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2008年10月18日(Sat)

「アイアンマン」 ☆☆☆★★

Text by Matsuyama

最近に観た2本の社会派作品のレビューを軽く連載します。

前国防長官ドナルド・ラムズフェルドは80年代のイラン・イラク戦争において、武器(化学・生物兵器含む)支援するイラク大統領サッダーム・フセインとは昵懇の仲であったという。しかしイラクは1988年停戦後の経済回復が困難となり、最新兵器の実験と戦後の経済発展を目論むアメリカの陰謀により追いつめられたフセインがクエートを攻撃したことから湾岸戦争が勃発。それでもフセインの強権政治は崩れることなく、2002年より石油の決済通貨をドルからユーロへの変更を宣言することにより逆にアメリカが追いつめられた。

ディック・チェイニー、ラムズフェルドらネオコン思想家たちは新たなイラク攻撃を画策していると、9.11アメリカ同時多発テロがなんだかずいぶんとタイミングよく発生する。

「またユダヤが9.11やるからアメリカ国内の飛行機移動はイヤだ」とは『ボラット 栄光なる国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(2006)』でのプロデューサー役のケン・ダビディアンのセリフだ。このセリフ一言をぼやかすために、主演(企画)サシャ・バロン・コーエン(もユダヤ人)のさらに過激な言動で予想以上に大ヒットした映画だ。

9.11、これから何が起こるか知っていたはずのブッシュ大統領はフロリダ州の小学校を訪問して「私のヤギさん」を朗読していた(これが就任後、仕事らしい仕事をしてないかったブッシュの久々の立派な仕事)。補佐官から耳打ちされるも自然なリアクションが出来ず、ただただ「私のヤギさん」を読み続けた。最初から心はそこにはなかったのだった。

対テロを口実になぜかアフガニスタンも攻撃されたのは、CIAの資金源となるアフガニスタンでのケシ栽培をタリバンが勝手に禁止宣言したからであり、攻撃後に再開したというが事実だ。

イラク制圧後、決済通貨はドルに戻され、フセインは捕まり処刑された。それらの裏で儲かっているのは武器、航空機、薬品、石油、金融などを独占した民間企業のオーナーである東欧系ユダや人を中心とするネオコン思想家たちだ。

しかし今、サブプライム問題をきっかけに崩壊の道をたどっているのも現在の地球上の最高権力者といわれるシティ・グループのトップ、デビッド・ロックフェラー93歳を中心とした上記のネオコンたちである。

それと共にハリウッド上層部の4分の3を占めるといわれる白人系ユダヤ人が監視するハリウッド映画界も年々、反米、反ユダヤ権力のメッセージを露にした作品が多くなっている。それだけユダヤ権力が衰退しているということだ。ちなみにユダヤ権力批判の第一作は今では「世界一の映画」とまで言われる『市民ケーン(1941、オーソン・ウェルズ)』だ。これも当時は多くの妨害工作に遭い、興行的にも失敗に終わらされたのだった。

そして今年上映された『ラスベガスをぶっつぶせ』はハリウッド上層部、アカデミー賞の茶番、そしてCGに頼りきった現代のハリウッド映画そのものを批判した作品だった。

注:ほとんどのユダヤ人はユダヤ人支配層を嫌っているといいます。ほとんどがユダヤ人俳優によるユダヤ風刺の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001、ウェス・アンダーソン)』は21世紀の『市民ケーン』と言われました。また、ここで言うユダヤ人とはユダヤ教徒ということで、歴史的、民族的な定義と分類は未だ論争中のようです。


まぁ、ここまでもこの後も話半分で聞いてください。私的にこれから話す2つの作品の政治的要点をまとめるとこうなるわけです。娯楽作品としても大変おもしろい作品だったのですが、今やネット界にはレビューが溢れかえっていますので、そっち方面のレビューは適当なのを探して読んでもらえたらいいかと思います。

さて、ラムズフェルドらネオコン思想家とそのまんまキャラが被るのが『アイアンマン』の主人公トニー・スタークが社長を務めるアメリカ最大手武器メーカー「スターク・インダストリーズ」の先代からの重役オバディアですね。

そして親友のローディは軍人でありながらトニーの理解者でもあることから、現在のアメリカ国民だけではなく、軍部のエリート層でも戦争に反対する者が多い、または声にすることが可能になったことを語っているんでしょうね。トニー(アイアンマン)が空を飛んでいるとき、謎の兵器と思われ米軍の戦闘機に攻撃されたことから、後半ローディが「自分に手伝えることは?」といった意味でトニーに聞いたとき「飛行機を飛ばさないでくれ」と返したのは単にシャレではなくて、言葉の裏には「もう戦争をやめなさい」という意味だと私は捉えました。

『アイアンマン』は続編を経て、マーベル・ヒーローがチームとなる『アベンジャーズ』を2011年に公開予定という情報がありますが、2010年の上海万博を期に完全に覇権が中国に移るといわれてますので、そのときはもうアメリカは今のようなワールド・ポリスではありませんから、国連軍のようなアベンジャーズがいったい誰とどう戦うのかが見物です。ー「中国もアメリカもどっちもどっちだから、優れた技術を持った日本は今度こそ本当の独立国家になるべきだ」といったエールを送ってくれたのは『スピード・レーサー(ウォシャウスキー兄弟)』です。表向きは原作ファンを喜ばせる作りになっておりますが。ー とにかく、80年にわたるアメリカの覇権時代が終わるのですから、アメリカン・ヒーローの行く末を見守るのも映画の楽しみ方のひとつとしてみてはいかがでしょうか。

次回『ゲット スマート』へ続く...

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