キャットウーマン
MOVIX に『キャットウーマン』を観に行く。キャットウーマンと言へば、もちろんバットマンのサブキャラだが、この映画はそのキャットウーマンを独立させて 1 本としたもの。バットマンやロビンは出てきません。キャットウーマンの名前も変はつてゐるし、ほとんど『バットマン』と関係ないと言つていいだらう。キャットウーマンといふキャラクターの持つ絶妙な魅力が、カルト的な人気を博し、ついに『バットマン』から独立した、といつた所である。
むろんキャットウーマンは、男性側からも非常に人気のあるキャラだが、女性側からも熱烈な支持を集めてゐる。猫といふ動物の持つ高貴な怠惰さ、気紛れ、正直さ、が、女性の中にある「何か」をいたく刺激するのだらう。だからキャットウーマンに成りたいがため、自作の衣装を着てコスプレし、周りにアピールしまくるショーン・ヤングのやうな女優さんも現れたりする(ネタが古い?)。またティム・バートン監督の『バットマン・リターンズ』でミシェル・ファイファーがキャットウーマン役を射止めた時、嫉視と羨望を一身に集めたとも聞いてゐる。だからこの映画『キャットウーマン』でも、一体誰がキャットウーマン役をするのか、といふのが最大の注目点、といふかそれだけが気になる所だつたのだ。で、問題の配役はといふと……なんとハル・ベリー! 素晴らしい。もうそれだけでオッケーなのに、さらに敵役はシャロン・ストーン。んー、これはイヤがうへにも期待が高まるなー、と劇場に駆けつけたのでした。
結論からいふと、この素晴らしい配役が全て、の映画であつた。ストーリーの凡庸さは、まァ、最初から責めるつもりはなかつたのだけれど、扱つてゐるテーマが、化粧品会社の不正を暴くといふ、実はやりやうによつてはとてもアクチュアルなものであつただけに、惜しい感じがした。でも、そんな事はどうでも良い。問題は、やはり CG である。またしても、といふべきか、CG の悪い面が全開の映画であつたのだ。
監督はじめスタッフたちは、CG によつて今までにないリアルなキャットウーマンの動きを表現できた、と言つてゐるが、何にも分かつてゐない! キャットウーマンの魅力は、人間の女性が猫のやうな動きをするところにあるのであつて、それを CG によつて不自然に猫に近づければ、魅力は半減する。実際映画においても、ハル・ベリーが人間の姿のままで猫ッぽく動く所は眼福の極みだが、キャットウーマンの扮装をして猫のやうに飛び回るやうになつた途端、CG の不自然な動きでゲンナリしてしまつた。ハッキリ言つて、気持ち悪い。セクシーさといふものを、何ひとつ理解しとらんなこの映画のスタッフたちは、と憮然としてしまつた。
とかなんとか悪口を書いてしまつたが、結構楽しんで観てゐたのも事実。やはりハル・ベリーのキャットウーマンを観ずに、ブッシュが再選してしまつた 2004 年を乗り切ることはできないだらう。
この映画のせゐで、トモコがどうしても寿司が食べたいといふので、終映後に食べにいく。もちろん、シャリは全て私が食べました。トホホ。