ライジング・ドラゴン ［強制起訴シリーズ］
起訴者：ヤマネ
強制起訴シリーズ２８弾
ダークナイトより、俺がライジングだっー！
ジャッキー・チェン、最後のアクション超大作！ババーン！
ジャッキー映画の最高傑作との呼び声もあるにはあるが、大丈夫、そんなことはないのである。しかし素晴らしきジャッキー映画であることは間違いなし！
で、ストーリーは・・・
６つの異なる時空を舞台としたジャッキーの俺様アクションをグランドホテル形式で描く。キャストは一人につき一人の人物を演じ、各エピソードにより主役は主役を演じ脇役が脇役を演じるという、複雑でもない手法が取られる。複数のアクション物語が時間を越えて、支離滅裂に進行していくため物語の全体を理解するのが難しい。が、それぞれを具体的に説明すると・・。
- マツヤマ
- こらこらこら！一体何の映画の話をしてるんだ、ヤマネ君。先月のとごっちゃになってるんじゃないか？
- ヤマネ
- 最高でしたねー。特に軍事施設脱出編、工場編、火山突撃編、が凄かったです！マツヤマさんは、どこにトム・ハンクスが出てたかわかったんですか？ボクは分かんなかったんですよー。海賊のメンバーの中に混じってたんかなー。うーん。見つけられなかったよ、トムハンクスの生まれ変わり。
- マツヤマ
- そもそも出て来ないよ、そんなもん。
- ヤマネ
- マツヤマさん、ジャッキー映画はハートで観るんです！どれがジャッキーか？とか考えながら観るんじゃない！
- マツヤマ
- なに言ってんだよ。俺はジャッキー・チェン、よくわかってないんだよ。これまであんまり観て来なかったしな。「酔拳」「ベストキッド」ぐらいかな。
- ヤマネ
- いいなあー、観てない作品をこれから老後にかけてどんどん観る事ができるじゃないですか。ボクなんかほとんど観てしまってるし。よっ、マツヤマさん幸せもの！
- マツヤマ
- 観ないって。興味ないし。とはいえ、この映画がまあまあ面白かったのは事実だけどな。・・・ただなぁ、序盤はカットの細かさとセリフの早さに振り回され、ハイテク機器もいろいろあり過ぎて、機能もいまいち分からないし、展開に付いて行けずに、ちょっと苛立ったよ。って、オレの頭が鈍いだけか？
- ヤマネ
- あの辺は、「なんとなくミッションインポッシブル」ですからジャッキーもよくわかってないはずです！ついていかなくてオッケーなんですよ。ストーリーもほんと、陳腐でしたが、それはアクションシーンを際立たせるための常套手段にすぎません。何の面白みも無いドラクエのレベル上げをしていると思ってストーリー部分は軽く流しましょうー。
- マツヤマ
- その例えもよくわからんけどな・‥。確かにアクションは楽しめた。最後の火山のシーンなんか、感動までしてしまったしな。
- 元店主
- アクションでいえば、冒頭のつかみからバッチリ！だったね。ローラースーツによる逃走劇はコミカルでいてアクション度もバチグン！と、ジャッキー印で、もし私がジャッキーファンなら、これだけで涙したかも。まぁ、特にジャッキーファンではないから、笑っただけだったけど。
- ヤマネ
- 絶対バイクで逃げた方が楽そうなのに、あのアクションがやりたくて見せたくて仕方ないんですよねー。もち最高です。・・・と、やはりアクションはいい、というような声があがるということは、全体としては良い映画とは言いがたい、という事でしょうか？
- 元店主
- まぁ、ストーリーは驚くほど雑だし、使ってる役者陣も安い、全体の印象はB級・・・いやC級？ってな感じかな。でも、そんなこと全く気にならないほどアクション満載で、いいと思うよ。サービス精神に溢れてる。とにかく楽しくて、見せ物としてのゲスっぽい映画の本質を垣間みさせてくれたって感じかな。
- ヤマネ
- 絶賛にしかきこえませーん♪ マツヤマさんは？
- マツヤマ
- まじに最後の歌は良かったよ。それに終盤のハゲタカとの格闘シーンな。見た目は出来そうもないと思っていたハゲタカもかなり上手いと思った。おそらく無名なんだろうけど、どっから探してきたんだろうねアイツ。２人ともとにかく身のこなしが美しく、とことんしつこいところが好きだね。
- ヤマネ
- あー、ジャッキー的にはあの程度、しつこくはないです。しつこいというのは、「酔拳２」の最後の敵である、ケン・ローとの対決とかを言うんですってば！あのバトルは歴史に残る。じゃ、マツヤマさん次は「酔拳２」いっときましょか。
- マツヤマ
- 誰だよ、ケンタローって。
- 元店主
- お、もしかしてヤマネくん？少なくとも私ではない。
- ヤマネ
- ケンタローではありません！ケン・ロー！ ボクは毎度注目してるんですけど。今回も海賊の中に混じって、ドリフみたいなコントさせられてました。殆どのジャッキー映画に出てくる脇役で、元ムエタイの選手。めちゃくちゃ足技が出来る人なんですよ。「酔拳２」ではラスボスにまで抜擢され、足を頭より上にあげたままの間抜けなポーズで眼鏡を外したり、「俺の方が強いな、にやり」とジャッキーに言う映画史に残るシーンが有名です。あんなにアクション出来る人間を毎回しょーもない役に使うジャッキーの鬼のような自尊心が・・・たまらないんです〜。
- マツヤマ
- そうか。今作もあれだけアクションが出来るクォン・サンウを出しておきながら殆ど見せ場を作らないというのも、自分だけが目立ちたいがためなんだな。・・・それにしても、無人島のシーンの出来映えのひどさはどうにかならないのか。あれはもしかして・・・「なんとなくパイレーツオブカリビアン」？
- ヤマネ
- 安心と信頼の３０年変わることの無いくだらなさですね！今時あんな場面をカットしないのはジャッキーぐらいでしょう。ほんっとくだらない！！！！・・・むろん、褒めてます。しかし、今回、セットが全体的にイマイチ良くないと感じました。特に無人島のセット感は・・・やる気なさ過ぎ。あれはむしろ「臆面もなくパイレーツオブカリビアン」でしょう。
- 元店主
- 自分以外の俳優陣の演出もかなり適当だったんじゃない？。えーと、フランスの令嬢？の安っぽさは半端なかったね。あれ素人じゃなかろうか。まぁ、あんまり間が抜け過ぎていて、けっこう笑ってしまったんで、実は好印象だけど。・・・あと、さっきマツヤマさんも言ってたけど、ハゲタカとの対決シーンね。ソファから身体が離れたら負け、とかよく分からないルールをいきなり設定する所とか、ああいうのがジャッキーらしくて良かった。
- ヤマネ
- あのシーン、いけてますよね！チッチ、まだ足がマットに触れてまーす！とか、誰得のルールやねん！・・・って我々か。ほんとドキドキはしないんだけど面白い。その後の女性のバトルも二人とも身体がよく動いていてかっこ良かったし、敵がピンチに手を差し伸べて助けてくれる、ってあたりとか・・・わかってる感じ。
- マツヤマ
- そういや、最後の火山の火口にスカイダイビング・・・という俺が不必要に感動する場面でも、気絶した敵のパラシュートをわざわざ開きに戻ってあげる、とか、やさしいよな。ああいう“いい人をアピール”ってのがジャッキー演出？
- ヤマネ
- そうそう！マツヤマさんわかってきてますね！火山のシーン、めちゃめちゃ感動しますよね！・・・あそこ、30分に一度噴火するほどの危険な場所で、しかも鉄片が周囲に降り注いでいる状態だから、常に目を水で洗い流さなければならなかったらしいです。凄い。いや、こういう場所こそセットで作れよ！といった理性的な意見はジャッキーには野暮なんです！・・・そうだなあ、やはり「酔拳２」以外にも「香港国際警察」「プロジェクトA」ぐらいは最低抑えておいて下さいね！「スパルタンX」も外せないですが。
- マツヤマ
- だから観ないってば！・・・しかしオレ的には、ジャッキーの様にいつもニコニコして優しそうなオモテヅラのヤツは信用できない、と思ってるんだよ。ジャッキーは政治的発言も多いだろ。その発言も、それぞれは幼稚に聞こえるけど、近隣諸国に火種を残す発言ばかりで。でもアメリカに対してだけは当たり障りがない。ジャッキーが「中国共産党寄り」といわれているけど、そこは怪しいとオレは思うな。言っていることはむしろアメリカに都合がいい。日本でいえば櫻井よしことか石原慎太郎みたいな似非愛国者と同じニオイがするんだよなあ・・・。
- 元店主
- あ、マツヤマさんのジャッキー悪人説には納得する所が私もあります。その昔、「香港国際警察／new police story」を観た時に、そのあまりに偽善的な感じに、かなり違和感を感じた事がありましたから。アクションは素晴らしかったんだけどね、あの映画。でも、お話がなぁ・・・。それで言えば、今回のはお話が完全にマンガで誰も死なないし、かえってそれが良かったかも。偽善的な感じも受けることなく、ほっこりと観られた。
- ヤマネ
- もー、二人ともひねくれてるなぁ。ジャッキーはいい奴なんですよ、ほんと、単純に！ナイスガイなんです！
- 元店主
- はいはい。・・・そういえば、奪われた宝を巡って、奪った側と奪われた側で正面切って言論を闘わせてるのもいいんじゃない。ちょっとポレミカルで、だらけた話のアクセントになってる。「今でも強者が世界を牛耳ってる、何か言いたい事があれば強者になれ！」というジャッキーのセリフに、勃興する大国・支那の自信が感じられて、グッときたし。やっぱ次の覇権国は支那かもね。どう思います、マツヤマさん？
- マツヤマ
- そうだな。「ライジング・ドラゴン」はタイトルだけ見れば中国の台頭を意味してるしな。って原題はこれと違うのか。・・・「財宝は本来誰のものか」というテーマからしてジャッキー発言の集大成的な作品とも言えるし・・・。でも・・・実はオレは政治的なことよりも、「本物とはなにか？」というテーマで観ていたんだよな。結果的に「本物のアクション映画を作れるのはオレ、成龍だ！」ということに繋がるんだけど、そこへ到達するまでに、いかに中国の歴史・文化と、自分自身が優れているか、ということを説明している映画なんだと思う。まぁ、納得できるよ。円明園の十二生肖に関しては「事実認識が違う」という意見もあるようだけど、あくまでも娯楽映画だからねぇ・・。自分を中立的な位置に置いているのもよかったと思う。どっちにしても、こういうバランスのとれた愛国的な映画を作らないのは日本だけだと思うぞ。
- ヤマネ
- そのあたり、今作はジャッキーの中国愛の押しつけがネット民からは煙たがられていたりして、一部で「最低だ」とか言われてますね。最後、韓国に日本からお宝が返還されました、というあたりも含め、中国人に言われたくないよ、などと強い嫌悪感を抱く人もいるようです。むろん、ボクはちっとも気にならなかったですけどね。相手の保管状況を見極めた上で、返すべきものは返したらいいんじゃないですか。まあ、無理矢理返してもらう、つまり盗んでるんで、それは駄目なんですが（笑）。
- 元店主
- 他の国のお国自慢を許容できないのは、よほど自分に自信がない証拠だろう。そんなの、温かい目で観ればいいだけなのに。まぁ、今の日本の惨状じゃ、そんな劣等感も仕方ないかもしれないけれど。
- マツヤマ
- 真の“ホンモノ”と呼べるものは唯一で歴史的価値のあるものであり、中国や、その他の歴史ある国の秘宝・財宝こそがそれ。今のヨーロッパとかのブランド品なんて、そんな価値なし。だから著作権とかゴチャゴチャいうなよ！・・・って感じなんじゃない、中国的には。
- 元店主
- ははは、それが支那の本音かも。でも支那が世界覇権を握ったら、そんな理屈も通りますからね。正に、「言いたいことがあれば強者になれ！」ですね。
- ヤマネ
- それはそうと、お約束のNG集が衝撃でした。これまでになく普通で。それほど痛くなさそうなミステイクでジャッキーが暫く起き上がれなかったのを観て、ああ、もう体力的に昔のようには無理なんだな、最後の「超大作アクション」というのも仕方がないかな、と寂しく感じたのです。もちろん次の「大作アクション」に期待してます！
- 元店主
- あれ？やっぱジャッキーはまだアクションやるの？私的には、今回の映画は色々と難はあるものの、最後のジャッキーアクション超大作！という事で、温かい目でみられた部分があったんだけど。
- ヤマネ
- チッチッチ！あまいですねー。いつまでも閉店セールやってる店と同じですよ。これからも続々、最後のアクション大作！最後のアクション巨編！最後のアクションラブロマンス！最後のアクションレボリューション！最後のアクション望郷篇！最後のアクションバックトゥーリベンジ！・・・と、いくらでもやりますよ、ジャッキーなら！
- マツヤマ
- さすが、活動屋魂だな。・・・で、来月（５月）の映画は？
- 元店主
- はい。ふっふっふ。とうとう来ましたよ。これですよ、これ。５月の課題映画は、「クロユリ・・・・わ！わっわ！なんですか二人とも！あ、ちょ、ちょっと！・・・・
──── しばし暗転 ────
- マツヤマ
- はぁはぁ・・・、ええ、と。じゃあ、来月の課題映画を、言って、貰おうか・・・
- ヤマネ
- そ、そうですね・・・ええっと、な、なんですか、ケンタロウさん・・・
- 元店主
- ・・・は・・はっしゅぱぴーです・・・。
- マツヤマ
- よし！「ハッシュパピー バスタブ島の少女」だな！うん、恐くなさそうでいいじゃないか。
- ヤマネ
- まさに！なんかメルヘンチックでいいですねー。恐いのよりは。我々みんなマンションに住んでますからね。日々おだやかに暮らしたいですね！では、来月！
Comments
投稿者 uno : 2013年05月18日 01:22
遅くなってすみません！
私にとってジャッキーといえば日曜洋画劇場のポリス・ストーリー！
でもポリス・ストーリーよりポリス・アカデミーの方が好きです。
日曜の昼、埼玉の某シネコンにライジング・ドラゴンを見に行ったら満員で入れませんでした。埼玉ではジャッキー人気！
結局、平日の夜に有楽町で見たら客席に１０人いないという。どないやねん。
ストーリーがしっちゃかめっちゃかで何がしたいんだかよく分かりませんが、とりあえずジャッキー・オン・ステージな感じで微笑ましかったです。いっそ２時間カンフーしてくれよって思わずにはいられません。
そういえば財宝の話でしたね。完全に忘れてました。
沈んだ金塊が気になります。。。
偽物を作ってる会社の社長が欧米人でしたね。
欧米人が中国の秘宝の偽物を作り、本物をジャッキーが守るって構図が愛国的ですよね。
いやージャッキーなかなか単純明快！
それを日本人が何も考えずに笑って見てるっていうのがいいですよ。
いま知ったんですが、ラストにジャッキーが病院で奥さんと抱き合う、あの奥さんってジャッキーの本当の奥さんらしいです。その為に、とって付けたように奥さんに電話を掛けるシーンがあったのかと思うと。。。ジャッキー・オン・ステージ！
実は一番グッときたのが、エンドロールの音楽でして。あれは格好良かった。ですよね、マツヤマさん！
房祖名「I Don't Want No Trouble」
誰？って調べたらジェイシー・チャンってジャッキーの息子。。。ジャッキー・オン・ステージ！
ジャッキーファミリーに一本取られましたな。
投稿者 マツヤマ : 2013年05月19日 09:37
ウノピ、イロイロ調べてるなあ。
オレは最後の曲そのものが好き、というよりは、あの流れでグッとくるように計算されてるよね。本人のナレーションを重ねる自己演出にまんまと泣かされたけど、それと奥さん登場も含めて「映画の内容と関係ないじゃん」って思ったね。
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