2010年 映画鼎談 その1 [ベストテン]
- ヤマネ
- みなさーん、あけましておめでとうございまーす!・・・いやー、新年早々昨年を振り返る、という恒例の後ろ向き企画「オパール映画鼎談」がやってきましたよー!やっほー!みんな聞いてるー?
- テラリー
- イヤイヤ聞こえませんって。それなら「みんな読んでるー?」が正しいと思います。
- ヤマネ
- うわ!テラリーやん。相変わらず“上”からやな。何してるの、こんな所で?
- テラリー
- 里帰りです。お世話になったオパールに新年の挨拶を、と思って来たんですよ。
- ヤマネ
- それもまたエラそうやな。別に里帰りしなくてもいいのに。東京の方が楽しそうやん。みんなで灰皿でテキーラ飲んだり。
- テラリー
- そんなの海老蔵しかしてませんて!
- 元店主
- こらこら、海老蔵もそんな事やってない、って。・・・いや、してるのかな?
- テラリー
- あ、これは元店主。新年あけましておめでとうございます。これは、お年賀という事で・・・、いつもながらのシャンパンです。お納め下さい。
- ヤマネ
- なんだかイチイチ鼻につくけど、東京ではそれ飲むんじゃなくて、ボトルで後ろから頭を殴るんやろ?
- テラリー
- んな訳ないでしょう!そんなんされてるの海老蔵ぐらいですよ!
- マツヤマ
- いやいや、後ろから頭を殴るのはリオンの得意技らしいぞ。たくさん、やられてる人、居るんじゃないか。
- ヤマネ
- あっ、マツヤマさん参上!今年は早々とメンツが揃いましたね!じゃ、早速!ボクからベスト10を発表しまーす!
ヤマネズ ベスト10
- シルヴィアのいる街で
- ナイト・アンド・デイ
- ザ・ロード
- インビクタス 負けざるもの
- トイストーリー 3
- インセプション
- シャーロック・ホームズ
- ベスト・キッド
- ヒックとドラゴン
- ハート・ロッカー
- 元店主
- なるほど。では私のやつ。ベスト5だけど。
元店主ズ ベスト5
- 第9地区
- ナイト・アンド・デイ
- ベスト・キッド
- 渇き
- バッド・ルーテナント
- マツヤマ
- じゃぁ、次はオレか。オレもベスト5で。
マツヤマズ ベスト5
- バッド・ルーテナント
- 運命のボタン
- ナイト・アンド・デイ
- アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち
- ヒーローショー
- ヤマネ
- あー、二人ともベスト5なんてずるーい!また、あんまり観てないんでしょう!
- マツヤマ
- まぁな。今年は20本いかなかったよ。遊び盛りの息子がいて、ソーパーでブロガーでサロンワーカーでオマケにドランカーじゃん!映画観る時間がぜんぜんないんだよ。
- 元店主
- 私も、マツヤマさんと同じくらいかな。
- ヤマネ
- もー、ダメですねー、二人とも。・・・とか言いながら、どんどん暗くなる自分がいる・・・。
- 元店主
- あれ?慢性的向日性元気溌剌メッチャ明るいワーイどうだぁ疾患のヤマネくんがどうしたの?もしかして、・・・病気が治ったの?
- マツヤマ
- あの病気は難治性のはずだけど。もしかして、・・・別人か?
- ヤマネ
- わー!二人とも何を訳わからない事いってるんですかー!ぷんぷん!これは真面目な話なんです!ババさんに由来する話なんですから!
- 元店主&マツヤマ
- おおー、そ、それは!
- ヤマネ
- ボク、ババさんに絡んでたのは主に20代の頃だったんですけど、その頃は、ボクもいずれはババさんの様になるんだろうなぁと、思ってたんですよ。40歳過ぎても、年間200本くらい映画館に通って観る、と。ところが、自分がだんだんあの頃のババさんの年齢に近づいてきたら・・・年々映画館に通う回数が減っていく!・・・ああ、ボクはババさんの域には到達できないんだ、と、思うと。なんか、暗くなっちゃうんですよねー
*説明しよう! ババさんこと、故松山和弘氏(この会の「マツヤマ」こと松山禎弘は、ババさんのお通夜にて当のお兄さんに「失礼ですがウチの親族でしたか?」と聞かれるほど字ヅラが近いが、おそらく親族ではない)は本業が多忙なのにも関わらず、「映画は映画館で」をモットーに、とにかくジャンルにこだわらず年間200本以上“映画館で”観て、さらにオパールにもほぼ毎日通い、メトロにも週に何回も出没し、本もバカみたいに読み、政治活動にも携わっていた、という超人なのである。2008年初旬、みなみ会館(後述)に自転車で向かう途中倒れる。肺ガン末期だったという。
- 元店主
- 確かに。私は映画館に通う回数は昔からそれほど多くないから、回数自体はあんまり変わってないんだけど、なんかあんまり楽しくなくなってきた。正直言って、ここ数年、映画館に通うのが少々苦痛かな。
- ヤマネ
- 何故ですか?それはやっぱり、映画がつまらないから?
- 元店主
- それもある、と思う。でも、自分が老いたから、という事もあるんじゃないかとも思うんだ。そこら辺を、今日は話し合いたいと思うんだけど。
- マツヤマ
- なるほど。それもいいかな。じゃ、手始めに、そこで手持ち無沙汰にしているテラリーに意見をきいてみようじゃないか。テラリーはどうなんだよ?
- テラリー
- ボクですか?そうですねぇ。ボクにもみなさんの気持ちは分かります。ボクも、映画館に行くのがメッチャ楽しい、という事はなくなってきました。
- ヤマネ
- キミの年でそれ言うんはまだ早いやろう。単に映画観てへん言い訳ちゃうか?
- テラリー
- 実は、そうですねん!
- マツヤマ
- 「実は、そうですねん」って、テラリー、それって「大木こだま・ひかり」のネタだろうが!
- テラリー
- 知りませんよ、そんなん。それ言うなら「大木こだま・ひびき」の間違いじゃないんですか?
- マツヤマ
- いや、間違ってないよ。こだまの相方は最初は“ひかり”って人で、コンビでかなり面白かったんだけど、ひかりが覚せい剤で逮捕されて、その後ガマが“ひびき”になったんだよ。
- ヤマネ
- マ、マ、マツヤマさん、それ漫才コンビの話じゃないですか。お笑いトリビア自慢はやめてくださいよ。ほっといたらどんどん映画から話が逸れるなあ。で、テラリーは東京に行ってマルチ商法にさんざん引っかかってるって話だけど、マルチ商品のベスト10出してよ。
- テラリー
- って、ヤマネさんこそ話逸れてるじゃないですか。どんだけバカにするんですか。一応ボクも映画館には行ってますから。
- ヤマネ
- じゃあ、テラリーも昨年観た映画のベスト10、出してみてよ。
- テラリー
- ええ!いや・・・そんな、いきなり言われても・・・。
- マツヤマ
- アム◯◯イ、ニュース◯ン、ニュー◯◯◯ズ、バ◯水…。
- テラリー
- だから、そんなん買ってませんって!もういいですよ・・・では無視して、思いつくままに・・・。
テラリーズ ベスト5
- ハートロッカー
- インヴィクタス
- シャーロック・ホームズ
- 第9地区
- アイアンマン2
- 元店主
- ほほう。これがねぇ・・・。で、この1位の「ハートロッカー」というのは、どんな商品なの?
- テラリー
- 商品じゃありません!もう、いい加減ちゃんとボクにも映画の話をさせて下さいよ!
- マツヤマ
- フフフ、甘い!テラリーはやっぱり甘いな、相変わらずだ。な〜んにも分かってない。最近の映画、特に邦画に関しては、マルチまがいの代物が氾濫して、映画界がとんでもない事になっている、という話をしてるんじゃないか。
- 元店主
- そうそう。テレビドラマの映画化、というやつ。四六時中テレビでその映画に関する情報を垂れ流して、まるでその映画が世間的関心の中心であるかの様に洗脳し、とりあえず観とかないと、みたいな感じでやってるやつ。はっきり言って、シネコンとかに行っても、そんなマルチ映画の宣伝がガンガンしてあって、ちっとも楽しくないんだよ。映画館はマルチ商品の販売所じゃないっちゅーねん!
- ヤマネ
- 邦画に関しては、テレビドラマの映画化じゃないやつも、大きな資本が絡んでるやつはドラマ化してますよね。今やスクリーンは映画ではなく、テレビドラマに占拠されてるんだ。ノー・モア・映画館泥棒!・・・って、ほら、ちゃんと映画の話をしてるじゃないか!
- テラリー
- そうでしたか・・・。これは私の認識不足でした。すいません。
- 元店主
- テラリーがこの映画鼎談に参加するには、まだ10年早いな。
- マツヤマ
- 大体、テラリーは偉そうなんだよ。自分のこと、人間国宝だと思ってないか?
- ヤマネ
- ホントに謝る気があるなら、服を脱いで土下座しろ!写真撮っちゃる!
- テラリー
- もう、このネタやめにしませんか・・・。
- ヤマネ
- 分かった分かった、それじゃあ話をすすめてよ。
- テラリー
- はい。では・・・そもそも、テレビドラマと映画、何がどう違うんでしょうか?
- 元店主
- お、テラリーらしい質問だな。・・・う〜ん、そうだなぁ、ま、色々な分け方があるとは思うけど。たとえば、テレビドラマは老若男女全国民が見る可能性があるものだから、無難なものでなければならない。楽しく時間が潰せたらいい。それに対して、映画はもっと危険なもの、人生の真実に関わる様な際どいものが描かれている、という対比。 よく昔の人の話で、映画館の暗闇の中で人生が変わった、大切なものを学んだ、闇を抱え込んだ、というのがあるけど、それはそういう意味だと思う。
- テラリー
- なるほど。言われてみれば、今は映画館に行ったら、テレビでは見られない様なヤバいものがやってる、という感覚はないですね。
- マツヤマ
- ヤバいって言うとちょっと大袈裟かもしれないけど、確かにテレビ業界が勝手に、というか過剰な倫理観や、アホな視聴者の意見をイチイチ聞き入れて作った放送コードがあるからね。さらに最近ではフェイスコードみたいのがあるのかどうか知らないけど、ブサイクは主役になれないし、脇役にもほとんどブサイクがいなくなって、リアリティのかけらもない。それが映画にも波及しちゃってるよね。 テラリーが言う「ヤバい」っていうのは「追悼のざわめき」とか「ピンクフラミンゴ」みたいな作品のことか?若もんが最近やたらと連発する「ヤバい」の意味がだんだん分かんなくなってきたよ。
- ヤマネ
- マツヤマさん、それヤバいよ。
- 元店主
- ハハっ、私もちょっと分かんないかな?で、要するに昔は映画館は一種の悪所だったと。お茶の間と悪所の違い。むろん、そういった分け方もいいんだけど、私個人としては、作品として成立してるかしてないか、だと思うんだよね。
- テラリー
- ほう、それはどういう意味ですか?
- 元店主
- テレビドラマはさぁ、要するに視聴率最優先な訳でしょ。つまり金儲け至上主義。いかに観客に飽きさせないか。テレビのチャンネルを他に変えさえないか。それを最優先させて、とにかく観客の興味を引っ張って引っ張って、繋いでいく事ばかり考えている。でも、作品とは全体でみるものだから、そんなのあり得ないんだよ。そんなの作品として成立していない。作品とは、もっと色んなものを含んでいるはずだ。作品とは全体なんだから。これに対して映画は、とてつもなく退屈な所があったり、見るにたえない様なシーンがあったり、ひどく動揺させられるものがあっても、映画館の闇の中に拘束されている2時間なり3時間の間は、そこを抜け出せない訳じゃない。
- マツヤマ
- 昔っから途中で出て行く奴はいたけどね。
- 元店主
- 確かに。そんな人は映画の観客ではないですね。あるいは、なんか大切な用事があったとか、生理的に無理だったとか。とにかく、色々と耐える・我慢する所があっても、見終わったら凄い感動がある、と。優れた作品とはそういうものだと思うんだよ。無論、映画だって商品だから、ある程度は売れないとダメなんだけど、売れるのを優先するか、作品性を優先するか、という対比だと思うんだな。今のテレビドラマ好きの観客は、タルコフスキーとかエリセとか、見られないんじゃない。
- ヤマネ
- 自分にとって興味のないもの、不快なもの、が出て来たら、即チャンネルを変えるでしょうからね。ババさんが、映画はビデオやDVDで観たってダメ!と言い続けたのは、そういった事もあるでしょうねー。
- マツヤマ
- 差別や暴力やエロは日常に存在するもので、そこをちゃんと描かないで物語が破綻している例っていっぱいあるよな。そういった意味でも「ヒーローショー」は良かったなぁ。少年のリンチ殺人ってほとんど報道されないけど、実は毎年ものすごい件数らしいんだよ。あれ観て、ほんとリアルだと思ったね。集団リンチ特有の、ズルズルと泥沼にハマりながら、みんなヤバいと思いながら、人を殺していく過程がものすごくリアルに描かれてる。あんな暴力描写は観たことなかったね。ほんと恐かったよ。あっ、オレいま「ヤバい」って言った?まぁいいか・・・
- 元店主
- 「ヒーローショー」は私も観に行くつもりだったんだけど、すぐに終わってしまって、行けなかった。・・・やはり、当たり前の事だけど優れた邦画というのも作られてる訳で、でも、そんなのは売れないのかもしれない。なんでこんなヤバい…あっ…事になってしまったのか。それは・・・「踊る大捜査線」に責任があるんじゃないか!!!と、いう事をヤマネくんに問い質したい!ババーン!
- ヤマネ
- ええ!な、なんでボクが!
Comments
投稿者 サエコ : 2011年01月10日 10:30
続編を心待ちにしております~
投稿者 元店主 : 2011年01月11日 03:00
あ、サエコさん、あけましておめでたうございます。
いつもいつも、こんな下らないものにおつき合ひいただき、申し訳ないです。続編の方は、今しばし、お待ち下さい。
では〜。
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