キック・アス ジャスティスフォーエバー []
「キック・アス」はマーク・ミラーのアメコミを原作とするアメリカ映画です。スーパーヒーローに憧れる冴えない青年が、通販でスーパーヒーローのコスプレを買って、スーパーヒーローごっこを始める。まぁ、街で不良退治とかやってたんだけど、そのうちに本物のギャングとの闘いに巻き込まれてしまって・・・という、アメリカ人の持つスーパーヒーロー願望と、自警思想を批評的に取り扱った傑作映画でした。
そしてなにより、スーパーヒーロー願望(妄想)を持った父親に殺人マシーンとして育てられた少女・ヒットガールを演じたクロエ・グレース・モレッツの出世作として記憶に残る映画なのです!
私もヒットガールに熱狂したクチ。で、この作品はその「キック・アス」の続編な訳ですが・・・。
私は些か危惧しておりました。まず前作から時間が経って居り、クロエが成長してしまっている!前作の時は確か11歳だったから、確かに少女だったけど、今は17歳(撮影時は15〜16歳かな)。少女とは言い難い。それに前出演作の「キャリー」がイマイチで・・・。
さらに、予告編がまたつまらなそうで、もうこれはダメかも、と諦めモードで映画館に行った訳ですが。これら全て、杞憂でした!
すごーく面白い。なにより、クロエがめちゃくちゃ可愛い!「キャリー」はいったい何だったんだ?と叫びたくなるほど、クロエ、いいです。やっぱヒットガールとの相性が抜群なんでしょうねぇ。
ヒットガールの難点といえば、それはマスクで顔を覆っているところ。って、スーパーヒーローなんだから当たり前やん、と思われるでしょうが、それではクロエの素顔が隠れちゃうんですよー。でも、今回はなんと!素顔のままのクロエのアクションシーンが拝めます。もう、カッコ良過ぎて震えましたよー。
ところでクロエの話ばかりしましたが(それでもいいんだけど)、この映画、お話もよく出来ていて、作品としても優れています。前作では、少年や少女がマフィアを殺す所が問題になり、批判されました。これ、日本人には分かりにくいかもしれませんね。そんな、所詮映画なんだから、それもコミカルな話なんだし、少年や少女がマフィアを殺したっていいやん、と。
でも、アメリカでは事情が違うのです。なぜなら、実際にキック・アスの様にスーパーヒーローのコスプレをして、自警活動をしている人たちがたくさん居るからです。
たとえスーパーヒーローの格好をしていなくても、制服とか作って自警活動をしている人たちは大勢居ます。国家や警察には頼らない、自分の街は自分で守る!というのが彼・彼女らの主張で、これはリバータリアンにまで繋がる、アメリカの根強い思想です。
しかし、言ってみればKKKとかも自警団ですからね、白いアメリカを有色人種から守る!とか言って、黒人を襲ったりしてた訳ですから、自警思想がレイシズムと結びつくと非常に危険です。むろん、ほとんどの自警団の人たちは、夜の街を自主的にパトロールして、行き倒れの人を助けたり、危ない目にあってる人たちを助けたりしてるのだから問題ないですが、いつなんどき、暴走し、脱線するか分かりません。故に、「キック・アス」の少年・少女によるマフィア殺害は問題となったのです。
で、今作はその批判を受けて、それに答える様に作られています。これは「ダーティーハリー」が辿ったのと同じ道です。だから今作は「ダーティーハリー2」と通底するものがあります。むろん、こっちの方はコミカルに取り扱っているのですが・・・出した答えはほぼ同じ。私も、それが現時点での最良の答えだと思います。
むろん、「キック・アス」には自警団思想とは関係のない問題もあります。それは、父親の願望によって殺人マシーンとして育てられたヒット・ガールの存在です。殺人マシーン・・・と書きましたが、本人たち的にはそれは無敵のスーパーヒーローなんですが、それはそれとして、女の子ですから。女の子らしい遊びや生き方を知らず、殺伐とした戦闘訓練に明け暮れる。その様に自分の願望のために子供の人生を奪っていいのか、という問題。
今作はその事も描かれます。いや、実はこの問題、「キャリー」でも扱われていましたが、今作の方がずっとエクセレントですよ。まぁ、観てのお楽しみですが。
とにかく、これは前作を観てない人も是非観に行ってほしい。大丈夫、独立した作品として十分楽しめます。なにより、ヒットガールの勇姿はスクリーンで観るに限りますよー!
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