットを作っている大企業で盗まれたら困るものは山のようにあるはずなのに、あのUSBのようなもの、簡単にとられすぎです。こんな重要なもの持ち出しする場合、チェック機関があるでしょう、普通!共有サーバーに入れていなかっただけでも、まだましだと思えばいいんですかねえ。誘拐された後、ディオンはフロントガラスの割れた車両をどうしたんでしょうか?あのまま会社に返しにいったら、絶対聞かれるし…。というより、車両にカメラやマイクを積んでいないのか!?

ギャングコンビ、いい顔してたと思います。好きかどうかは別にして、リアリティがありました。ニンジャって芸名そのまんまなんですね。

投稿者 元店主 : 2015年06月08日 13:19

オーソンへ

>最後にチャッピーがディオン(創造主)に反抗して、殺したほうが納得できる話なんじゃないかと思いました。主を殺すことで、より人間的になるという終わりのほうが好みなので。

なるほどね。でも、監督のニール・ブロムカンプは、“人間がなにか他のものに変わる話”が好きなんだと思うよ。「第9地区」もそんな話だったでしょ。まぁ、それはいいんだけど、それは本人の妄想/願望。確かに個人的な妄想/願望を描くのは“表現”だけど、それにはその個人的な妄想/願望を普遍へと開くための工夫と努力が必要。「第9地区」の時にはまだあったそれが、今回の「チャッピー」にはほとんどみられない。非常に安易でイージー。故に粗雑の塊。ニール・ブロムカンプはハリウッドに認められて、天狗になってるんじゃないかな。
という訳で、「ディオンにはしかるべき罰を与えるべきだと思います。」とオーソンが思うなら、是非オーソンがニール・ブロムカンプに罰を与えに行って下さい。

投稿者 オーソン : 2015年06月08日 23:13

>監督のニール・ブロムカンプは、“人間がなにか他のものに変わる話”が好きなんだと思うよ。「第9地区」もそんな話だったでしょ。

確かに、「第9地区」でも違う生物に変身してましたね。ただ、「第9地区」では主人公がなりたくない生き物になることで、今までとは全く異なる世界が見えるようになるっていう構成が良かったのに、今回はそんな視点の変化がないので話としても盛り上がりに欠けました。「エリジウム」も幼稚な話だったし…。「第9地区」が楽しかっただけに1作毎に下降線の評価になってきている感のある監督ですねえ。一度、ハリウッドで嫌な目に会った方が今後いい作品が撮れるかもと考えてしまいます。
ウチの近所に来たら懇々と諭します(笑)。

投稿者 uno : 2015年06月10日 21:00

こんばんは。
ちょっと雑すぎ!本文中に貼り付けてあるPVのほうが完成度が高い気が。。。意味は分かりませんが。
色々と無茶苦茶やなー、と思ったんですが、一番ビビったのはチャッピーがプレステを複数台繋げて意識の転送をした時。チャッピー短期間で成長しすぎやろ!すでにディオン超えてるやろ!
さらに転送する時にかぶったヘルメット、あれヒュー・ジャックマンのロボのやつ引っこ抜いてるから人間用。。。脳波とかで操って動くと勝手に想像してるんですが、ロボットが頭に被っても反応すんのかい!って。
うーん。ブラックユーモア的視点から無理矢理見ると、データが消滅しない限り永遠の命を手に入れたディオンとチャッピー。それを嬉々として喜んでいる精神的に幼い二人。二人のその後はどうなるんだろうか?と考えると虚しさを感じました。
ヒュー・ジャックマン、かなりマッチョ化が進んでましたね。もう普通の映画には出られないんじゃ。。。ヒュー・ジャックマンの迫力がなければ、この作品どうなっていたことやら。
監督がアニメおたくってことなんですが、ニンジャが死ぬ前に穿いていたオレンジのパンツはドラゴンボールの悟空を意識していると思います。確かカタカナで「テンション」って書いてありました。どうでもいいですが(笑)
まあなんやかんや言っても、ヨーランディーとチャッピーが一緒に過ごしていた姿にはちょっとグッときた!

投稿者 元店主 : 2015年06月13日 00:31

うのぴへ

>本文中に貼り付けてあるPVのほうが完成度が高い気が。。。意味は分かりませんが。

あれはね、レディー・ガガが彼らを自分のツアーの前座に選んだんだけど、彼らは「んなもん、やるかい!」とそのオファーを蹴り、ついでに作ったPVがこれらしい。レディー・ガガ ディス!ヤンキー感が溢れてていいねー。

で、そのヤンキー感なんだけど、

>まあなんやかんや言っても、ヨーランディーとチャッピーが一緒に過ごしていた姿にはちょっとグッときた!

というのは、正にヤンキー感の良さだよね。
はっきり言って、私はチャッピーのルックスが全然ダメで、気持ち悪いとしか思えないんだけど、ヨーランディーが「かわいー」とか言ってると納得してしまう。うむ、これがヤンキーの美意識か・・・とか思って。ほんとヨーランディーにはヤンキーのスイートネスがある。いい感じ。

ところで、ニンジャは死んでないと思うんだけど・・・(違ったか?)あと、ドラゴンボールと「テンション」って関係あるの?

投稿者 uno : 2015年06月13日 10:57

元店主さん
レディーガガの前座を断って作ったPVだったとは!メインの女性が似た感じなのは、そういう事だったのか。最後のグロい虫はどういう意味なんだろう。。。
確かにチャッピーと同じボディを持つ警察ロボは気持ち悪いのに、ヨーランディーが「カワイイ」って言ったチャッピーはカワイイと思えます。チャッピーが心を持っていたのも一因なんでしょうが。ニンジャとアメリカもそれに感化されペイントしたり、ネックレス掛けたり。ヤンキーのスイートネスだと思うと納得がいきますね。
ラストの記憶が曖昧で、そういやヨーランディーを埋める時にニンジャがいたような。。。(忘)
ドラゴンボールとテンションは関係ありません。パンツにカタカナでテンションって書いてあったのがオタクっぽかったんで。

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