- 元店主
- ずっと言ってる事だけど、ここ何年も韓国映画はいろんな意味でレベルが高いよ。「高地戦」は朝鮮戦争の映画だけど、もう笑ってしまうほど容赦がなさすぎて、苛烈な精神がないとこれは撮れないだろうなーと、感じ入った。愛の大切さを訴えたり、たくさん人が死んで可哀想、とかそういレベルではなくて、徹底して戦争そのものを描いて、その愚かさをあぶり出す・・・という反戦映画になってる。
- マツヤマ
- うわぁ、俄然観たくなったぞ!今の日本じゃ絶対作れないタイプの映画だよな。
- 元店主
- そうなんです!まぁ、昨今のキナ臭い世相に対するアンチという意味もあり、こんないい映画をみなみ会館で私1人の貸し切り状態、なんでこんなに流行ってないねん!という思いもあっての1位なんです。
- マツヤマ
- 「こんなよい月を1人で見て寝る」と詠んだ尾崎放哉の心境だな。って違うかもしれないけど・・・むろん、たまたまその回は1人だったのかもしれないけどさ、嫌韓流的な妙な雰囲気があるからなぁ、その所為かもしれないな。ほんと、バカバカしいけど。
- ヤマネ
- 携帯でギャラクシー使ってたら「売国奴」って冗談めかして言われたことがあって、アホくさー、って思たっことあるんですけどね!
実際のところ、韓国の方が今は映画でも音楽でも何かと勢いがあるし、スゴい映画だと勧められたら「観てみたい」って自然に思いますもんね。韓国で日本の文化を規制してようが、日本は他国の文化を規制するような国にはなって欲しくない。とは言っても、実際に韓国映画を観るとなんだかエネルギーの消耗が激しくて疲れます。韓国語のセリフがメチャ力んでいるように聞こえるからですかねー。
- 元店主
- 確かにお話によっては力んで聞こえるかもしれないね。「高地戦」なんかにもそういった所はあったかな。
- マツヤマ
- 「トガニ」も話がスゴ過ぎて疲れたね。ほんと韓国じゃないと撮れないタイプの作品だとも思ったけど。
- 元店主
- あれもまた容赦なかったですねー。実際にあった、障害児の学校で起きた集団性的虐待事件を元にした映画ですね。でも「トガニ」に関していえば、ちょっと意図がストレート過ぎて、ほとんどプロパガンダ映画になってるんで、そこらがちょい問題かと・・・。この映画の影響で法律の改正が行われた、というのも、なんとも。とはいえ、その表現方法はさすがと唸りました。世間を動かすだけのものはある。大したもんです。そういえばテラリーが「トガニ」を観てえらく興奮してましたよ。人生が変わったとか、なんとか・・・
- マツヤマ
- あー、分かるけどな。あいつもずぶずぶの“世間”だから、動かされたんだろう。でもどっちかといえば、テラリーはあの映画でいうと悪役の権力側のような気もするが・・・、っと、クリュッグのボトルを前にしてそんなことは言えないかな。
- 元店主
- マツヤマさん、そんなこと気にしなくても大丈夫ですよ。テラリーの場合、厳しいことを言うほど、贈られてくるシャンパンはランクがあがっていきますから。・・・・そんなことはいいとして、実は「ポエトリー」を一応2位にしてはいますが、これは「高地戦」と同列の1位と思って貰った方がいいんです。この映画はですねー、「トガニ」と同じ様に実際にあった事件が元になってるみたいなんですが・・・実は私が昔よく観ていた“藝術作品としての映画”なんですよ! 詩や文学、絵画と同じような捉え方で作られた作品、例えばタルコフスキーみたいな作品って、最近あまり作られなくなったような気がするんですが、それをやった、という志の高さにヤラレタという感じです。そしてそれが成功してる。ほんと、希有な作品ですよ。
- ヤマネ
- そういう作品は今も作られてはいると思うんですけど、最近は難しい内容だったり、結末が「どういうこと???」って理解できないような作品は、ネットで「芸術家気取りか!」とか「自己満乙」とか、すぐにコメント入りますからねー。批判するにしても、じっくり考えたという痕跡はあまり感じないし。自分の理解できないものは頭ごなしに拒否!って、どんだけ幼稚なんでしょう。そりゃ、単純な映画しかヒットしない時代なわけです。まあ単純なのも面白いのはいいんですけど。
- マツヤマ
- そういう意味ではオレが2位に選んだ「灼熱の魂」はものすごく残酷な話で、だけど映像が美しい娯楽作品。そして「えっ、なんで?なんのために?」という疑問が最後までつきまとう作品で、韓国のサスペンス作品みたいな感じだったなあ。イスラムとカトリックの宗教闘争が背景にあって、一方がとにかく執念深くて残忍。現実的な話だと思ったね。ところでヤマネくん、アジア映画では金城主演の「捜査官Xのナントカ」って、タイトルだけ見るとぜんぜん魅力のない映画選んでるけど、どうだったの?
- ヤマネ
- 「捜査官X」です。「〜のナントカ」はいりませんよ。ヒットした邦画の「容疑者Xの献身」からムリヤリつけたみたいな邦題が大失敗。映画ファンにとってこれは逆効果ですよね。しかも金城武主演のミステリー、みたいな予告編をみて、全然面白くなさそうなんですけど、実際の主演は金城じゃなくて、ドニー・イェンですからね。もう、タイトルといい予告といい日本はメチャクチャです。ホントは宣伝と違ってバリバリかつ映像も美しいアクション映画。とにかくドニーの目の保養になるような身体の動きと、田舎の美しく、かつ構図をばっちりきめまくった風景がもう最高でした!金城武のだめだめっぷりも笑えるし。2人にもぜひ観て欲しかったんですけどね。
- 元店主
- そういえばドニー・イェンに信頼の厚い谷垣健治さんがアクション指導した「るろうに剣心」っていうのもあったね。出演者の演技はかなりハテナな感じだったけど、アクションはさすがだったと思う。殺陣というよりソード・アクションって感じだったけど。まるで香港映画みたいで。
- ヤマネ
- 「るろうに剣心」はボクもかなり楽しめました。テンポもカメラも役者もみんなアクション映画していた。およ?
- マツヤマ
- それ、オレは観てないけど、去年は比較的たくさん邦画観たと思うんだ。でも三池の2作品がよかったぐらいで、「アシュラ」は邦画には珍しい強烈なメッセージ性があったという意味であえてベスト10にしたけど、他はさっぱりだったね。
- ヤマネ
- ボクは「ロボジー」とか「鍵泥棒のメソッド」とか秀作はあったと思いますけど。三池監督にしても面白いものを撮る監督の作品はやはり面白い、という安定感、信頼感は残ってますけどねー。
- 元店主
- 私も「ロボジー」はまあまあよかったかな。出来は、いい。でもやっぱり日本映画は全体的に弱い感じなんだよねー。う〜ん、役者が弱いのかな?なーんかツルッとして個性に薄い、というか。今年の収穫としては、「愛と誠」の斉藤工とかだけど・・・やっぱ弱い。昔は日本にももっと強力な役者がいっぱいいたのになあ・・・
- マツヤマ
- 去年は日本映画を意識的に観たというのもあって、強制起訴シリーズの起訴作品も3分の1が日本映画だったんだけど、オレ的にはもう無理して観なくていいかな、って気がしてるんだ。もちろん去年も無理して観てたわけじゃないけど、大体が「こんな感じか」で終わってしまうからさ。外国作品に比べるとやっぱり弱い。今年はホントに気になるのだけ観ようかと思うね。
- 元店主
- そうですね。今年はすでに「テッド」とか、「ジャンゴ」とか、絶対に観るぞ!という作品がすでにスタンバッてますし、あ、ウェス・アンダーソンの新作なんかも気になるなぁ・・・SFはいつも期待はずれで終わるけど、一応「ルーパー」も行っとこうかな、って感じで、どんどん予定が埋まって行きますから、そこに日本映画の入り込む余地はあるのかな、と・・・
- マツヤマ
- あと「アウトロー」は期待大だぞ!今度も頼むゼ、トム・クルーズ!トム・クルーズはもう一本来るみたいだし、邦画は今のところまったく観たいと思うのはないんだよな。
- ヤマネ
- で、あの、強制起訴シリーズ、1月の起訴作品なんですけどね・・・
- 元店主
- あ、そうそう「ルーパー」でいいと思うよ。どうせ観るつもりだったからね。
- ヤマネ
- いや、それじゃ強制起訴シリーズの趣旨からハズレてしまうでしょ!マツヤマさんだって観るって言ってたし、ボクも観ますからね。
- ヤマネ
- えーと、ですね。なんか言い難くなったな・・・
- 元店主
- ま、まさか「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した225日」じゃないだろうね?アン・リー監督とはいえ、あれは相当きつそうなんだけど・・・。
- マツヤマ
- いやいや、あれは予告みたら絶対に観たいと思わないけど、そういうのって意外に大穴だったりするんだよな。強制起訴向きかもしれないぞー。
- マツヤマ
- えっ、とうきょうって、あの、日本の首都の?
- マツヤマ
- ケンタロウさん、なんだか急にバーボン飲みたくなってきました。ハーパー12年ロックでもらおうかな。
- 元店主
- では私はハーパーでは物足りないので、アルコール50度のターキーにします。
- マツヤマ
- う〜い・・・なんか悪い夢でも見ているような・・・ヒック!
- 元店主
- それはおそらく去年の「月光ノ仮面」の記憶ですよ。グビビ。
- ヤマネ
- コラーっ!2人ともーっ!文句があるんやったら、観てから言わなアカンやろ!それが強制起訴始めた目的ちゃうんかーい!
- マツヤマ&元店主
- ハッ、ハハーッ!(土下座)ヤマネさんのおっしゃる通りでーす!
- ヤマネ
- 分かればよろしい。ということで、強制起訴シリーズ3年目突入ですね。
- 元店主
- では、まとめましょうか。今年もカフェオパール、Romanza、そしてエキスポ、ならびに強制起訴セピアのウノピ、テラリー、みなみ会館駐在員のウメドン、それと、えーと・・・
Comments
コメントしてください