ザ・ウォーク [強制起訴シリーズ]
起訴者: 元店主
強制起訴シリーズ62弾
2001年9月11日の同時多発テロにて崩壊してしまったワールドトレードセンターのツインタワー。それまではNYの象徴として多くの人に親しまれていたこの二つのビルの間にワイヤーを張り、そこを綱渡りした男が居た。フランスの芸人フィリップ・プティ。彼が1974年に行ったこの快挙は、「マン・オン・ワイヤー」としてドキュメンタリー映画になっているけれども、これは同じ快挙をフィクションとして撮ったもの。主演はジョセフ・ゴードン=レビット。監督はロバート・ゼメキス。最新の映像技術によって、ほんとに地上110階のビルの間を綱渡りしてる様な感覚が味わえる!と評判の映画です。
- ヤマネ
- やー、楽しかったですねー、もう最高!・・・と、最初にお二人にきいておきたいんですが、どこで観られたんですか?ボクはTOHOシネマ二条のアイマックスシアターで3Dですよ!もちろん!
- マツヤマ
- オレも同じだよ。
- 元店主
- 私はMOVIXだったから普通のスクリーンだったけど・・・それでも一応3Dで観た。けっこう凄かったよ。今まで観た3Dの中で一番凄かったかも。ま、あんまり3Dは観たことないけれど。
- マツヤマ
- オレも3Dには特に興味がないし、今まであんまり面白いと思った事もないわけだが、これは凄かったな。別に高所恐怖症って訳でもないんだが・・・わ!もう耐えられん!と、何度も目を瞑ったよ。
- 元店主
- 私も手の裏と足の裏にビッショリ汗をかきました。心臓もバクバクしたし。
- ヤマネ
- ボクは前半の綱渡りの最中に棒を落すところが一番ドキっとしました。画面のこちらに向かって棒が落ちてくるもんだから、思わず声をあげてよけちゃいましたよー。恥ずかしー。
- マツヤマ
- ああ、あそこな!よけた、よけた。オレもよけた。オレもバツが悪かったから、思わず周りを見回したな。
- 元店主
- ははは、みんな同じですね。私もよけましたよ、思いっきり。それで隣の椅子に頭を打つけました・・・。
- ヤマネ
- ケンタロウさん、マヌケですね。決してビルの間で綱渡りとかしないで下さいね!・・・ボクはけっこう3Dとか観るんですけど、これは今まで観て来た中でも最も見せ方が効果的だったと思います。奥行きの表現とか。うーん、なんて言うか、3Dって俯瞰的になりがちなんですよ。空間全体を見せて、奥行きを感じさせる、というか。でもこの映画は、常に人間に焦点があってるというか、視点も人間的で限定的。それによってリアルに緊張感が伝わってくるんですねー。うまい、と思いました。
- マツヤマ
- まぁ、そうだな。確かにラストの綱渡りのシーンは凄かったんだけど、でもそれまでがダルくないか?
- ヤマネ
- ええー!そんな事ないですよー。ボクはむしろ綱渡りに至るまでのシーンの方が面白かったです。どんな経緯でそんな事を思いついたのか、どんな計画を立て、どんな風に仲間が集まり、どんな風にビルに忍び込んだのか・・・とか。ちょっとしたクライムサスペンスですよ、これ。
- マツヤマ
- いや、オレも実際は楽しんで観たんだよ、そこらは。でも・・・それはやっぱ“実際にこんな事があった”という事実に引っ張られているからじゃないか、とも思ったんだ。もし本当にこんな事があった、という事実を知らないで観たら、あるいは、そんな事実はなくて完全なフィクションだとしたら、ここまで面白かっただろうか?
- 元店主
- 私は、それでも十分おもしろいと思いますけど・・・。フィクションとしても、とてもよく出来ている、と思うんです。だから、どこまでフィクションとして作ったのか、という興味はありますけど、それ以外では、あんま、これが実際のできごとの再現だとかどうとかいう事は考えないです。
- マツヤマ
- ううむ、でもなぁ。うまく矢が届かない、とか、ワイヤーを落しそうになる、とか、衣装を落してしまう、とか、そういったフィクションの世界なら“失敗フラグ”にあたるものがたくさんあっただろ?それでも結局成功するんだから、フィクションとしては、どうなんよ。
- ヤマネ
- ええー、マツヤマさん、それ“失敗フラグ”じゃなくて“成功フラグ”じゃないですか?“失敗フラグ”はむしろ、あり得ない幸運が次々舞い込んだりするとかでしょ。ボクはむしろ、あまりに“成功フラグ”が多いんで、フィクションとしては優等生的だな、と思ったぐらいですがー。
- マツヤマ
- それとか、WTC(ワールドトレードセンター)に挑戦するのが、いきなり過ぎないか?もっと、ノートルダムから初めて、徐々に高いビルに挑戦して、遂に・・・といった方が、フィクションとしては盛り上がると思うんだが。
- 元店主
- いや、私は逆にあのいきなり感が凄く良かったです。WTCの完成予想図を観て、これだ!と思う、あの感覚。あれはよく分かる。だって当時世界で最も高いビルが二つ、並んで建ってるんですよ。その二つを繋いでそこを渡るって・・・めっちゃ子供の発想。
- ヤマネ
- 童心、と言えば聞こえはいいけれど、要するに幼稚なんですよねー。でも、その幼稚な事を大人が大真面目にやれば、過激な事になってしまう、というー。
- 元店主
- その通り!無意味でバカバカしいけど、なぜかみんなの心を動かす。それに立ち会った人たちを、ウキウキと嬉しい気持ちにさせる。これは・・・アニメも同じなんですよ!幼稚でバカバカしい事を、大人が大真面目に、才能と努力の全てをぶち込んで作るが故に、素晴らしい!
- マツヤマ
- そこに話を持っていくか!!・・・全く、アニヲタは油断も隙もあったもんじゃないな。
- ヤマネ
- まーまー。ボクは建築家として、やはりWTCが見事に再現されてるのに感動・・・っていうか、不気味さ?いや、畏れを感じました。テロアタックによるWTCの崩落は、いまだに引きずらざるを得ないんですよねー、建築に携わるものとしては。
- 元店主
- あの建築中のビルの様子とか、面白かったよね。屋上の様子とか。あと、未だに正体の分からない謎の人物が突然現れたりとか。あれ、現実にあったんだろうね。
- マツヤマ
- そうなんだよ。オレもあれの事もあるし、ワイヤーを締める道具を隠していた穴とかが気になってさ。
- ヤマネ & 元店主
- ???
- マツヤマ
- いや、だってあの穴、ダイナマイトとか入れるのに丁度いいんじゃないかと・・・。
- 元店主
- そこに話を持っていきますかー!・・・さすが、陰謀論者は油断も隙もあったもんじゃないですねー。
- マツヤマ
- しかし、あの綱渡りを「クーデター」と呼んでたのは大袈裟だよな。ま、74年という時代もあるんだろうけど。
- 元店主
- 「クーデター」というより、あのビルに生命を吹き込む儀式みたいなもんですよね。建築中からNYッ子に「醜い箱」として大不評だったWTCが、あの事件で特別性が付与され、NYッ子にも愛される様になり、NYの象徴にまでなった訳ですから。・・・でも、その象徴性故にアルカイダに目をつけられて、テロの標的になった訳だから、やっぱある意味、クーデターだったのかな?
- ヤマネ
- いや、ケンタロウさん、テロとクーデターは違いますから。そんなこと言ったら、みなさんに叱られますよ!みなさん、すいません!
- 元店主
- 代わりに謝ってくれてありがとう。いや、面白い映画だったよ。かなり楽しめた。けど・・・なーんも残ってない感もかなりあるんだけどね。もう、ほぼ忘れた。
- マツヤマ
- あ、それはオレも同じ。観てる間は面白かったけど、印象薄いよなー。
- ヤマネ
- ボクもでーす!なーんも残ってません!メッチャ楽しいけど、なーんも残らない映画、それが「ザ・ウォーク」!
- マツヤマ
- そんなまとめでいいのか?
- ヤマネ
- いいんです、いいんです。スペクタクルなんてそんなもんなんだから。で、マツヤマさん、2月の課題映画はなんですか?
- マツヤマ
- おお、アカデミー賞に多数ノミネートされている超話題作、「キャロル」にするよ。
- ヤマネ
- がー!同性愛映画・・・。
- 元店主
- なに?ヤマネくん、その顔。これは原作がパトリシア・ハイスミスだし、監督がトッド・ヘインズ。主演女優がケイト・ブランシェットにルーニー・マーラだから、面白そうじゃない?
- ヤマネ
- んんー、まー、ブツブツ・・・てな訳で、また次回!
Comments
投稿者 uno : 2016年02月07日 22:14
こんばんは。
私は3Dの上映時間に合わなくて2Dで見ましたが、結果として2Dで良かった。。。
てか、怖すぎる!
高所恐怖症なんです。。。
見るまでは、WTCの間を綱渡りする映画だろ、って気軽に思っていて、映画の前半なんて牧歌的にすら思っていたのですが、仲間になる高所恐怖症の数学教師が出てきてから一変。
映画の視点が数学教師の視点になってしまったんです。
正直、え?って思うくらいに。
もう冷や汗かきまくり。
一番怖かったのが、WTCの最上階の地上まで筒抜けの空間で、梁の上にじっとする場面。異常なまでに緊張しました。自分は映画館のどっしりとした椅子に座っているのに!ブーツを下に落とすところなんて、ベタなんですが震えました。
実際の仲間に高所恐怖症の数学教師がいたんでしょうが、視点の切り替えが鮮やかで、上手い!と唸りました。まんまと嵌っただけなのかも知れませんが。
グッときたのがサーカスの師匠のパパ・ルディで、実に格好良かった。
綱渡りのロープ張りの秘伝を伝授するけど、最後には自分で確かめるのが一番大切ってのが、何だか今の自分にも響くメッセージでした。フィリップから集めたお金を貯めていて、渡す場面も良かったし。
フィリップがNYに着いて地下鉄から地上に出るときに掛かったのが
Sly & The Family Stone / I Want To Take You Higher
でフィリップの高揚感がダイレクトに伝わってきて良かった!
見終わった後に残った疲労感が尋常じゃなかったけど、こうやって振り返ると楽しんでたのかな、なんて。
二度と見たくはないですが(笑)
投稿者 オーソン : 2016年02月11日 23:20
ウノピさん同様、僕も高所恐怖症です。歩道橋はできる限り渡りません。京都タワーで眩暈がしました。観覧車も怖いです。昔は付き合いで乗ることもありましたが、いまは断固拒否します。観覧車内でわざと揺らす輩には殺意を覚えます。というか、殺しても正当防衛だと信じております。
全体として、まあ楽しめた映画ですが、高所恐怖症の彼をビルの上の仕事に割り当てたら駄目でしょー!このキャラクターが出てきた瞬間から、絶対に嫌な目にあわされるとドキドキしてみていたら、案の定…。ワイヤーのたるみをしめさせるシーンでは、主人公が自分でやったほうが絶対に速いから!と思いながら観てました。この辺りも事実ならかなり酷いと思います。
クライマックスにワイヤー上で警察官に捕まらず、主人公が行ったり来たりするシーンが一番楽しかったですね。ただ、捕まってからビルの下に戻った時、多くの拍手で迎えられるシーンはなんだか冷めてしまいました。現実がどうだったかは知りませんが、もう少し抑え目の演出の方が好みです。
観たのは2Dです。3Dで観るべきだったかも知れないですね。ただ、3Dだと(怖くて)何も観れなかったかも(汗)
投稿者 マツヤマ : 2016年02月12日 08:04
2人とも2Dなんだぁ。それでも遊園地のアトラクションみたいな感想になるってことは、その要素での、一定のレベルは保証されてるってことか。
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