恋の門
比類なき鬼才 松尾スズキ 初監督作品。恋は暴走!! ババーン! 羽生生純(はにゅにゅう じゅん)の同名コミックを映画化。私、原作を読まずに鑑賞したところ、思いもかけぬ方向へゴロゴロ転がる怒濤の展開にいたく感動しましたので、みなさまにも予備知識なしでのご鑑賞をおすすめします。以下、ネタバレ含む。
さて、主人公、松田龍平扮する蒼木門(あおき もん)、出会ったのは酒井若菜扮する証恋乃(あかし こいの)、二人の恋の行方やいかに? というラヴストーリー、面白いのは、門くんは自称・マンガ芸術家、対して恋乃さんは同人誌漫画家かつ、熱烈なコスプレーヤー、きわめて現代的(かもしれない)なキャラクター設定で、これまで脇役にはあったとしても、主役にはあまりなかったキャラクターで、そういうところのマンガ文化が舞台設定の核となっており、コスプレ、コミケなどのアイテムがぞろぞろ登場するのがリアル、興味深いです。
また、門くんは恋乃さんをとりあえずセックスの対象としてとらえ、恋乃さんは、門くんはダサくて貧乏だけど、××(失念)のコスプレがいちばん似合ってるしー、みたいな、お互い打算的なところで恋愛が始まる点、さらにお互い趣味(=世界観)が全然あわず衝突する点、などなど、こういう恋愛像は、現実にはそこらへんになんぼでもありそうなくらいリアルですが、映画で描かれることはなかったもんではないでしょうか? よく知りません。
松尾スズキ監督、そういう重い恋愛を、ピンポイントなギャグをちりばめテンポよく描き出します。ギャグの数々は面白くない人にはさっぱりでしょうけれども、私にはいくつかヒット。個人的には『銀河鉄道999』車掌さんのコスプレをした恋乃の父親がポロッと漏らした一言とか。
クライマックス、ついに門くんは恋乃さんの趣味に、重い足取りで歩みより、「俺流コスプレ」を披露します。恋乃さん「門くん、…それって、コスプレ!?」と問う。私としては、ここで門くんにポロッと「キケロのジョー(小林稔侍)です」と言って欲しかった。残念。って、よくわかりませんね。
松田龍平というと、『御法度』以来、なんだかよくわからないキャラクターが多かったのですが、今回は素晴らしい! と思いました。その他、大竹しのぶ、忌野清志郎など脇役も豪華、松尾スズキもおいしい役どころで出演しております。
マンガ好きの方は必見、さらに世界に誇る日本のマンガ文化を活写した作品としてバチグンのオススメ。ではマニア向けかというとそうでもなく、ここに描かれた一ヶのラヴストーリーは、世界にも通用する普遍的なものではないでしょうか。では、さっそく私も原作を読むことにします。ポチッと。
☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)
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