「しんぼる」 [☆☆]
松本人志って真剣に「笑い」のことを考えてる人なんだなって、改めて思った映画だった。
オレの息子マサユキは現在1歳9ヶ月(2009年9月現在)。彼の最初のギャグはやはり「てぃんてぃん」=「ちんちん」だ。オレが教えた。「ちんちん」の次は「ぷ〜」だ。
「ちんちん」とか「おならブー」とかがギャグの原点だとかそういう難しいことじゃなくて、そういうことをあえて哲学的に見せることも含めて「笑い」にしてしまうというのが松本流じゃないのかな? こういうことは本人にしかわかんないことだろうけどね。
公開まで情報をほとんど漏らさず「大日本人」「しんぼる」とタイトルには微妙に政治的メッセージを感じさせ、ちょっと退かせながら、実際に観たら「なんだそっちか!」といいかんじでハズしてくれる、そんなところも天才と呼ばれる所以なのかな。
でも、先が読めてしまうギャグの連続はオレにはちょっとツラかった。宗教が思わせぶりに存在していて、それに対して微妙に笑いを期待させるような作り方もオレは好きじゃない。
オレは「ゴッツええ感じ」というTV番組を一回も見たことはないんだが、それそんなにおもしろかったの? 松本(ダウンタウン)といえば「ゴッツ〜」みたいな、ゴッツ教信者みたいなのが、その番組を基準にして映画の評価をしていて、「ゴッツの方がおもしろい」とかそうじゃないとか、オレにはそれがぜんぜん理解できない。
そういうわけでオレも松本の2作品を観て、ギャグというよりも、思想(オレが勝手に決めた)には好感を持っているんだ。
だけど映画はちょっと幼稚だったな。松本が映画で描こうとしている(オレが勝手に思ってる)メッセージは好きなんだけど、パクり方がちょっとセコいぞ。
ラストはキューブリックの「2001年〜」みたいだけど、あれはあれでイイ。かなり安っぽいけどまぁいいだろう。
でも、全体的にはまんまヴィンチェンゾ・ナタリだ。構造的には「CUBE(1997年)」で見た目は「NOTHING(2003年)」そのものだ。
サンプリングというレベルなら許せるが、こういったマイナー作品をどっさりパクってしまうのはちょっとイタダケない。松本自身がテレビ業界から一歩離れて、テレビファンをアテにしない映画作りを目指していたらもう少し造りが違っていたのではないか。
「大日本人」ではマスコミに対する批判も伝わってきたが、今回はもっと壮大なメッセージを感じるからちょっともったいなかったな。
もうひとつは主演の松本の目の奥に微妙に照れを感じるのはオレだけかもしれないが、観ているこっちも照れくさくなるから、本人が主演を張るのはやめたほうがいいんじゃないか、ってほんと個人的な意見なのだが。
マイケル・ジャクソンは「音楽で世界を平和にする」ということを本気で考えていたんだと思うが、松本は「笑いで〜」と本気で考えているようだ。とりあえずは次回作にも期待しよう。
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