GODZILLA ゴジラ [強制起訴シリーズ]
起訴者: マツヤマ
強制起訴シリーズ45弾
日本が誇る怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の2014年ハリウッド再リメイク版は、1954年のオリジナル「ゴジラ」への愛情たっぷりとも、3.11の原発事故、ヒロシマへの原爆投下へも切り込んでいるとも噂されるが、はたして日本の「ゴジラ」ファン、いや、観客は日本人としてこの映画をどう受け止めるのだろうか?
- 元店主
- 私は元々「ゴジラ」シリーズに思い入れはないんですけどね。
- マツヤマ
- またまた「私には関係のない映画です」とか言うなよな!
- 元店主
- いやいや、思い入れはないんですけど…
- ヤマネ
- あ、ケンタロウさん「ゴジラ」1本も観たことないんでしたっけ?
- 元店主
- いやいや、それほど思い入れが無いと言っただけだよ。一作目と、もう一本、なんだっけ…忘れたけど2本は観てるよ。
- マツヤマ
- オレは6歳くらいのとき(71年くらい)かなぁ。父親が劇場に連れてってくれたのが「モスラ対ゴジラ」。64年の映画だから再上映だろうね。今でもよく覚えているよ。ゴジラが悪役で、しかも最後にモスラの幼虫に負ける話。
- ヤマネ
- ちなみにボクは2作目以降の怪獣どうしが戦うシリーズが好みなんです。でもあの静かな恐ろしさを期待していた54年の初代ゴジラファンにとっては、今回はちょっとがっかりだったんじゃないでしょうか?
- 元店主
- いやいや見得を切るところとか、雄叫びなんかもキマってたし、初代ゴジラへのリスペクト心も伝わってきて、まぁとにかくカッコよかったんじゃない?
- マツヤマ
- そりゃあの雄叫びは誰でも知ってるよなあ。ギャワ~ッ、ウェィ~イッ!(文字化ムリっ!)のウェィ~イッまでやられると「あ、ゴジラ愛」とか思っちゃうよな。
- ヤマネ
- あと、ゴジラがなんとなく人間の味方っぽく描かれてるのはチャラい感じがしますねぇ。たまたま人を踏み潰さなかったとか、たまたま橋を落とさなかったとかはまぁギリギリ許せる範囲でしたが、艦船の下を潜って避けて去っていくのだけはやめて欲しかったなー。
- 元店主
- でも最後にゴジラが立ち上がってスタジアムに避難してた人たちが「ワーッ!」と歓声を上げるのも、ハリウッド映画にしてはかなり控えめな感じがしたから、実際にゴジラが人類にとって救世主かどうかは続編のテーマになりそうな気もするねぇ。
- ヤマネ
- まぁ十分満足しているんで、細かいことを言えば、ですが。前のエメリッヒ版ゴジラのガッカリな造形とは違って、今回はゴリラ寄りで納得できるし、着ぐるみ感もなかなか良かったですねぇ。でもムトーの造形は超カッコ悪かったですねえ。何からどう進化してあんなデザインになっているのか、とか、恐怖をぜんぜん感じさせないところなんかもちょっと腑に落ちない感じです。
- 元店主
- ちょっと健全なパニックアクションになり過ぎてて、恐怖云々で言えば、スピルバーグの「宇宙戦争」には負けてる感じだよね。でも、映画としては私はこっちが好きだけどね。
- マツヤマ
- 「宇宙戦争」は音響効果もスゴかったしな。
- ヤマネ
- でも「ゴジラ」の効果音もなかなかでしたよ。ずーっと重低音で騒々しい音が鳴ってる中で、奇妙なほどに明るいピアノでポロポロリンって挿入されるような雑多なバランス感覚は好きですねぇ。
- マツヤマ
- まぁとりあえずゴジラあるあるはこのくらいにして、じっさい今回の「ゴジラ」、ゴジラがまるまる出てこない前半部分とか、核の問題とかも興味深かったけど、どうだったかな?
- 元店主
- 前半でいうと、冒頭の主人公たちの幸せな家庭の描き方とか白々しくて鼻白んだなぁ。あとジュリエット・ビノシュのおばさんぶりにもビックリしたけど、出てきてすぐに死んじゃうというのもさらにビックリでしたねぇ。
- マツヤマ
- ハリウッド版「ゴジラ」のキャストにはフランス人枠っていうのがあるんじゃないか?エメリッヒ版にはジャン・レノが出てるし。
- ヤマネ
- それはたまたまでしょう。なんかテキトーに言ってません?
- マツヤマ
- 当たり(笑)!でもさ、前半はあきらかに3.11の原発事故を扱ってる感じだよな。
- 元店主
- 事故直後に米軍の監視下に入るとか、立入禁止区域にしたけど、真相は…?、とか…、いろいろと意識的に作られているような気がしますね。
- マツヤマ
- あの親父が陰謀論者みたいに描かれつつも実は正しかった〜みたいなシーンがグッときたところだな。立入禁止区域に入って、マスク外してガイガーカウンター見せて「ほら、問題ない!」ってとこ。
- 元店主
- 福島の放射能問題で論争が起こっていることをいろいろと理解してやってる感じがしますね。
- ヤマネ
- 問題ないわけないじゃないですか!汚染地域ですよ!
- マツヤマ
- どうなんだろうなー、実際のところねぇ…。将来的には核燃料サイクルの拠点になるとか、何か別の目的がすでにありそうな気もするなぁ。
- ヤマネ
- どっちにしても今は危険ってことでしょ。どうするんですか、禁止区域を解放して癌患者が増えたら!
- 元店主
- まぁ癌リスクはどこにでもあるからねぇ。精神的ストレスもそうだと思うし。とりあえず話題が映画から逸れちゃうんで、この話はオフレコでやろうか。
── 長時間の激しい議論の応酬から、なんとか元のレールへ ──
- ヤマネ
- ハァ、ハァ、も、桃が美味しかったとか、そ、そういう話じゃないでしょう、ハァ、ハァ。
- 元店主
- フゥ、フゥ、わ、私は、フゥ、フゥ、バ、バナナも好きだよ。
- マツヤマ
- ハァ、ハァ、ゲホッ、も、も、もみじ饅頭っ!グフッ、ゲホッ。
(以下、息切れ省略)
- ヤマネ
- とにかくですねー、放射能をエサにしているムトーが近くにいるだけで、周りの人間はただちに影響があると思います。船でちょっと沖に出たくらいで、メガトン級の核爆弾が爆発してもサンフランシスコが全滅しないとか、アメリカンジョーク? 欧米人は核をどう考えているんだか。ハリウッドは相変わらず核を舐め過ぎですよ、まったく…
- 元店主
- ほほう、…というと?
- ヤマネ
- 例えば「インディジョーンズ クリスタルスカルの謎」なんて爆発直前に家庭用冷蔵庫の中に入って、爆風で吹っ飛ばされるも「助かって良かったー!」ってコラコラって感じでしょ。
- マツヤマ
- でもね、冷蔵庫の扉を開けるまでは、中で生きてる状態と死んでる状態が、半分半分の確立で重なり合っているんだよ。分かるか?ヤマネくん。
- ヤマネ
- それは「シュレディンガーの猫」の話ですっ、全然カンケーなーい! しかもそれ「ミスター・ノーバディ」のときにボクが話したことですよ。ええかげんやなぁ、ホンマにー(笑)。
- マツヤマ
- あれっ、そうだっけ…
- ヤマネ
- あとですね、「トゥルーライズ」なんかは、近くで爆発する直前に、シュワちゃんがみんなに「目をつぶれー!」って、つぶったら死ななくて良かったー!って、オイっ!
- マツヤマ
- でも日本だって、まさに爆発のど真ん中にいても、服がボロボロ、髪がボサボサになったくらいで、ちゃんと自転車こいで逃げられるってパターンもあるよな?
- 元店主
- それってキノコ雲がドクロのかたちの?
- ヤマネ
- …、それはドロンジョ一家やーっ!テレビアニメといっしょにするなーっ!
- マツヤマ
- でもどれもフィクションには変わりない。
- 元店主
- まぁ、タツノコプロも核に甘いということでいいんじゃない? ということでヤマネくん、次回のお題は?
- ヤマネ
- 「舞妓はレディ」どす。
- 元店主
- それはよろしおすなぁ。
- マツヤマ
- そないいけず言わんとぉ…
けっきょく最後まで渡辺謙の名前が話題に上ることはなかった。(編者)
Comments
投稿者 オーソン : 2014年09月02日 21:50
ゴジラシリーズは最初のと『ゴジラ対ヘドラ』『ゴジラ対キングコング』を観てます。とりたててファンという訳ではないという立場です。
素直な感想としては、面白かったです。ゴジラの見得を切るシーンやムトーに何かを口移しするシーンはテンションあがりました。あと、前半に親父さんが隔離区域に忍び込むシーンで廃墟になっている建物群がよかったです。廃墟が好きなんで。
不満点としては、ムトーの造形が一番大きいですね。もう少しなんとかならなかったのかと。
ムトー夫婦は仲がよさそうでしたね。この点をもう少し掘り下げてもよかったのかなあとも思います。
放射能を食べるっていうのもどうかなあと感じました。どうしても、有効活用できるんじゃないかと考えてしまって…。
最後に、ゴジラのテーマ曲(もしくはそれに近いもの)がエンドクレジットで流れると思ってたのに流れなかったので、ちょっとがっかりです。まあ、これをすると『クローバー・フィールド』と同じになりますが(汗)
投稿者 マツヤマ : 2014年09月03日 19:51
オーソンへ
>ムトーに何かを口移しするシーン
って変わった言い方するね。あそこ、いちばん激しいシーンだったと思うけど、放射熱線とかいうらしいよ。見ようによっては、ゲーッ!ってやってるようにも…口移しで…(きたない)
ムトーの造形は、オレはほとんど気にならなかったよ。肉感のあるゴジラに対照的で直線的で硬い感じがむしろ良かったかと。それよりもMUTO(ムトー、ムートー)という日本っぽいネーミングが気になるなぁ。ABE(アベー)とかの方がよかったかも。
ムトーの夫婦仲を感じさせるような場面ってあったっけ? 単につがいという感じで、卵が爆破されてギャーって怒る程度の感情で充分だったとオレは思う。
投稿者 オーソン : 2014年09月03日 23:08
マツヤマさんへ
放射熱線というんですか。ということはやっぱり放射能物質なんですかね?…じゃあムトーのエサになるのではという疑問がでてきたんですが、許容量を超えて首がもげたのではないかと思いつきました。ムトーはコジラの口移しでご飯を大量に与えられ、食道が破裂して亡くなってしまったというのはどうでしょう。う~ん…すんません、汚すぎました(汗)
話を戻して、この一連のシーンは格好よかったです。『アポカリプト』や『セデック・バレ』にでてくる部族戦士を思い出しました。
ムトー夫妻は仲良くあってほしいという僕の願望が先にあるんですが、対ゴジラの格闘シーンで2匹の連携・協力体制がもっと観れたらと。
ABE(アベー)はいいですね(笑)。相方はKISHI(キシー)で。
投稿者 uno : 2014年09月05日 23:01
こんばんは。
ゴジラシリーズは初めて見ました。
映画の冒頭、フィリピンの炭鉱で「化学反応で放射線が倍(半分だったかも)になってるみたいです!」に、それはいくらなんでもアカンやろ…と不安に。SFといえども誤解を与える表現はよくないと思う。
以下、科学的正否は無視して。
ムトーは放射線を餌にしてるようなので立ち入り禁止区域でガイガーカウンターが反応しなかったのはムトーが放射線(ないし放射性物質)を取り込んでいるからなの?(無茶苦茶やけど…)で、モナークは原発事故による放射線の拡散を食い止める為にムトーをあそこに飼っているの?などと妄想は膨らんだまま解決されず。
で、ゴジラなんですが、顔がケーシー高峰に似ている!日本人が親しみを覚えるような顔つきに思わずほっこり。
私はゴジラとムトーの戦いを見ていて、パシフィック・リムを思い出しました。CGかつ3D版があると似たような感じになるのかも知れませんね。
それからパシフィック・リムでは怪獣に対し人間がロボットで立ち向かったのですが、GODZILLAでは怪獣は人間の立ち向かうことのできない存在。ゴジラから自然に対する畏怖を感じました。
渡辺謙が「自然は平衡を保とうとする。なのでゴジラがムトーを倒すのを信じよう」的な事を言って、無茶苦茶やし無責任やけど、ゴジラを信じざるを得ないよな…と納得したり。
グッときたのは爆弾処理の主人公(キック・アス)がムトーの卵を焼き尽くす場面。よくやった!と拍手。
正直、ゴジラとムトーの戦いは期待ハズレでした。なんせゴジラの登場時間が短い。もしかしてそういうものなの?
怪獣映画として血湧き肉躍る作品を期待したんだけどモヤモヤしました。
投稿者 マツヤマ : 2014年09月06日 10:32
ウノピへ
ゴジラは後半にならないと出てこないんだけど、出てきてもしばらくは、背ビレ(?)だけで登場するというもったい付け方、そして陸に上がったときの、ババーンって全体像、カメラの捉え方、もう完璧! 待った甲斐があった! とオレは思ったんだけど。ムトーとの戦いも含めてオレは満足してる。
前半は政治的な要素が強いと感じたので、ムトーが発する放射線云々よりも、立入禁止にして極秘で何かをするために、危険地域に指定していた〜それをあの親父が暴く、というところが面白いところなんだと思う。3.11の原発事故や被曝の問題に関しては、様々な考えがあると思うし、何が真実かも分からないので、あのシーンの整合性がとれてるかどうかというのも、人によって違うかもね。
ムトーの卵を焼くシーンは、オレはまったく逆の印象で、むしろ可哀想と思ってしまった。あれで少しは人類が救われるんだけど、そもそもこの映画に正義と悪という図式はなくて、強いて言えばあの中で悪役は、都合次第でムトーを生かしたり殺したりする人間である。どこか人工的なムトーの造形の不気味さは、人間のエゴを象徴しているんじゃないのかな。
といった感じでウノピとはずいぶん見方が違ったようだね。
投稿者 uno : 2014年09月08日 23:48
マツヤマさん
こんばんは。
ゴジラの登場シーンは格好良かったのですが、緻密に描かれているせいなのか、CGのせいなのか、なんだかゴジラがこじんまりと感じたんですよ。というのも、ゴジラには白黒でドドーン!っていうイメージがあって、あのダイナミックさが脳裏に焼き付いていたので。生物ではなく神が姿を現したといった感じ。
あとムトーの卵を焼くシーンを可哀想だとは思わなかったです。。。
と書いていて、ナウシカの王蟲が思い浮かんでちょっとしんみり。
確かにゴジラ自体が水爆で誕生したんだから、人間のエゴですよね。前に書いた「自然は平衡を保とうとする」というのは人間の核に対してゴジラ、ムトーが誕生したことだとも考えられる。渡辺謙の映画内でのコメントはゴジラとムトーの平衡状態を言っていると思いますが。
でもあの場面では人類が助かって良かったと思いました。
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