郵便局その2 [生活]
イーストウッドの最新作『グラン・トリノ』を見て参りました。…ということで今日は郵便局での出来事の後半部分!
何度も繰り返して恐縮ですが、私が住んでいるのはミラノではなく、ミラノの郊外の一つの町です。イタリアは日本のように町がのっぺりと広がっているのではなく、町と町とが比較的明瞭に分離されていて、一つの町は一つの町としてまとまっているわけです。
前回書いたようにミラノの郵便局では人が溢れていたため、私は自分の住んでいる町の郵便局に行くことにしました。近頃のイタリアの郵便局は、入り口付近に配置されている機械から番号札を取って、自分の番号がディスプレイに表示されたら確実に自分の番であるという大変分かりやすい仕組みです。日本の銀行と同じですね。で、その日、この機械は故障しておりました。仕方無いので並びました。でもミラノの郵便局と比べると人が断然少ない。あっという間に自分の番が回ってきました。
動悸ドキドキ。やはり窓口の人は強烈に無愛想で、とても悲しい目に遭わされるのであろうか、自分は。ここイタリアくんだりで。京都人。一人。…と思ったら、いまからお世話になる2人は、夢を見ているかのように親切な女性だったのです。
「カクカクシカジカ…というわけで箱を日本に送りたいんですけど…」
「なるほど。箱自体を送りたいのね。箱はあそこの売店の女性から買えますよ。それからね、送り賃は重さによって変わるのよ。20箱だったら大凡10キロくらいかな。急ぎの航空便と、少し時間が掛かる航空便と、船便とあるんだけど、値段の表をここに書いてあげるわね」
何という親切。素晴らしいです。しかし、解決せねばならない問題がありました。それは、20もの箱をどうやって送るか、ということです。大きな箱に入れる必要があるのか、それとも紐で縛って送ったりできるのか。
売店のお姉さんのところにて。
「カクカクシカジカ…というわけで箱を20個日本に送りたいんですけど…。どうやって送ればいいでしょう」
「えっとね、この箱はいま折りたたまれた状態だけど、こうすれば開いて箱になるでしょう?」
「いや、箱に何かを入れるのじゃなくって、20個の箱、そのものを送りたいんです」
「ああ、そういうことだったの! じゃあ、大きな箱がいるわね」
「その大きな箱は、やっぱり自分で用意しないといけないんでしょうか。縛って送ることはできません?」
「縛るのはダメね。箱で送らないといけないのよ」
「そうですか。大きな箱ね…。どこで手に入れられるかなあ。無いですか、ここには」
「無いわねー」
そうですか、と言っては見たものの、大きな箱を探すとなるとこれはまた大変です。どこで売っているかも分からないし。そこで、困った顔をして、少し間を取ってみました。イタリアでは何事も交渉の余地がある。すると!
えーっと、ちょっと待っててね、と言い残して彼女は奥の方に消えていきましたが、数分後、大きな箱の中に、購入せんとるする20個の箱を入れて帰ってきました。「これでいいかな?」
「良すぎます、完璧です!」
「OK、じゃあ次は梱包。これがガムテープでこれがハサミ」
その後、送り状を書いたり箱に住所を書いたり現金を下ろしに行ったりしましたが、全ての事がスムーズに滞りなく終了。送り方は、費用と所要日数を勘案して、少し時間がかかる航空便を選択しました。いわゆるSAL便。(そして実際に10日ほどで無事に到着しました。)
誰ですか、イタリアの郵便局が無愛想だなんて言った人は。でも、この郵便局での出来事をイタリア人に話したら「もの凄くラッキーやね、それ!!」 と驚かれるので、たまたま自分がツイていたと思うようにしております。ま、おかげで郵便局があまり怖くなくなりました。ありがとうございました! Mさんのおかげです!
Comments
投稿者 Mヤマ : 2009年03月27日 00:55
なんて図々しいやつがいるもんだ!と思っていたのですが、良い経験ができて何よりですね。
「グラン・トリノ」早く観たいなぁ。
投稿者 power : 2009年03月27日 04:50
あ、“Mヤマ”さん!
いえいえ、図々しいどころか、ホント、貴重な体験が出来たと思ってます。イタリアでは「交渉力」がモノをいいますから、このように修行ができたことが感謝です!
おまけですが、イタリアでは交渉が大事ということを知らない日本人は、文句ばかり言っておられます。宜しくないことです。
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