「リベンジマッチ」 [強制起訴シリーズ]
起訴者:元店主
強制起訴シリーズ41弾
爺になったスタローンとデ・ニーロがボクシング対決!え?それって、ロッキー・バルボアVSジェイク・ラモッタなの?座頭市対用心棒みたいな・・・? ・・・1980年代初頭のピッツバーグ。お互いライバルとしてチャンピオンの座を争っていたヘンリ−(スタローン)とビリー(デ・ニーロ)。一勝一敗で迎えた決戦の直前、ヘンリーが謎の引退をし、決着は宙に浮いてしまう。それから30年。運命の輪は、彼らを再びリングへ呼び寄せる!
★
- ヤマネ
- 満足して劇場を出られました。大満足・・・という訳ではないですが、ボクは全然オッケーです!
- マツヤマ
- 期待してなかっただけに、割と面白く観られたよ。良い意味で“大味なハリウッド映画”って感じ?
- 元店主
- うーん、まぁ、そうですねぇ・・・。
- ヤマネ
- あ、ケンタロウさんはダメだったんですね?まぁ、これは100%アイドル映画ですからね。スタローンやデ・ニーロにさして興味のないケンタロウさんには辛かったかもしれませんね。
- 元店主
- いや、そこらは覚悟してたし、まぁ、いいんだよ。でも・・・
- マツヤマ
- ギャグが寒かったか?それとも、音楽がイマイチだったとか?
- 元店主
- いえ、ギャグのレベルは、ベタですけどそんなに低くなかったと思いますよ。割と笑ったし。音楽も、ダサい所がはまってて結構いい。観てる時はそこそこ楽しめたんです。でも・・・何と言うか・・・その、見終わった後の虚しさがハンパない、というか・・・ものすごーく時間を無駄にした様な・・・。
- ヤマネ
- でもそれは仕方ないですよ。往年のファンが喜んでくれればそれでいい、という、とても低い志で作られてますから。映画というよりテレビに近いノリなんじゃないですか。
- マツヤマ
- そうだな。スタローンとデ・ニーロのどつき漫才っぽかったよな。オレも例の深読みをやろうかと思ったんだけど、浅過ぎて出来ないの。深みが全くない。だから、まぁ、お気楽に楽しむエンターテインメントムービーだよ。でも、日本の下らないエンタメ映画に較べたら、ちゃんと出来てるだろ。
- 元店主
- お二人の仰ることは納得できるんですが・・・でも、やはり、この虚しさは・・・、ああ、なんでこんな映画を観てしまったんだろう・・・。
- ヤマネ
- それはケンタロウさんが起訴したからでしょ!自分で起訴したんだから、責任持ってなんか問題提起して下さいよ!はい、それまであっち行って・・・・・・さぁ、マツヤマさん、邪魔者は居なくなったんで、二人でこの映画の素晴らしさについて語り合いましょう!
- マツヤマ
- オレは別にそんなにこの映画を評価してる訳じゃないよ!
- ヤマネ
- まぁまぁ。えへん。・・・スタローンファンのボクとしてはですねぇ、実は最初、これ『ロッキー・ザ・ファイナル』と一緒やん!と思って、のれなかったんですよ。でもやはりラストのボクシングファイト!あそこでグググーっと評価があがって、締めのタイソンとホリーフィールドでもう二重丸!最高の映画でしたね!!
- マツヤマ
- そうかぁ?ラストのファイトシーンは別に普通だったけど。それに、あんな老体であそこまでラウンド保つわけないだろ。
- ヤマネ
- ボクとしては、スタローンとデ・ニーロが同じリングにたつ、というのが感無量だったんですよ。もともとこの二人、役者としての格が違うじゃないですか。それが、スタローンがジワジワと格をあげ、デ・ニーロが無節操に映画に出まくることでジリジリと格を下げ、遂に同じリングに!・・・胸がいっぱいになりますよね!
- マツヤマ
- ふむ、そういう業界内の立ち位置と絡めての感想ならオレにもある。最近のハリウッドって、40歳以下のスターが居ないだろ?いつまでも同じ奴がスターとして居座ってて、若手のスターを育てる気がないんじゃないか、とさえ思える。そういったリアルなハリウッドの現状を、最後のファイトのグダグダ感が象徴してる様な感じがしたな。あの、老体がお互いを助け合いながら最後のラウンドまで闘うってところね。
- ヤマネ
- なるほど。にしても、キム・ベイシンガーの老けっぷりにはビックリしましたね!最初、誰か分からなかったです・・・。
- マツヤマ
- 確かにな。数年前に何かの映画でキム・ベイシンガーを観た時は、オレ好みの熟女ッて感じでかなり良かったんだが、この急激な荒廃っぷりは・・・。うむ、何の映画だったかな?えーと、あ、『セルラー』だ。
- ヤマネ
- ん?『セルラー』って、もう10年くらい前の映画ですよ。
- マツヤマ
- ええ!あれからもう10年も経ってんの?・・・時の流れは早いよな。この映画、30年振りのリターンマッチ、で、お互い30年間も相手に拘り続けたという事なんだけど、これ、観る人の年齢によって受け取る感じが変わるだろうな。はっきりいって、オレぐらいになれば、30年前なんてそんな昔じゃないんだよ。30年前にはすでに社会人だったからね。でも、若い人にとっては30年なんて大昔なんだろうな。
- 元店主
- ・・・はぁ、はぁ、・・・た、ただいまー。
- マツヤマ
- おう、おかえり。何処行ってたんだ?
- 元店主
- ちょっと鴨川まで行って考えを纏めてきました。・・・うーん、えーとですね、この映画、スタローンもデ・ニーロも凄く幼稚だと思うんです。
- マツヤマ
- まぁ、そうだな。スタローンは30年前に自分の彼女をデ・ニーロに寝取られたのにぶち切れてボクサーやめるわ、でもそのまま彼女のことを思い続けて30年。中学生魂爆発だな。
- ヤマネ
- デ・ニーロは一応事業で成功してますけど、すぐ欲望に流される所とか、軽薄で責任感がない所とか子供ですよね。
- 元店主
- でも現代って、大人はみんな幼稚化してると思うんですよね。それはつまり、幼稚でも大人になれるのが現代なんだ、と思う訳です。で、それはなんでかというと、現代社会のシステム化・合理化・スタバ化が進んでいるからで、それはつまり、システムに妥協して従属すれば、それで社会人=大人になれる、という事なんです。
- ヤマネ
- ほう。
- 元店主
- でも私が考えるに、本来、大人になるというのはそんな事ではないはずなんです。社会のシステムに従属して一個の歯車の様に、ロボットの様になるのが大人なのではなく、一人の自律した人間として世界と闘えるのが大人なんだと思う訳ですよね。まぁ、こんな事を考えたのは、先日エドガー・ライトの新作『ワールズエンド』を観たからなんですけど。
- マツヤマ
- あ、オレも観たよ。良かったな、あの映画。
- 元店主
- ええ。あの映画でも出て来る大人たちはみな幼稚です。でも、システムにある程度従属する事で社会人としてやっていってる。主人公のキング以外は。・・・キングは、システムに従属する事を徹底的に拒否したんです。で、結果としてアル中として社会の落伍者に。そのキングが、ひとりの立派な大人になるまでの闘いを描いた作品だと思うんですよ、「ワールズエンド」は。コメディですけど。
- ヤマネ
- コメディという点は「リベンジマッチ」と同じですね。
- 元店主
- つまり「ワールズエンド」には、現代社会に対する批判の視点がある。でも、「リベンジマッチ」にはそんなもの欠片もない。幼稚でも大人になれる現代社会、システム化・合理化・スタバ化が進んだ現代社会の無批判な肯定の上に、無自覚に映画を撮ってるんですよ。テレビも観ないで、現代社会に背を向けたストイックな生活をしていたはずのスタローンが、最後には大型テレビを買ってみんなでそれを観てるラストシーンとかね。なんというか・・・そこがねー、やっぱ少々楽しくても、観ていて虚しいんじゃないか、と。
- ヤマネ
- まぁ、分かりますけど・・・でも、さっきも言ったように、これアイドル映画なんですよ。批判精神もへったくれもなく、ただただファンに迎合して作られてるんで・・・そんな突っ込みする方が虚しくないですか?
- 元店主
- ヤマネくんが何か問題提起しろと言うからしたんじゃないか!・・・全く、こんな意味のない虚しい映画を観るくらいなら、家で「まどマギ」のDVDを観てれば良かった。
- マツヤマ
- ははは、確かに批判精神とか問題意識は皆無だよな、この映画。例えばイーストウッドみたいに“老い”というものを真剣に考えてる様子もないし。ただ老人がじゃれあってるだけ。
- ヤマネ
- まぁ、ファンとしてはそこが良いといいますか・・・スタローンが鉄屑でなんか作品を作ってるとことかね、ププ。おもろい・・・。まぁ、とはいえ、ボクもすでに記憶から消えかかってる作品ではありますけどね!
- 元店主
- やっぱ意味ないやん。てか、まぁ、いいけど・・・では、来月の課題映画は?
- マツヤマ
- オレだな。うん、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の新作「プリズナーズ」だ。
- ヤマネ
- 次は如何にも問題意識に溢れた作品っぽいですね!では、また!
Comments
投稿者 uno : 2014年05月05日 10:50
遅くなってすみません。
私は面白かったです。
映像はダサいんですが、大味でアメリカンなところが、許せるっていうか、なんかええかなって。デニーロが食べてたシロップでべちゃべちゃのパンケーキのようで。
私がこの映画を好きな理由に二人のトレーニングに関しての描かれ方があります。
当初、デニーロ、スタローン共にお互いを倒す事が主目的であったのが、トレーニングを続けるうちに、トレーニングをする事自体が喜びに変わっているように感じたから。
これは老いてから(競技から離れて、にも当てはまる)のトレーニングの在り方として大いに共感しました。
次に、老練ボクサーのボクシングを通してのコミュニケーション。グダグダに見えますが、お互い世界チャンピオンですから。絵面としてはどうかな、なんて思うんですが、手の内を知り尽くした者同士の闘いは面白い。ただ、大味すぎる感は否めませんが…
丁寧に撮ってたらもっと引き締まった映画になったと思うのが残念。
謎なのがスタローンの引退。
スタローンは工場での爆発で網膜剥離になったって言ってますが、引退の原因は網膜剥離だと思ってます。スタローン照れ屋やから。
一番興奮したのがスタローンがリングに上がる時に、AC/DCの"Back In Black"が流れたとき。このアメリカンさは好き!アドレナリン出ました。
結構満足しましたよ。
投稿者 元店主 : 2014年05月06日 02:10
うのぴへ
確かにAC/DCでは燃えたよね。その前のエドウィン・スターではズッコケタけど。
にしても、うのぴがスタローンの引退理由が網膜剥離だと信じたい気持ちはなんとなく分かる様な気がするけど、網膜剥離だと別に隠す必要ないやん。
こんな映画、杉作J太郎以外に誰が喜ぶねん、と思っていたけど、うのぴだったんだね! 言われてみれば、スタローンのデートシーンとか正にうのぴ向けだわ。あれを参考に、是非デートに励んでくれ。ただし、ぶち切れて引退しない様に。
投稿者 マツヤマ : 2014年05月08日 21:06
網膜剥離で引退!
オレもそれだと思う。そもそもボクサーはボクシングで網膜剥離になるのが最も自然。
スタローンが女のことでデニーロに仕返しするなら、まずは試合でボコボコにして勝ちたいと思うはず。本来2勝しているスタローンには、その自信があるのだが、網膜剥離が発覚して、試合が出来ない。または、やっても負けるかもしれない。ということで、次に考えたのがデニーロから生き甲斐を奪うこと。しかも万全の状態、勝ったままの状態で引退することが、より相手へのダメージが大きいから秘密にしていた。と考えると、いろいろと合点がいくんじゃないかな。
投稿者 元店主 : 2014年05月09日 02:23
網膜剥離で引退・・・絶対にあり得ません!
まづ、スタローンの対デ・ニーロ戦の戦績は、一勝一敗だったはず。しかもその一勝は、デ・ニーロの体調が万全でなかった時のもの(その事をスタローンも認識していた)。つまり、この映画の設定では、スタローンはデ・ニーロより弱いんです。少なくとも、現役時代はそうだったはず。だから、スタローンは女の事でデ・ニーロをボコボコにしたいのは山々だができる自信がない。故に勝ち逃げした訳で。そんな卑怯な理由だったからこそ、恥ずかしくて引退の理由を秘密にしていたんだと思う。
そもそもあの状態で引退して、大騒ぎだったんだから、もし網膜剥離してたんなら、それはマスコミにばれていたと思う。医者には行ってるはずだから。それに当時のコーチだったあの爺さんが、その事実を知らなかったのも不自然。
確かに、自分の女をデ・ニーロに奪われたから、お返しにデ・ニーロからボクシングを奪うために引退した、という理由は不自然極まりない様に思えます。しかし、それこそがこの映画のミソな訳で。
つまりスタローンは、自分にとって君(キム・ベイシンガー)は、ボクシングと等価、あるいはそれ以上の存在なんだよ、と言いたい訳です。一見ただのボクシング映画に見えますが、これは恋愛映画でもある訳です。だから、網膜剥離が実は引退の原因だった、なんて事は絶対にありえません!引退しなくてもいいものを、敢て引退した。だからこそスタローンの純情が光る訳です
恋愛に対するスタローンの徹底した不器用さ、別れた後も30年間も彼女だけを思い続ける純情さ、鉄屑で孤独に犬の彫刻なんか作ってるアーティストマインド、これらを楽しむことこそ、スタローンを楽しむって事ではないでしょうか。ね、ヤマネくん?
まぁ、私はあんまり楽しめないんですけど。
投稿者 マツヤマ : 2014年05月09日 09:15
薄れゆく記憶の中で新たなストーリーを生み出したみたいだ。確かに観てた時には疑問を感じていなかったし。でも2勝1敗というのが最初からの記憶違いだったよ。それだから曖昧になるわけだ、トホホ。
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