Be Cool [☆☆☆★★★]
イケてる? それとも イカレてる? ババーン! バリー・ゾネンフェルド監督傑作『ゲット・ショーティ』、そこでジョン・トラボルタが演じたシャイロック(借金取り立て屋)チリ・パーマーのキャラクターが素晴らしく、トラボルタ一世一代のハマリ役、映画オタクでトリヴィアを語りつつ、クールなトンチで抜け作小悪党をだしぬいて愉快痛快、その続編。
続編と申しましても、前作『ゲット・ショーティ』を見ておけば楽しめるところが爆発的に増加する、という程度、前作を見てないと楽しめないことはまったくございませんのでご安心ください。ってよくわかりませんが、楽しめないことはないけれども、前作見ておいて損はなく『ゲット・ショーティ』バチグンにオススメです。
それはともかく、ハリウッドのプレイヤーにノシ上がったチリ・パーマー、ちなみにアメリカでは「大物」をプレイヤーと呼ぶそうで、ロバート・アルトマンがハリウッド内幕を描いた『ザ・プレイヤー』なんて映画もありましたが、トラボルタをアンドレ3000がいちいち「プレイヤー!」とからかうのがおかしいんですけど、閑話休題、チリ・パーマー、しかしそろそろ映画業界に嫌気がさしてきたところ、ひょんなことから無名シンガー(クリスティーナ・ミリアン)を売り出すことに…というお話。
アメリカが誇る産業といえば、映画とポップミュージック、前作は、ヤクザでも映画業界でノシあがれるんだぜ、どっち向いてもヤクザまがいな奴ばかりですから、本職のヤクザならノシあがれて当然? みたいなお話、今回は映画業界に輪をかけてヤクザな、ギャングスターが幅をきかす音楽業界が舞台、チリ・パーマーのクールなトンチが冴えわたって前作に負けず劣らず愉快痛快。
前作でも自己言及的なネタ、楽屋落ち、トリヴィアが数々散りばめられておりましたが、今回も同様、笑わせていただきました。ネタバレですが、若干紹介させていただくと…。
映画の冒頭でチリ・パーマー曰く、「映画でR指定(17歳以下は親の同伴が必要)を避けるには、Fワードは一回しか使っちゃダメなんだ。これがその一回だ。ファック!」。で、Fワードが使われたのはその一回だけ、『ビー・クール』は目出度くR指定を受けるのをまぬがれたそうです。(IMDb トリヴィア参照)
また、チリ曰く「映画業界にはうんざりだ。続編は作りたくなかったのに、作らされちまった!」…って、続編やん! とか。
某・大物アーティストが登場しますが、「オレ様は映画に出ないぜ。なぜなら出る必要がないからな!」…って出てるやん! とか。
その他、トラボルタ今回の相棒はユマ・サーマン、と、いうことはタランティーノ監督『パルプ・フィクション』から約10年、あのダンスシーンが再現される、映画好きの方なら大喜びのオマケあり、って誰しも期待するところ、お見事というか、カッコいいのかカッコ悪いのかよくわからない、ていうか実際クラブで見かけたら「ダッさー」と一人ごちてしまうダンスがくり広げられ、やれやれ、と感動しました。
率爾ながら私の場合、音楽方面は詳しくないので気がつかなかった音楽ネタも満載のはず、ギャングスタ・ラップに詳しい方なら抱腹絶倒ネタ山盛りでは? と想像する次第。
キャスティングが無闇に豪華、というか、贅沢というかラグジュアリーです。
わけてもセドリック・ジ・エンターテイナー、ヒップホップ・プロデューサーを達者に演じており、「ニガー」と呼ばれてクールに、「クールになれ、なんてぬかすな! オレ様はいつだってクールなんだ」とブチ切れるシーンが素晴らしく(ロシア人の冥福を祈ります)、また、新世代ハリウッド・ムキムキスターのザ・ロックが間抜けな用心棒を演じてこりゃまた最高、「片眉を上げるのがチャームポイント」、キュッと眉毛を上げてみせるシーンや、ゲイっぽさ満点のプロモーション・ヴィデオに、それはそれは大笑いしたことでした。
監督は『Friday』『ミニミニ大作戦』は素晴らしく面白かった、『ブルドッグ』『交渉人』はまあまあ面白かったF・ゲイリー・グレイ。バリー・ゾネンフェルド監督の前作と比べて面白さ遜色なし、お見事と申しあげたい。また、F・ゲイリー・グレイは、TLC『Waterfalls』プロモーション・ヴィデオの監督だそうで、その方面も実績あり、今回も、クリスティーナ・ミリアンのパフォーマンスをジックリ見せて流石。『NANA』とは格が違いますね。って何と比べているのか私は。
ともかく、色々サブカルチャーの教養を要求する作品ですけど、そんなことはどうでもよくて、チリ・パーマーのクールなトンチが最高、ぜひトラボルタ=チリ・パーマーで続々、続編を作っていただきたいな、とバチグンのオススメ。
☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)
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