るろうに剣心 伝説の最後編 []
前作「るろうに剣心 京都大火編」(レビューはこちら) の続き。というか、前作が本当に途中で終わったので、これは二つで一本の作品とみるべきなのでしょう。
前作がとても面白かったので、大盛り上がりで劇場に乗り込んだ今作。しかし・・・これはちょっと微妙な作品ではあったよなぁ・・・。
確かに、アクションシーンは相変わらず素晴らしいです。製作陣が「前作より遥かに凄いぜ!」と豪語するのは言い過ぎだと思いますが、それでもこのアクションシーンだけで、他の日本映画を簡単に蹴散らす事のできるクオリティ。それは満足しました。でも、その他の部分が・・・。
まず、福山雅治です。多分、今回の目玉なのでしょうが、はっきり言ってイタい。「そして父になる」の時はもうちっとマシだったけど・・・ちょっと下手すぎないか?ルックスも悪いし・・・なんだその格好?それと髪型。いくら増毛疑惑があるからって・・・あり得ない毛量の多さ。ある意味、笑えるけど・・・。
非常に重要な役だった故に、かなり残念なことになっていました。
それと全体でいうと、ドラマ部分の演出の悪さが気になりました。結構もっさいのです。テレビ臭い、と言ってもいい。説明的だし、大袈裟、くどい。考えてみれば、一作目もドラマ部分がダメだった。一作目も今作も、剣心の心の成長を描くのです。まぁ、そういった話だし。でも、その描き方がもさいんだよなぁ。いや、頑張ってハリウッド的な映画文法を採りいれようとしているのは分かるのですが、どうもイマイチしっくりきてない。どーにも観ていて気恥ずかしい。うーむ。
そもそもちっとも剣心が成長してる様にみえないし。
二作目(京都大火)は、紹介的に、ひたすら悪役が出て来ては剣心とぶつかる、の連続で、ドラマがほとんどなく、アクションシーンに徹したのが良かったのだと、改めて思いました。
あと今作は脚本にもかなり難あり、と感じました。大体、志々雄たちが“国盗り”をすると豪語して、浦賀に来てペリーばりに大砲を撃つだけってどうよ。あんなのでは何の脅しにもなってないでしょ。ペリーの場合は、バックに日本の何倍も大きく、技術も進んだ強大なアメリカ帝国が控えていたからこそ脅しになった訳で。あんな、戦艦一隻で何ができる。浦賀の漁村を多少焼かれたって、明治政府は別に平気でしょ。放っとけば、いずれ志々雄たちは上陸してくるしかない訳で、そこで闘えばいいじゃない。別に剣心を処刑すると見せかける・・・とかいう茶番は一切必要ない。
そもそも“国盗り”とか言って、天皇の問題に全く触れないのは不自然すぎる。日本では天皇陛下を抑えた方が官軍なんだから。戦略的に、まず天皇問題を考えるはずでしょう。明治維新だって、結局はそれなんだから。
以上の事とも関係するけど、あまりに志々雄たちの負けがあっけなさ過ぎる。いや、確かに“志々雄VS剣心たち”のラストバトルは凄いよ。でもあれはあくまで個人戦であって。国盗りを宣言し、明治の世の中をひっくり返すとまで豪語した最凶軍団が崩壊していく、その壮大さが微塵も感じられない。せいぜい戦艦がひとつ沈んでいく・・・それだけかい!あまりにしょぼい。これはこの映画の最大の欠点だと思う。これは個々のアクションシーンの凄さで置き換える事ができないもので、それこそ脚本と演出で描き出すもの。それができてないんだから、やはり映画としてはちょっと残念としか言いようがないのではないでしょうか。
それからこれは余談だけど、今作のラストで、警察官たちが剣心たちに一斉に敬礼をするシーンがあって・・・、あれ、ジャッキーの「香港国際警察」じゃない?前作の最初で警察官たちを天井から吊ってるシーンがあったけど、あれは確実に「香港国際警察」だから、つまりは「香港国際警察」がやりたかったのかな?
「香港国際警察」のラストは、ジャッキーが恋人に求婚するシーンで、確か警察官たちが一斉に敬礼したと思う(ちょっとうろ覚えだけど)。「るろ剣」も、最後に剣心が薫に求婚して終わるでしょ?ふーむ。
いや、それはそれでいいんだけど、でも、そうとなればいやでも「香港国際警察」との差が明瞭になってしまって・・・。私は「香港国際警察」のドラマには実は納得してなくて(むろんアクションシーンは最高だけど)、むしろ気持ち悪いとさえ思うんだけど、でもなにか人の心を揺さぶるだけのものは感じる。それは映画の力。でも、「るろ剣」のドラマはねぇ・・・。アクションシーンでは決して負けてない、でも、映画の力で負けている。うーむ、残念なり。
とはいえ、記念碑的な作品である事は間違いないと思う。ので、NHKドラマ出身の監督の作品だろ〜とバカにして観に行かないのは勿体ないと思うので、やっぱオススメです。
Comments
投稿者 オーソン : 2014年09月25日 23:06
1作目、DVDで観ましたよ~。たしかに、ドラマ部分は…でした(汗)。でも、佐藤健君の体の動きは観てよかったです。頬に傷を作ることになった一連の戦闘シーンが観ていて一番格好よかったですね。
投稿者 元店主 : 2014年09月26日 01:47
お、観たのか。
じゃあ、次は「京都大火/伝説の最後」だな。今ならいっぺんに二つ観られるよ。ここはひとつ、スクリーンで観ておく事をオススメします。
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