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 Movie Review 2004・11月15日(Mon.)

キャットウーマン

 すべての女には野獣の猫が棲む。にゃにゃーん! さて“キャットウーマン”といえばもちろん! 『バットマン・リターンズ』ミシェル・ファイファーです。ミシェル・ファイファーがキャットスーツに身を包んで一声「ミャーオ」と鳴いたシーンは映画史に残る名場面、しかし、私も大人ですので、何がなんでもミシェル・ファイファーじゃなきゃ嫌だい、嫌だい! と駄々をこねるのもいい加減にして鑑賞にのぞんだところ、ハル・ベリーのキャットウーマン最高! でした。

 その名も「忍耐」=ペイシェンス・フィリップスは、某コスメ会社宣伝部勤務デザイナー、新製品の秘密を知ったために謀殺され、しかしキャットパワーを得て、キャットウーマンとして生まれ変わったのでした、というお話。

 社長の横暴に耐えていた女子社員が、変身・変装して自分の欲望に忠実に生きる、フェミニズム精神あふれるストーリーは、女性をターゲットに据えており、もちろん男性はハル・ベリーのナイスバディにウハウハですから、どなたにもお楽しみいただける痛快作に仕上がりました。と言いたいのは山々なのですが…。

 いやいや、やはりハル・ベリー=キャットウーマンめちゃめちゃカッコいい! アパートの向かいの部屋で深夜、パーティを繰り広げる阿呆どもの部屋にのりこむシーンは「来た、来た、来た!」とワクワク、その後も宝石泥棒したり、男前刑事をお色気で翻弄したり、自分を殺したヤツらに復讐する…かと思いきやしなかったり、という、行動のワケのわからなさはまさしく猫、つい魚の缶詰をバカ食いしたり、極度に雨を嫌がったりなどわかりやすい描写もあって、キャットウーマンというキャラクターが見事に立っております。

 さらに、猫の動きを模した抜き足差し足、カポエラを取り入れたアクションなど、ハル・ベリーの肉体が『ゴシカ』に引き続いて躍動しまくり、ハル・ベリー=キャットウーマンだけを眺めていれば楽しめるのではないでしょうか? ……と言いたいのは山々なんですが。

 そこそこ面白い設定、ハル・ベリーの好演が、素早い編集・CG多用で台無しにされてしまって、本当に残念です。

 監督は、フランス出身のピトフ、そう、あのフランス家庭料理。…それはポトフやろ。思わずノリツッコミしてしまいましたが、『ヴィドック』も凝りに凝った映像で萎え萎え、今回も目まぐるしいカット割りで、ハル・ベリーの動きの美しさをブチブチに寸断、CG丸出しCGに萎え萎えです。

 早いカット割り・奇天烈なカメラワーク・CG、などは、オーソドックスな撮影・編集では間が持たず、ごまかすために使用されるテクニック、この作品のハル・ベリー=キャットウーマンのように、撮るべきものが存在している場合には不要な技巧であります。

 たとえばテオ・アンゲロプロス監督(『旅芸人の記録』とか)のように、ワンシーンワンカットで撮れば、十二分に面白い映画に仕上がったはず…というのは極論ですが、MTV風演出+CGが、映画の魅力を殺している、と一人ごちたのでした。

 ともかく、MTV演出、CG多用で無惨にもズタボロにされていながらも、輝きを放つハル・ベリー=キャットウーマン最高! シャロン・ストーンも怪演、そうそう、男前刑事役はベンジャミン・ブラット。『2番目に幸せなこと』『デンジャラス・ビューティー』など、女性上位映画の男前といえばこの人、って感じでオススメです。

☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2004-Nov-14