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2014年03月31日(Mon)

「魔女の宅急便」 強制起訴シリーズ

起訴者:ヤマネ

強制起訴シリーズ40弾
「魔女の宅急便」
清水崇 監督

「魔女の宅急便」といえば、原作小説の方ではなく、ジブリ版のアニメ作品を思い浮かべるのが大勢のこの世の中で、実写版「魔女の宅急便」が出た!当然、ジブリ版の実写化か?という誤解が出るだろうが、さにあらず。原作の実写化です。とはいえ・・・こんな最初から悪評と罵倒にさらされるであろう暴挙をよくやったもんだ。その勇気は買いたい!と今回の課題に選ばれた次第。しかし・・・監督はホラーの清水崇。なんかもう、ムチャクチャですがな。

マツヤマ
まあまあ、ってとこかな? 予想通りというか。とくに嫌いと思う部分もなかったしな。
ヤマネ
ええ、そんな感じですね。なんというか、つまんないんだけど、別に声を大にして非難するようなもんでもない、というか・・・(ちらっ)。
元店主
私もお二人と同意見ですね。思ったほど酷くない。確かに、特撮はトホホだし、お話も別に面白くないし、撮り方はもっさいし、変な歌使ってるし、子供たちの演技は酷いし、主役の女の子も駄目だけど、嫌な感じはしない。
ヤマネ
・・・なんかケンタロウさんからは、全然、嫌な感じがしなかった感じはしないんですけどー!
マツヤマ
ややこしいなあ。まず、そもそもさ、オレとケンタロウさんは宮崎駿版の「魔女の宅急便」を観ていないわけだよ。だからこの実写版を原作の映画化として、固定観念なしに観られた、ということがある。それがヤマネくんを含む大半の人たちとオレたちとの違いだよ。何せアニメファンからは、今更実写化なんか必要ない!夢を壊すな!とか散々言われているらしいからな。
元店主
私は角野栄子の原作も読んでませんが・・・推察するに、まぁ、子供向けのお話だよね?そもそもそんな面白い話でもないと思うんだけど。この映画のことをボロカスに言っている人が多いという事は、よほどアニメ版が優れているということなのかな。でもジブリ版は原作をかなり変えているとの話で、故に原作ファンの中にはそれに不満を覚えた人もいると聞いた事がある。なので、この映画は原作に忠実に撮った・・・らしいけど、こんなんで原作ファンは満足したのかな?
ヤマネ
満足しないでしょー。もうすでに上映終了してるぐらいですし。個人的には宮崎版の魔女の宅急便は、そこまで傑出している完成度ではないと思っていますけど、多分本人が一番体力があったり油が乗っていた頃なんじゃないかな、ストックホルムをモデルにした風景とか建物とかの描き込みが凄く美しいし、何より宮崎駿が撮りたいのは空を飛ぶ事ですからね。それが少女とくれば、大好物でしょ。飛ぶシーンの爽快感はアニメの圧勝。
元店主
そうなんだろうね、「風立ちぬ」を見たからそれはわかる。 アニメ版の飛行シーンは気持ち良さそうだなぁ・・・。それに対してこの映画は・・・なんじゃそれ?という飛行シーンを筆頭に、気持ち悪いカバとか不自然なネコのCGとか、特撮のダメさ加減は、むしろわざと?というレベル。もしかしてわざと70年代少年少女向け映画を模倣してるのかなと思ったくらい。「アルゴ」とか「アメリカンハッスル」みたいに。
ヤマネ
んな訳ないでしょ!・・・でも、確かに「おかあさんといっしょ」ぐらいのCG合成感だったですね。
マツヤマ
もう、ネコがぜんぜん可愛くない。というか気持ち悪い! ここは嫌がられながらも本物のネコにこだわった「黒執事」を褒めてあげたいよ。
ヤマネ
このサイトを読んでる殆どの人が、ボクを含めて実写版に興味がなかったと思うんですけど、強制起訴した理由はもちろん清水崇監督だったからです。この組み合わせが斬新だけど意味不明。で、実写化するのも理解不能だったんですが、つまりは、原作版「魔女の宅急便」が24年をかけて、去年漸く完結したんですってね。で、原作者の角野栄子が実写化を望んだそうです、集大成として。誰かが貧乏くじを引かないといけなくなったわけですが、プロデューサーの梅川治男が、オムニバス映画『非女子図鑑』で清水崇がやったオープニングとエンディングがファンタジックだったので、声をかけたということらしいです。ファンタジーとホラーはあんまし変わんないでしょ、と言われたそうです。違うと思うんだけどなあー。というか、清水崇が自ら望んだ映画化じゃないのが痛いっす!
元店主
確かに、清水崇である必要が無かったと思う。「呪怨」は割とよく出来ていた印象だったのに。・・・私が最も残念だったのは、主役の子がこの映画にあってない、と感じたこと。だって、ほうきにまたがった姿が全然ダメなんだもの。それじゃ魔女はできないよ。魔女はそれ基準で選ばないと。それからなんか、めっちゃ体育会系だし。体育会系の魔女って・・・私的には全然だめ。これは私の邪推だけど、清水崇もこの子に思い入れ持てなかったんじゃないかな。とても魅力的に撮ろうとしてる様にはみえなかった。持ち込まれた企画だし、なんか映画業界の色々なヤな事が想像できる感じ。
ヤマネ
小芝風花。もちろん知りません。イオン&オスカープロモーションガールズオーディション2011にてグランプリを獲得した、ということらしく、要するにこの子のゴリ押しプロモーションだろ!って文句言っている人も多いそうです。別にどうでもいいけど。
マツヤマ
オレは、可愛いいと思ったね!ほとんど無名に近いということで、色が着いてなく新鮮だったと思うし、未完成の魔女というのにも、まあまあ合ってたと思うぞ。ただ、やたらめったら肌の露出が多かったのがなぁ。監督の意図が今ひとつわかんないよ。
ヤマネ
実際近くにいたらとても可愛いいと思いますよ。眉毛がしっかりしているし、なんか親近感がある。ただ、もう少し13歳の少女的なおぼこさが欲しいなあ、と思ってみてました。
マツヤマ
むしろ絶対的に駄目なのが、タカミカラの歌だよ。演技がアレなのはともかくとして、何故にJソウル? いちおう日本の映画だから日本語で観てるけど、実質、言語という概念を越えたファンタジーとして受け止めていたのに・・・Jソウルだし、英語のサビだし、シラケたなー。それにあのレコードジャケットはどう見たってジャズかシャンソン、あるいは昭和歌謡だろ?歌が良いとか悪いとかじゃなくて、Jソウルはお話にぜんぜん合ってないよ! そもそもびしょ濡れで歌うところも、わざわざ外に出て、あの小さくて丸い台に「よっこらせ!」と上がってるとことか想像してしまって笑っちゃったよ。PVっぽくて、商業主義がもろ表面に出た感じだな。
元店主
そらあそこは絶対に和製シャンソンか昭和歌謡でしょうー。わかってないですよねー。
ヤマネ
でも、あそこクスっときましたけどね。ふふ。
マツヤマ
笑えるといえば笑えるけどな。あと良かった点は、街とか家とか、セットが良かった。ほうきを盗まれて追っかけて行くときの通りの店なんかも素敵で、それはレトロとか無国籍というより、ファンタジーと現実の狭間のような不思議な感覚かな。タカミカラの石造りの家もカッコよかったしなぁ。
ヤマネ
文句たれつつ、タカミカラのセンス好きなんじゃん。
マツヤマ
家だけだよ!まさかあそこにデラックスな人が住んでるとは・・・
元店主
まさしく、私がこの映画を評価する点があるとしたら、それは美術です。ここは全く期待してなかっただけに、大いに驚きました。キキの実家がまず良かったのに始まり、パン屋さん、その屋根裏部屋、コリコ街の様子など、素晴らしい。これは誰がやってんだろ、と思って調べたら、岩城南海子とかいう人。この人は「まどマギ」における劇団イヌカレーみたいなもんで、それだけで私のこの映画に対する好感度はアップしましたね。
ヤマネ
二人とも、あの世界観、嫌いじゃないんですね・・。セットね、何と言うかボクは違和感を拭えず、実はアニメ版の方が好きです。今回のは小豆島というか瀬戸内海のロケですし、ちょっと微妙に和の要素が画面の隅々に残ってるじゃないですか。グーチョキパン店なんか、屋根が瓦だし。風車小屋と瓦屋根? んでそれに、洋風の縦長の窓・・ちょっと組み合わせが気持ち悪いんです。ひょっとしてセットなのに、日本の現行建築基準法守ろうとしているのか?とか。部屋に入ったらインテリアは全然オッケーというか良く出来ていると思ったんですけど、特にキキの実家とかね。イスラムというかサンタフェスタイルというか、そのリビングに海の絵が飾ってあったのもいいです。でもそのロケーション・風景の中に、その外観の建築してしまうのか?とか。そもそも構造的にアウトな感じの組石造?とか。ファンタジーだから、と無視したいとこですが、なかなかゾクゾク、ひやひやしました。

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元店主
いや、私はそのありもんで独自の美意識を構築する、といった感じに共感したんだよ。オパールも基本そうでしょ。わざと和の要素を入れたんじゃなく、ありもん使ったからどうしても和の要素が残ってしまう・・・この微妙な感覚。これ、いいと思うんだなぁ。なかなか難しいよ、こういうの。
マツヤマ
そのあたりは清水崇。美術にもなんとなく気持ち悪さを演出していたと、ヤマネくんは感じた訳だな。
ヤマネ
まぁ、そんなつもりは無いだろうと思ってはいたんですが、・・・パン屋の裏で、送り返された配達物の上にシーツカバーみたいなのが掛けてあって隠してあるのをめくり取るとき!めちゃくちゃ緊張しましたもん。このカメラワーク、こ、怖いよ!って。
マツヤマ
そんな風に思うのヤマネくんぐらいだろ。それより、キキが嵐の日に病気のカバを離れた島の獣医のところに届けるクライマックスの方が怖かったぞ。べつに瀕死の状態でもなかったはずのカバが何回も海水に叩きつけられて・・・死ぬかと思うだろ。キキの成長を描くクライマックスになってるけど、無理やり過ぎ。
元店主
動物園の従業員が「オレが行きます!」とか言ってるのに、「いや、こんな嵐の中、従業員を行かす訳にはいかない」とか言って、キキに行くのを頼む園長とか・・・かなり違和感があったけど。差別意識剥き出しじゃないかな?
マツヤマ
あと、キキの成長を象徴するものとして、ネコと会話できなくなったというのは良かったんじゃないかな。自分にしか見えないオトモダチが、あることをきっかけに見えなくなってしまうというような話を、オレもこどものときに児童文学とか、NHKの子供向けドラマで見たことがあるよ。「ユタと不思議な仲間たち」とか。成長の手助けをする存在が、何かをきっかけにそうではなくなる、ということをもう少し分かり易く描けば子供にもいいかもな。
ヤマネ
そういうの、子供ながらに凄く寂しいんですよね。ジジが変わったのではなくキキが成長したことにより、話せなくなるというのは。このあたりね、実は話をしていたつもりで、ジジはずっと前に死んでいました、みたいな清水節がきても良かったかもですね。
元店主
・・・ちょっと待って。ジジ(ネコ)とキキが喋られなくなった?そんな展開なかったでしょう。それ、ジブリ版とごっちゃになってない?
ヤマネ
うむ?確かに・・・考えてみれば、アニメとごっちゃになってたような・・・。でも、アニメ版を観てないマツヤマさんまでボクと同じ勘違いをしてるなんて事は?
マツヤマ
オレの記憶では、カバを運ぶ前にネコ・・・ジジに「行ってくる」とか言うんだけど返事がないの。で、それ以降、会話がなかった様に思うんだけど・・・。
ヤマネ
むむむー、これは興味深い現象ですね!確かめるために、もう一回観に行きますか!
元店主
いや、もう行かない。
マツヤマ
まぁ、オレが思うに、カバを運ぶ時にジジを連れて行かなかったこと、それと母親から貰った奇蹟の薬草を使わなかったこと、この2点からキキは「もう母にもジジにも頼らない」と決めたと思うんだ。それであのイニシエーションのシーンがある訳で。だからどっちでもいいんだよ、キキさえ立派な魔女に成長すれば。まぁ、個人的にはジジと喋れなくなる方がいいと思うけどな。
元店主
いや・・・、私的にはもうちょっと拘りたいんですよ。だって・・・そもそも「魔女」とは『絶望をまき散らす災厄の使い』なんですよ。
マツヤマ&ヤマネ
え?
元店主
さらに『絶望の淵に沈んだ魔法少女が最後に成り果てる、呪われた姿』でもある訳です。
マツヤマ&ヤマネ
わー、出たー!
元店主
この残酷な運命に抗って闘った魔法少女が居るのに、そのことを抜きにして“魔法”の話はできないんじゃないかと・・・
マツヤマ&ヤマネ
はーい!ストップ! “魔法”の話は今日はもうやめときましょうねー!
元店主
ええ!? 二人とも、何の映画の話しをしていたの!?
ヤマネ
それはともかくー、4月の課題映画はなんですか?
元店主
あ、うん、4月は・・・「リベンジマッチ」。
ヤマネ
ロッキー・バルボアVSジェイク・ラモッタ のジジイ対決映画ですね!やっぱジジよりジジイでしょう!てなことで、また!

Comments

投稿者 uno : 2014年04月06日 18:55

こんばんは。
コメントが遅れてすみません。

私はけっこう楽しめましたよ。
なによりもキキが魅力的。
全く知らない女優でしたが、小芝風花っていうんですね。
1990年代以降には居ない雰囲気を感じました。
これからいい映画に出て欲しい。

空を飛ぶシーンは、ショボいんですが鼎談で「特撮」と言われてるように、私も映画を見ながら「特撮」だなあって思ってました。
3Dを使って妙なリアリティーを出すより、映画には合ってたと思います。なんだか子供の時に見た「ネバー・エンディング・ストーリー」を思い出しました。
狙ったのか、予算が足りなかったのかは不明ですが。
ジジ(黒猫)とカバはバリバリのCGだったけど。

キキの家や魔女の村、パン屋のセットは作り込まれていて良かったですよね。こちらに匂いが伝わってくる感じがして好きです。

内容に関しては、物語の中に出てくる出来事が散発的で浅い。
結局のところ何が言いたかったのか。
例えば黒い手紙の一件では「差別」のことを言いたいのだろうけど、
なんだかうやむやになってしまっている。えげつないと思うんですよ。
アニメ版も見た事はあるのですが、あちらもメッセージがあった印象が無いんですよね。

タカミカラは。。。嵐の中で歌ってる姿を見たら子供が泣くだろ!
作品の統一感ぶち壊しで残念!
タカミカラの姪が後で何か関係してくるのかな、なんて思ったんですけどねえ。

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