Movie Review 2005年1月3日(Mon.)
オパール
映画ベストテン 2004
Vol. 3
●『ドッグヴィル』
- オガケン
- では次に、ミオさんも一位。おもしろかおのすけさんも上位にあげていて、非常に評判の良かった『ドッグヴィル』ですが、これはすごかったですね。
- BABA
- ラース・フォン・トリアーは偉い! 僕は大好きなので、今回も素晴しかった。
- ヤマネ
- ラース・フォン・トリアー、ボクはいつも少し苦手です。わかってないなー、俺。で、なんとなくダムタイプみたいでしたよね。小山田さん(ダムタイプ)は会ったことあるっていってましたけど、ドキュメンタリーを作っていた人と思えないほど、演出にこだわる人なんですって。でやっぱり変人だったって。ハハ。
- オガケン
- いや、最初はね、分かりやすすぎる皮肉・悪意がちょっと痛いなあという感じがしてたんですよ。8章まではそんな調子でちょっと退屈してたんだけど、最後の章でそれまでの印象が180度一変して。そうか、これは二コール・キッドマンの映画なんだ、と。最初は『ドッグヴィル』という村が映画の主で、ニコール・キッドマンはそこに紛れ込んで村の偽善を暴く役割を果たす異人(まれびと)かと思っていたんですが、実は逆だった! 見事などんでん返しだ!
- BABA
- アメリカを猛烈に悪意を持って描いているのが痛快です。田舎の貧乏白人批判の映画かと思いきや、最後に権力を手に入れた二コール・キッドマンの迷いを振り切る行動をバシーンと見せることによって、現在のアメリカの様々な側面への批判となっており、非常に楽しい。
- オガケン
- そうですね。でも、まあ、私はあまりこの映画からアメリカ批判は感じなかったんですけれど。それよりこれは二コール・キッドマンが演じる一人の女性の成長を描いた映画として観た方が面白いと思います。サドの『美徳の不幸』ですよ、これは。それに対して、『悪徳の栄え』の方が、『キル・ビル VOL. 2』です。…で、もうひとつ感心したのが、最後の『ヤング・アメリカン』。あの曲を流して、貧困層の人々の映像をかぶせる。そのセンスの良さに感服しました。
- ヤマネ
- ケンタロウさんはラース・フォン・トリアー嫌いじゃなかったでしたっけ。
- オガケン
- 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は駄目だったけど、『ドッグヴィル』はいいと思ったなあ。やはりニコール・キッドマンが素晴らしかったし。
- ヤマネ
- 二コール・キッドマンが良かったのはわかります。『デイズ・オブ・サンダー』の時よりはずっといい。これはトム・クルーズにもあてはまることですけども。
- BABA
- いつの映画と比較してるねん! でもあの映画がきっかけで二人はくっついたんだったな。
- ヤマネ
- 『トップガン』とまるっきりストーリーが一緒でしたよね。あの二人がまさか今やこんなにまでなるとは。いや、『デイズ・オブ・サンダー』は音楽がハンス・ジマーで、音楽だけ格好よかった気がする。3人ともトニー・スコットさまさまですね!
- オガケン
- ま、兎に角ラース・フォン・トリアーの映画はこれからも観たいという気になりました。とはいえ、やはりあの分かり易すぎる皮肉・悪意が個人的につらいのは変わらないんですが…。そういえば同じような意味で、私はピーター・ジャクソンも苦手なんです。あの分かり易すぎる悪意が、ねえ…
- ヤマネ
- 『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』の話に振ってくれたんですね! 有難うございまーす!!
●『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』
- ヤマネ
- 僕は2004年ベストです。なんていうか、あんなイジイジした二人の珍道中だけで3時間も見させたよな、という。何度も退屈な二人芝居が続きそうになるたびに、フギャー! とか、ダバーン! とかって鳥が飛んできたり火山が噴火するのであります。
- オガケン
- シリーズ全くみてません。
- BABA
- 3作一気に続けて見る日を作ったほうがいいかもしれませんね。僕は1→2→3と、どんどん面白くなっていった。3はエピローグだけで30分ぐらいありますからね、連続で観ないとつらいかも。
- ヤマネ
- ですからやっぱり最初からサムに指輪を渡しておけばよかったんですよ。そうしたらサム一人でスイスイー、っと火山に特攻してハッピーエンド。『王の帰還』の必要もなく2で十分に終わります。3は『サムの帰還』で。
- BABA
- ははは。確かにサムこそが主人公だな。
- ヤマネ
- 原作ファンとしては、サムの喋り方が気になりましたでごわす。でも自分で勝手に想像していたのよりずっと美術が凄くて、ミナス・ティルスの造形なんか、「こんなにかっこええ街だったのか!」と鳥肌がたちました。この調子で『ホビットの冒険1、2、3』もお願いしたいです。主演はヘイデン・クリステンセンで!
- BABA
- 最後に暗黒サイドに落ちる話になるやん。
●ショーン・アスティン
- ヤマネ
- てへっ。ところでサムを演じているショーン・アスティンですが、この人、『グーニーズ』の主人公だったことを知っている人はどれぐらいいるんですかね。
- BABA
- マイキー、やね。
- ヤマネ
- あの時はスリムだったなあ。『グーニーズ』の最後に喘息が治ったから、どんどん太っていったんでしょう。注意しないと駄目ですね。そうそう、僕の好きな『ルディ・涙のウイニングラン』ていうアメフト映画があるんですけど知ってます?
- オガケン
- もちろん、知らない。
- BABA
- 知りません。面白そうやなー。
- ヤマネ
- サムがアメフトする映画なんです。しかも主役! 自分の実力を理解することが出来ない落ちこぼれのかなり痛い役ですが、スポーツ映画ファンならとても泣けます。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでサムが好きになった人は是非見てください。スポーティーな、サム。なるほどこれなら火山にもタッチダウン出来る! じゃない、フロド様も担げますだ!
- BABA
- メモメモ、と。よし。
●『ミスティック・リバー』
- ヤマネ
- じゃあ、次にいきまして。ケンタロウさん1位の『ミスティック・リバー』です。やー、これも大層深い余韻を残す映画でしたね。
- オガケン
- これは映画を観たあと、色々と考える量が半端ではなかったんですよ。一週間ぐらいずっと内容について考えさせられたというか。
- BABA
- 見る人によって、見方が全然違うでしょうね、そこが面白い。
- ヤマネ
- ケビン・ベーコンも『コール』の時とはうって変わって、おいしい役をもらっていました。良かったなあ連続でアホな犯人役じゃなくて。
- BABA
- この映画、確かに良いけど、個人的にはイーストウッドの映画は本人に出ていて欲しい。だから『ブラッド・ワーク』のほうがよいです。
- オガケン
- 私の場合は、思考が導き出されたら、どちらでもいいです。何度も言っているけれど、私は単によくできた映画とかにはあまり興味がなくて、破綻があったり過剰な部分があったりして、それが心と頭を刺激してくれればオッケーなんですね。映画に打ちのめされるというか。そういう意味で『血と骨』とか『オールド・ボーイ』とか、面白いことは面白いけど、そこまで過剰な部分がないから。もっと過剰さが欲しい感じ。
●『オールド・ボーイ』
- ヤマネ
- 僕も『オールド・ボーイ』はのれませんでした。前半はめちゃおもろい、と思ってみてましたが、どんどんトーンダウンするじゃないですか。最後は、最初から予想通りのオチで、主人公があそこまでされる理由がわからず、いや、逆恨みってのはわかるんですけど、そこが過剰すぎて…ハッ!? ひょっとしてそこの過剰さはどうですかね!
- BABA
- そうそう(笑)、あのやりすぎなところが面白いんやん。ところでヤマネくんは『オールド・ボーイ』より『ソウ』のほうが好きだって言ってたよね。その映画2本を並べて語る意味がよくわからないんだけど‥。
- ヤマネ
- 単に同じ日に観たからでーす!
- オガケン
- 『ソウ』は評価してるショウヘイ君や、全く駄目だったBABAさん、など意見が分かれているようですね。
- ヤマネ
- ソウなんです。お、なんかちょっと暖かい気持ちになりましたね? でも『ソウ』はドキドキしたんです。よく出来た映画とは思わないし、騙された! とかいうような内容でもないんですけど、思わずひざをうつ感じ。…でもどうでもいい映画でしたけどね。話は飛びますけど、僕の苦手な『誰も知らない』はどうでもいい映画ではなかった。
- オガケン
- 『誰も知らない』はヤマネくん、色々文句言っていたもんねー。
●『誰も知らない』
- ヤマネ
- あれはボクは作品そのものより、監督のあざとさが嫌い。
- ヤマネ
- たいへんな意欲作というのはわかるし、監督の狙いは成功していたんでしょうね、映画としては非常に見ごたえがあって。素晴しい出来栄えです。でもあの監督の態度、ジャッジは下すつもりはないのですよ、という知識人的無責任な感じが‥ィャャゎ。
- オガケン
- えらい小声やね。まあ完全な中立というのはありえないことだからね。子供たちをあそこで放り投げておいていいのかというのは気になるね。映画の後も子供たちは厳しい生活をしていくんだから。
- ヤマネ
- そうです、そうです! あんなところで終わるなんて。なんでも善悪はっきりさせたがる世間に対してこういう描き方をしたくなるのはわかりますけど、それを責任を持つべき大人がやっちゃ駄目なんじゃないかな。この映画を巡る評価の声の数々も気になりますね。YOUのような母親もかわいい、とか!? それぞれの事情があるとか子供たちのたくましさに感動、とか。 妹一人死んでるやん! いやー、気持ち悪いなあ。 YOUは最高の演技をしていると思いますけどね。監督が思っているほど、世間の人々は色々と考えてくれてないでしょ、この映画で。
- オガケン
- 確かにパンフレットにあった寄稿文もひどいのが多かったな。特に小泉今日子のはひどかった。小泉今日子、好きなんだけれど…。ちなみに黒柳徹子が一番まともなことを書いていたと思います。必読。
- ヤマネ
- ふううう。ちょっと喋り疲れましたので休憩しましょ。休憩、休憩。
Vol. 4 に続く…
オガケン, ヤマネ, BABAOriginal: 2004-Dec-31;