輝け! 2005オパール映画ベストテン vol.6(完結) [ベストテン]
2位「カンフー・ハッスル」
- ヤマネ
- 凄い! 二人とも一位に選んでるじゃないですか! 新年早々、仲間ハズレにしないで下さーい!
- BABA
- ヤマネ君も選べばよろしがな。なんでこんな傑作、一位に選んでないのだ。『オペラ座の怪人』が2位だし。
- ヤマネ
- ムキー! 何故かハッスルして煙突登ってたら落ちちゃったんですよ!
- オガケン
- この映画の何が駄目だったというのだ。
- ヤマネ
- …そうですねー。めちゃくちゃ面白かったんです。でも、やっぱり僕はジャンプ世代なので、こういうドラゴンボール的な、アクションモノは、ひとしきり頭の中で反芻してきたんですよねー。強さのインフレも想像通り。でもって、最後の敵キャラがあんまり魅力的じゃなかったのも減点ポイント! タオ・パイパイなんかは憎らしくて魅力的なのに、魔人ブウになると、もうどうでもいいやー、みたいな感じかな。強いんだか楽しいんだかわからなくなってくる。
- オガケン
- 私はこの手の話に普遍的に弱いんですよ。子供のときに純粋に正義がある、と信じていて、成長するにつれてその信念が踏みにじられていく。で、そんな信念なんか捨ててしまえばいいんだけど、捨てきれない。だから世の中に出てもうまくやっていけない。無理に悪ぶっても、全然無理があって、結局損ばかりしている。だけど、だけど、ある時、その信念が報われる時が………(涙ぐむ)
- ヤマネ
- あーあ、泣いちゃったよ。ま、確かにお話としては気持ちいいですよね。それをファンタジーと言ってしまってバカにするのもどうかと、ボクも思いますよ。ってバリバリにファンタジーですやんっ。
- オガケン
- チャウ・シンチーの偉いところは、ジャッキー・チェンと違って、ブルース・リーをとことんリスペクトし、その哲学を身をもって実践していることです。また話は戻りますが、そういう意味でも『香港国際警察』はブルース・リーの哲学に反している。ブルース・リーは、「寛容とは、敵に対する最大の侮辱である」の人ですから。
- BABA
- ジャッキー・チェンもまた、ブルース・リーをリスペクトしてるんですけど、ジャッキーは常にブルース・リーの逆をやろうとしているんですよ。対してチャウ・シンチーはブルース・リーに真正面からぶつかっている。21世紀映画の最大の課題は、「ブルース・リーをいかに超えていくか?」ですが、チャウ・シンチーが今、いちばんそれに近いところにいる。
- ヤマネ
- …「21世紀映画の最大の課題」って。そうなんですか?
- BABA
- そうですよ。20世紀最大の映画人は、ブルース・リーですから。
- オガケン
- 第三世界を含めると、『燃えよドラゴン』が世界でもっとも見られた映画だそうですね。
- BABA
- こないだ、イラン・イラク合作映画の『亀も空を飛ぶ』を見たけど、主人公が「アメリカがどんなところか」を説明するのに、「タイタニック、ワシントン、ブルース・リー、ジダン」と言ったりする。イラクの戦災孤児もブルース・リーを知っている!
- ヤマネ
- ジダンってフランス人ですやん。
- BABA
- イラク人もツッコミ入れてました。
- オガケン
- チャウ・シンチーは志が高いですよ。ブルース・リャンや70年代に活躍していた人たちを集めて出演してもらっているところとか。これからも大いに期待しています。楽しみだなー。
- ヤマネ
- 『キャプ翼』『ドラゴンボール』ときたから、次は…『北斗の拳』ですね! 楽しみだなー、ハートの役とか奪い合いだろうなあ。
一位「パッチギ!」
- ヤマネ
- 栄えあるオパール映画ベストワンは『パッチギ!』です。ある意味、真っ当な結果に落ち着きました。2005年、映画賞総ナメみたいですし。ホープ会の皆さん、面構え最高! 街で会いたくない!
- オガケン
- これは、勢いのある映画でしたね。出演者が本当に生き生きしている。在日役もみんな日本人なんだけど、そんなこと感じさせない。『ガキ帝国』もそうだけど、井筒監督はフッドムービーを撮らせたら右に出るものはいないな。
- BABA
- ちょっと自虐史観が入っているという批判もありまして、そうとれなくない事もない微妙なところもあるし。誤解を招くようなセリフがチョイチョイあるし。でも、現実世界においても誤解は満ち満ちているわけで、この映画はそんな誤解を越えていこう! お互いを分け隔てる「川」を越えていこう! という映画ですから。イムジン川、鴨川…。
- オガケン
- ラストの鴨川出町柳での三角州における乱闘シーンは、そのあたりを象徴していますね。日本人側、在日朝鮮人側、双方がお互い川へ踏み込んで、真ん中の三角州で殴り合う訳です。つまり、双方の歩み寄りがある訳で、自虐史観とは言い難い、と思いますよ。
- ヤマネ
- 地元がバンバン出てくるのが嬉しかったです。全編知ってる場所だし。ロケに遭遇もしたし。沢尻エリカもかわいいし。あんな子いたら僕でも鴨川ぐらい渡るっちゅうねん!
- BABA
- どうせ亀の上でしょう?
- オガケン
- 『パッチギ!』はギャグも面白かったです。センスがいい。ABCD包囲網って、知っとるけー!
- ヤマネ
- バスをぶっ倒すところなんかもめっちゃ楽しかったですね! ボクもやりたい!
- オガケン
- 個人的には冒頭のオックスがツボでした。観客の女の子たちも、感じがよく出ている! あのもさいところが。
- ヤマネ
- 井筒監督の作品は、一貫してぶれてないとはよく言われてます。時代がとまってるのではなく‥。イーストウッドに近い?
- オガケン
- 私はそれほど作品見てないんだよね‥。『岸和田少年愚連隊』は面白かった。
- ヤマネ
- 最近では『ゲロッパ』もかなり面白いですけどね、やっぱり『ガキ帝国』『パッチギ!』の二本かな。
- BABA
- 『ガキ帝国』の時、主演の紳助によると、撮影なのに本気で殴りあうから、それこそ次こそはボロカスやったるー、って撮影が進むにつれてみんなマジになっていったそうですよ。だからこそあの緊迫感が。そういうリアルな状況を作り出すことに長けているんだなー。
- オガケン
- 時代劇が撮りたいんだけど、今の俳優は頭を剃らせてくれないから撮れない、と言っているのを聞いたことがあります。
- BABA
- 黒澤のようにね、美術監督がシナリオ上は開けることのない箪笥の引き出しに薬ビンを入れておいたとかね‥。画面には出てこないところでの本気度が映画にとって重要ですね。
- オガケン
- 勝新とか、松田優作あたりなら頭剃りますよね。歯を抜いたりしていたし。眉を剃ったり、お歯黒塗ったりもしてほしいですね。
- ヤマネ
- ハリウッドの俳優はそのあたりは‥。ディカプリオは剃りそうだし。ブルース・ウィルスも喜んで剃ると思いますね…。
- BABA
- ってブルースは剃らなくても大丈夫だし。いやー、見えないところに気がいっていないどころか、見えているところも手を抜きまくりの代表といえば、『春の雪』ですよ! お気軽すぎて。つらい!
- ヤマネ
- ははは! 楽しみ過ぎですね!
- BABA
- 物事への畏敬の念が足りてない! 僕がいうのもなんだけども。
- ヤマネ
- お気軽でこっちが気が重くなったと言えば『八月のクリスマス』です! 韓国版そのままパクッただけなのに、ほとんどそのこと言わずに公開してましたからね!
- BABA
- 『SAYURI』もひどかったなー。ファンタジー? なら舞台を京都って言うな。ロブ・マーシャル逝ってよし。同じファンタジーでもティム・バートンはリアルに撮るでしょう? こだわりがあるかないかって大きい。その点『キング・コング』は‥素晴しい! 怪獣プロレスとは、こ、これかー!! って。
- ヤマネ
- 今まで教え込まれてきた怪獣プロレスとは何だったのか‥と。さて! 店主も帰ったことだし、適当に2005年の映画で面白かったのを取り上げますか。おーい、蕎麦湯、まだー?
- オガケン
- …帰ってません。しかもそんな店じゃないし。
- ヤマネ
- えらいスンマセン! そうそう、特筆すべきは‥『バタフライ・エフェクト』でしょう?
- BABA
- 物凄く面白かった!
- オガケン
- どんな映画なんですか。
- ヤマネ
- あれ、まだいたんですか。過去を変えたら将来も変わる、という映画です。
- BABA
- ある人が幸せになっていても、他の誰かが必ず不幸なことになっていて、なかなか丸くおさまらない。で、何度もチャレンジする、という映画です。
- オガケン
- なかなか面白そうですね。
- ヤマネ
- ‥‥。バチグンのオススメです! 出演者もアシュトン・キャッチャーとか、日本ではまたブレイクしていない人たちばかりで、見ていてハラハラします。実を言うと怖くて僕は少しつらかったんですけども。
- BABA
- 『セルラー』もクレバーで面白い傑作でしたね。
- ヤマネ
- でしたね! 携帯電話をモチーフにした映画の中では今のところナンバー1です。『着信アリ』を超えた!
- BABA
- 『フォーン・ブース』と同じ脚本家ですが、二転三転する展開、息もつかせぬ演出、俳優もそれぞれ、「らしい」雰囲気を出していてバッチリ! このお正月のビデオ鑑賞にオススメの映画。時間も短いし。
- オガケン
- これまたどんな話なんですか。
- BABA
- 通話が一度でも切れると二度と繋がらないという状況で如何に自分の境遇を信じて助けになってもらえるか。という話です。
- オガケン
- ほお。面白そうですね。ロマンザのマツヤマさんも高く評価してますよね。
- ヤマネ
- お願いだから、電話を切らないで!! ていう。そこらへんの若者の別れ話ではないですよ。「ホールド オン プリーズ!」と言えば、思い出したんですが、知人から聞いたあるOL女性の話なんですけど、仕事中にいきなり外国人から電話がかかってきたんで、上司に電話をまわそうと思うんですけど、英語が咄嗟に全然出てこない。「ホールド オン プリーズ」ぐらいのことを言えば良いのを、焦ったのか「リピート アフター ミー」って言ったらしいです。ぎゃははは! 僕もやってしまいそう!
- BABA
- ははは。気が済んだ?
- ヤマネ
- えっ? あら、ちょっと映画の話からそれてしまいましたね。って今年もいい調子かな。それにしても、ちょっと『セルラー』っていうタイトルでは客を呼べませんよね。日本の客受けするように「ツーカー」にしなきゃ!
- BABA
- なお悪いっちゅうねん!
- ヤマネ
- 『50回目のファーストキス』これもめちゃんこステキな映画でしたよね!
- BABA
- こ、これは! 面白かった! ドリュー・バリモアが素晴しく可愛いいし。
- ヤマネ
- 今度、『博士の愛した数式』も公開されますよ。記憶喪失ものは、いつも期待してしまうなあ。僕も記憶喪失気味ですから。でも『50回目‥』は誰にでもオススメのいい話です。タイトルも『セルラー』よりはわかりやすくていいですね。その分映画館に行くのは照れくさいですが。
- BABA
- 堂々と入ればよろしい! 舞台がハワイなのもいいねー。アダム・サンドラーもいいし。何よりドリュー・バリモアが‥。
- ヤマネ
- そんなに可愛かったかなあ。でも可愛いか可愛くないかと問われれば、可愛いです。
- BABA
- そういえば、いつも可愛くないと評判のキルスティン・ダンストは『エリザベスタウン』ではなかなか可愛く撮られていたよね。
- ヤマネ
- だめです! 彼女には許せる角度がないっす!
- BABA
- やっぱりだめか‥。でもキャメロン・クロウはいいねー。
- ヤマネ
- いいです! いつも期待してまっす。ところで『ビヨンド・ザ・シー』も傑作でしたね。ケビン・スペイシー、ほんまに凄い!
- BABA
- 歌と踊り上手過ぎ!
- ヤマネ
- なりきり方が凄いですよ。松村の掛布を超えた! と思いましたからね。割と基準がアバウトですみませんが。
- BABA
- いやー、『Ray/レイ』以上にノリノリ。
- ヤマネ
- 『頭文字D』は、物凄いアクションシーン続出で、感動的でしたね! 2005年度ナンバーワンのカーアクション!
- BABA
- でもそれを補って余りあるひどいドラマにゲンナリ。んー、でも鈴木杏はぶっとんでたな。鈴木杏はいいねー。はっ! 鈴木杏と言えば‥『がんばっていきまっしょい』! テレビ版最高やったねー!
- ヤマネ
- 2005年に観たどの映画よりも感動し、泣きました!
- BABA
- めちゃくちゃ良かったねー! お父さん役の大杉蓮が‥(泣)。
- ヤマネ
- ‥オレは満足ゾ!(泣)。
- オガケン
- おーい。こ、これでは続けられん。ていうか、去年は映画よりドラマが良かった、って〆になるんかい。‥『アワーミュージック』はどうでしたか。
- ヤマネ
- 寝ました。
- BABA
- 僕は浅田彰の解説を聞いた直後に観たから、しっかり観られたよ。
- オガケン
- 二人とも‥大丈夫かいな。あまりこんな映画ないのでやはりゴダールは凄いです。音楽の入れ方、カットの繋ぎ方。映画を観てるなーという気にさせてくれます。
- BABA
- 『春の雪』とか『SAYURI』とか観ても、映画をみている気がしないですからね。なんで映画館でやってるんだろう、という。
- ヤマネ
- 映画は映画館で観なきゃ、という時代から、映画館で映画を見せろ! という時代に突入ですね! おめでたーい!
- オガケン
- オパールでコーヒーを飲む時代から、コーヒーはオパールで飲む時代へ突入してくれないかなあ。
- ヤマネ
- ははは、今年も一年よろしくお願いしまーす!
- 全員
- 今年もオパールをよろしくー!
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