おもしろさんのベストテン [識者の映画ベストテン]
オパール周辺の識者の方々の2005映画ベストテン、第二弾は、おもしろかおのすけさんです。おもしろさんは神戸の映画サークルでがんばっておられる方です。ナチュラル・ボーン・パンクなセレクトをお楽しみください。ちなみに『亀も空を飛ぶ』、現在京都シネマで公開中、バチグンのオススメです!(サイト管理人)
2005年これを観ずして明日を語るな! 返す刀で 諸悪の根源天下り斬り!!
私事で恐縮ですが、2005年は色々ありまして。良くない年でした。お正月早々から入院しまして、ゴールデンウィークまで映画が1本も観れていない状態でした。総評としては2005年のベストテンはむずかしい。いつもならダントツ一位はすぐに決まるのですが、2005年は一位から四位ぐらいまで同じくらいです。最後の最後まで決められなかった。あと、ハリウッドに疎い私はまだまだ良い映画を見逃してますね。昨今オパールで話題のジョン・シングルトンなんてブラックムービーにハマった時に観た『ボーイズ’ン・ザ・フッド』からご無沙汰ですから(笑)。あ、ブラックムービーといえばヴァン・ピーブルズ父の『スウィート・スウィート・バック』とうとう来ますね。楽しみ。それはそうと俺みたいなモンが映画評を書いて、見る人がいるのか?
まぁしかし、BABAさんにたのまれちゃっちゃー断れねぃやな。
じゃあ、いきましょーかー。
ネバエンの向かって右の人おもしろかおのすけがお届けする『2005年これを観ずして明日を語るな! 返す刀で 諸悪の根源天下り斬り!!』イェー! アスホー! マザーファッカー? ベストテーン! 始まるまでが長い長い(汗)。
- 『ヴェラ・ドレイク』
- 『アワー・ミュージック』
- 『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』
- 『安陽の赤ちゃん』
- 『チーム☆アメリカ ワールドポリス』
- 『やさしくキスをして』
- 『ミリオンダラー・ベイビー』
- 『大統領の理髪師』
- 『わが家の犬は世界一』
- 『リンダ リンダ リンダ』
1位『ヴェラ・ドレイク』
この映画は主演女優のイメルダ・スタウントンが凄かった。恥ずかしながら私、この女優初めて知りましたが、マイク・リー監督の俳優はいつも、主演助演問わず群を抜いて素晴らしい。あっぱれ! イギリス役者魂。マイク・リーは裏切りませんな。
2位『アワー・ミュージック』
やっぱゴダールは凄いわ。唸りました。いや、解りませんよ。総て理解してませんよ。わたしインテリじゃないし。それでもゴダールは凄かったのよ。ゴダール流反戦映画というよりも、私の感想は「やっぱ爺ちゃんになっても遊び心を忘れない、ゴダールはえらい!」です。やっぱゴダールだけはひとつのジャンルとして考えるべきだとわたしなんか思うわけで。。。あ、オガケンさんの日記でゴダールが庭園でアタマをぶつけるシーンの「『ステルス』を何倍も超えるアクションシーンだ」という意見には激しく同意! 私もイスから転げ落ちそうになりましたから。ちなみに、試写会には浅田彰氏とゴンザレス三上氏が来てました。(笑)
3位『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』
この映画はみんな全然うけてませんね。なんで? またオレだけ状態ですか。こういう、世の中に取り残された情けなーい男物語には、自分を見ているみたいで、めっちゃ弱いんですけど、私。わたし的には『バッファロー66』や『タクシー・ドライバー』と同じ匂いが。。。って見方間違ってる? ショーン・ペンの最高傑作だと思うんですけど。追い詰められ方(なんじゃそれ?)が素晴らしくリアルなのね。突っ込み所ナシ。
4位『安陽の赤ちゃん』
またまた、誰も紹介しないような映画ですが。この映画はバチグンのオススメ(パクリ?)。チェン・カイコーの助監督だったワン・チャオという人が監督・脚本らしいです。ドキュメンタリー・タッチ、セリフ少ない、固定カメラ、引き気味なので人物の表情まで解りにくい。固定カメラで人物がフレーム・インやアウトするが画面外のお話しはちゃんと伝わる、というアンゲロプロス方式(そんなもんあるのか?)とか使っていて、この監督なかなかの業師とお見受けいたす。京都でしてないのかな? 十三のナナゲイで細々と上映していて誰も気付いてない。パンフレットさえないんだから。なんでこんな映画をもっと公開しないんだ? ヴァカどもが。皆さんは観て下さいね。エンディングにビックリクリクリクリックリッ。
5位『チーム☆アメリカ ワールドポリス』
一転して、超オゲレツ・スーパー・アメリカバッシング人形劇?! 素晴らしい! かつて、これほどまでにアメリカ人を不真面目にバカにした映画は観た事がないです。右とか左とかを超えて総てをバカにしております。あのマイケル・ムーアまでもが。。。バチグンのパロディ・センスです。しかも人形劇! って。ジェリー・アンダーソンも草葉の影で喜んでいるでしょう。ってまだ生きてましたか? ハイロウズの名曲「アメリカ魂」の歌詞「君たちの悲しみはオレには解らないけど、オレの悲しみはどうか君たちは解ってくれ」そのままですね。おもしろ大絶賛! 観るべし!!
6位『やさしくキスをして』
待ってました。我らがケン・ローチ。「初の恋愛映画」って『カルラの歌』は恋愛映画じゃなかったかな? まあ、どうでもいいや。ケン・ローチとマイク・リーは絶対に裏切りませんよね。まず、ハズすことがない。10本以上観てますが、一本たりともダメな作品がない! ケン・ローチの映画の凄い所は主人公が悪い方悪い方に行ってしまうどうしようもない“理由”にちゃんとしたウラを感じられるところです。突っ込み所がない。私はいつも観ながら「しょうがないよね。ああなればそうするしかないよね。」と主人公の不運を嘆いてしまうのであった。
7位『ミリオンダラー・ベイビー』
オパールでもみなさん大絶賛のイーストウッド。私も唯一ハリウッドで“ちゃんとしている”映画監督として、「不良じじぃ」として、尊敬しております。私的にはこの映画のタイトルがめっちゃイイ。と思うのですが。解説は皆さんが、さんざんしているので、もういいかな。
8位『大統領の理髪師』
私的にはクムジャさんよりこっちかな? と。私は、韓国映画が日本より優れている部分は、“シビアな話を笑い飛ばせる力量がある”からだと常々言っておるのですが、この映画なんてその最たるモンです。ソン・ガンホ凄すぎ。
9位『わが家の犬は世界一』
『大統領の理髪師』『安陽の赤ちゃん』もそうですが、貧乏庶民映画には弱いです。しみじみして「泣き笑い人生劇場」みたいなところが好き。チャン・イーモウの『活きる』同様、グォ・ヨウ(葛優)の庶民っぷりはサイコーです。
10位『リンダ リンダ リンダ』
やっとこさ日本映画が登場。って日本映画もあまり見ないので(今年は10本)優劣の判断がわからない。しかし、「学園祭の軽音のバンド」というのが懐かしく、自分と照らし合わせてしまいますね。“ラモーンズさん”が笑えました。ペ・ドゥナ、『ほえ犬』に匹敵する愛すべきマヌケキャラでめちゃめちゃカワイイ。私この監督は『バカの箱船』しか観ていませんが、私好みの「ダメな男」を撮らすと巧いですね。
あと、次点は『親切なクムジャさん』『エレニの旅』『ふたりの5つの分かれ路』『復習者に憐れみを』『ヒトラー 最期の12日間』『バッド・エデュケーション』『サイドウェイ』『サマリア』『メゾン・ド・ヒミコ』ってところかな?
『エレニの旅』はアンゲロプロス、歳とって、晩年のクロサワみたいになってしまいましたね。様式美に走るっていうか。あと、アルモドバルは前作『トーク・トゥ・ハー』がサイコー過ぎて比べちゃった。
ふぅ。あとワーストですね。
順不同で
- 『南極日誌』
突っ込み所満載の映画でした。
- 『マザー・テレサ』
ハリウッドはこういう映画を作らないで欲しい。超エンターテインメント映画のみにして欲しい。
- 『埋もれ木』
なんだか自分の世界で完結してそう。
- 『17歳の風景/少年は何を見たのか』
実はこの映画良いのか悪いのか解らない。日本映画の見方が解らない。
始めにダントツの1位がなかったと言いましたが、実は最近観た『亀も空を飛ぶ』がダントツでした。しかし、京都では2006年公開? でしょうから省きました。2006年のリストに入れておきます。多分、2006年もこれが1位だと思うほど、凄い映画です。バフマン・ゴバディはケン・ローチ同様ハズしません。皆さん、京都公開のあかつきには、嫁を質に入れても観に行くように。
あと、ドキュメンタリーを社会批判の材料として観るのではなく、映画として観た時に、山形国際ドキュメンタリー映画祭のアジア千波万波という部門の映画はどれも面白いですから、みなさん機会があれば観て下さいね。今年特別賞を取った『Dear Pyongyang』という作品はめっちゃ良かったですよ。是非。
最後に、一言。DVDを家で観て「この映画見たよ」というのはやめて。映画館で映画を観ましょうね。映画館で。
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