Movie Review 2005年1月2日(Sun.)
オパール
映画ベストテン 2004
Vol. 2
●『ビッグ・フィッシュ』
- ヤマネ
- それじゃあ、まず8位の『ビッグ・フィッシュ』です! これはもう、ボクの場合は墓地でのエピローグにつきました! フェリーニみたいで感激。‥随分泣かされたであります!
- オガケン
- いや、あの場面もいいけど、やっぱり親父の法螺話を息子が引きついで語りだすところでしょう。自分でも何故かわからないほど動揺した。それまでは結構普通に、というか一寸ひいて観ていたんだけど、あそこで突然…。私は映画を観てよく泣くんだけど、泣き方にも段階があつてね。あのシーンは…
- ヤマネ
- スイッチ「強」だったわけですね。つまり、周りの客がひいていたと。よかった、一緒に観なくて。ちなみに昨年末ボクはゴジラをたまたまオイシンと二人で見ました。にもかかわず何の割引もなかった。おかしいぞ、スカラ座。
- BABA
- わけわからんやん。僕はやっぱりこの映画は駄目でした。死を前にした相手にいい思いをさせたいという気持ちはわかるけど、父親への反発が消えてしまうでしょ、そういう映画は駄目なんですよ。
- オガケン
- 私は「父と子の和解」というのは日本的で、結構いい、とか思ってしまうんですが、ババさんはダメなんですね。やはり子は父を倒し、踏み越えていく、みたいな感じがいいですか?
- BABA
- ううーん、別に倒さなくてもいいんだけど、「和解」というのがねェ…。例えば、『血と骨』みたいに、父と子は絶対に和解しない、でも子は父に似てきて愕然とする…みたいなのが、ボクにとってはリアリティがあります。
- ヤマネ
- なるほど。ボクは『血と骨』に関しては、たけしの持ってる棒が人を叩くときにフニャフニャ曲がってみえたのがたいへん気になりました。あれでは「ひょうきん族」にしか見えない! 第一この映画、意外に男の凶暴性が描ききれてなかったように感じましたが。
- オガケン
- 確かに映画はおとなしめ、薄味のキムチといった感じ。原作の方が惨酷だな。というか原作の内容をこれほどまでに変えてしまった理由を色々考えると面白いですよね。
- BABA
- 原作に較べると映画はなんだかのんびりほんわかムードが漂ってました。これはもう崔洋一のスタイルですね。
- ヤマネ
- 今年は崔洋一は『クイール』も撮っていますね。
●『クイール』
- オガケン
- 『クイール』はBABAさん、年間のベストじゃないですか!
- BABA
- 僕は崔洋一、好きやからね。『刑務所の中』『クイール』『血と骨』という流れが素晴らしい! これだけ違う内容で、でも受ける感触が同じ、というのも凄いことです。そういえばポチさんも『クイール!』が年間1位ですよね。頼もしい限りです。ってヤマネ君、いれてないやん。
- ヤマネ
- クイールよりうちの犬のほうがかわいいですからね!(キッパリ)。
- BABA
- 長らく犬好きの方々を内心馬鹿にしておりましたが、犬の可愛さはまったく馬鹿にできないと学ばせていただいたという点で『クイール』は最高です。
- ヤマネ
- ポチさんの『クイール!』の「!」というのが気になりますね。なんか『チアーズ!』みたいで今にも踊りだしそうです。ていうかちょっぴり寂しい物語なのに。もっと一杯つけると『クイール!!!!!!!!』! どうです、強そうでしょう?
- BABA
- 強くしてどうすんねん。
- ヤマネ
- そうそう、『クイール』は「今年最も効果的にCGを使ったで賞」にノミネートされていましたが、結局受賞出来たんですか?
- オガケン
- いつの間に二人でそんな賞を作ってたんですか。
- BABA
- 発表します…『クイール』さん!!
―― クイールさん、入場 ――
- ヤマネ
- では日本語が喋れないクイールさんに代わりまして、感謝のスピーチをします‥。え、コホン。じゃない、ワン。あの最期のコンクリートに頭を打ちつけて致命傷を負うシーン。あれ、観たらすぐにわかると思うけどCGだよ。家族や監督に感謝します。愛してるワン!
- BABA
- あの下手なCGのおかげで、クイールの死を客観的にクールに観ることが出来るようになりました。有難う。
―― 観客 総立ちで祝福 ――
- オガケン
- ……。さてそろそろクイールとはお別れしまして次いきましょう。ヤマネくんがかなり上位にいれている『コラテラル』。
●『コラテラル』
- ヤマネ
- む! トム・クルーズ最高! いつもいいんですけど、今回はもっといい!
- オガケン
- トム・クルーズは本当に良かったね。あの役は彼しか考えられない。マツヤマさんも、トム・クルーズのベスト演技、と言ってたし。
- ヤマネ
- いや、トム・クルーズのベストは『ザ・エージェント』でしょう! やっぱり!! おっと、取り乱しました。…んで、マイケル・マンですが、役者を選ぶのがバチうま(バチグンにうまい)ですね。今回の役もデニーロだときっと違うんですよねー、目つきが冷酷すぎて。トム・クルーズの少し抜けた感じがぴったり。
- BABA
- 異なる世界に住む二人が偶然出会って互いの過去と向き合い、最後にはお互いに変化が生じる。非常にベーシックな物語なんだけど、予想以上の脚本の面白さ。暗闇の映像もやたらと格好良いしね。
- ヤマネ
- 音楽が少しうるさいという人もいるそうですけど、僕はあれぐらいでよかったです。全体的にミドルテンションがずっと持続する感じが気持ちいい。
- オガケン
- 面白かったですよ。でもやはり突出したものがあまりない。トム・クルーズの破綻ぶりをもっと強調して欲しかったな。それはそうと、ジェイミー・フォックスも素晴らしかった。彼の演技が映画をグイグイ引っ張っていた感じ。ジェイミー・フォックスは歌の方でもトゥイスタの『SLOW JAM』で大ヒットを飛ばしたし、今年は躍進の年でしたね。マービンゲールサバンドロー♪
- ヤマネ
- ナイオビはどうですか。僕、顔が苦手。
- BABA
- ジェイダ・ビンケット・スミスですね。かっこよかったやん。
- オガケン
- かっこよかった。彼女は2pacの親友です。2pacのドキュメンタリー映画『resurrection』の特典映像に入っている彼女がいいんですよ。亡き2pacの思い出を語るんですが、語っているうちに涙が止まらなくなって、それを観ているこっちも号泣…。
- ヤマネ
- スイッチ「中」くらいですか。んー、やっぱ、かっこよかったですね! ‥すみません、うそです。やっぱダメです。でもまあ最初の登場から最後までおいしい役でした。コヨーテさんもナイスタイミング!
- オガケン
- 全体的に御都合主義な話だし、トムの殺し屋って本当にプロ? と思わせるシーンも満載だけど、娯楽作品としては高いレベルにあるでしょう。
- ヤマネ
- あんた、プロ? っていう話でいえば『コール』の犯人役、ケヴィン・ベーコンも可哀想な役をもらってましたね。
- BABA
- ははははは。あれはひどい!
- ヤマネ
- 誘拐する人よりされる人のほうが賢そうに見えるのは、現実では知りませんがサスペンス映画ではどうかと。駆け引きにならへんもん。コメディとも違うみたいだったし。
- BABA
- タイムリミットは24時間! っていったい何を基準に犯人は時間指定したんだろうね。最後まであんまり関係なかったみたい。去年一番ほっこりしたサスペンスでした。
●エディ・マーフィー
- ヤマネ
- ほっこりしたといえば、ほっこり面白かったのが『ホーンテッド・マンション』じゃありませんか。
- BABA
- おお、そうそう『ホーンテッド・マンション』滅茶苦茶良かったね! 去年はエディ・マーフィーが大活躍の1年。『チャーリーと14人のキッズ』とか。『ホーンテッド・マンション』とか。
- ヤマネ
- その2本しかありませんから! でもどちらもホノボノファミリーものとして最高でした。
- BABA
- リストラされたエディ・マーフィーが保育園をつくって、個性豊かな子供たちに翻弄されるお話なんですよ。
- オガケン
- へえ、面白そうじゃないですか。
- ヤマネ
- ええ。毒が全然なくて最高でした。非常にわかりやすーい演出で、エディ・マーフィも自然な演技で新境地開拓! って普通にやってるだけですけど。
- BABA
- ダコタ・ファニングの妹が出ていたのもよかったね。一人だけめちゃ美少女やし。
- ヤマネ
- ダコタ・ファニングは映画でまくりです。過労死しないか心配だ。ともかくこの2本はこのお正月のビデオ鑑賞にバッチリお奨めですね。最期にはほろりんと泣けるし、ある意味完璧な2本だ! ‥と思う、少し弱気。
- BABA
- うんうん。僕は最期まで『チャーリーと14人のキッズ』をベストに入れるか迷ったよ。
- ヤマネ
- 結局入れてないし! でもいい映画なのでこれを読んでるキッズたち、みんなでみてね! じゃあ続きは明日! また見てねーー!!
Vol. 3 に続く…
オガケン, ヤマネ, BABAOriginal: 2004-Dec-31;