Diary 2003・6月3日(TUE.)
深作版
『魔界転生』
深作欣二版『魔界転生』をビデオで観る。これは、先日観た平山版『魔界転生』があまりにもつまらなかつた事から、なんであんなに面白い原作をあそこまでつまらなく出来るのか! そもそも話が全く違ふぢやないか! …天草四郎を魔界の総大将に据ゑてゐるところから察するに、これは深作版を参考にしてゐるな…といふ風に考へが進んで、深作版を観てみることにしたのだ。深作版では、天草四郎は沢田研二、柳生十兵衛は千葉真一、宮本武蔵は緒方拳、宝蔵院坊に室田日出男、さらに若山富三郎、真田広之、丹波哲朗…と豪華キャストで、まづそれだけでも楽しめさうな感じである。いささかの期待を持つて観はじめたのだが…。
つ、つまらん! ここまで観るのが苦痛な映画だつたとは…。チープ過ぎるセットと、チープ過ぎる音楽がまづ脱力感を誘ふ。演出もかつたるい。で、何より話が面白くない! 別にやりたくもないのに無理矢理やらされ、ち! こんな長くて込み入つた話をどうやつて映画にするんだよ! と、文句を言ひながら、適当に辻褄を合はせた、といふ感ぢがプンプンと漂つてゐる。…うーん、さすが角川映画。お約束のお色気シーンを盛り込むために、むりやり細川ガラシアを転生させてゐる。また、当時少女たちの間で大評判になつた問題のシーン、ジュリーと真田広之のキスシーン、は、案の定ストーリーに関係のない無理矢理なもの。宣伝では、そのシーンばかりを流してゐたものだが…。
これを観ると、平山版が深作版のリメイクである事が分かる。ラストシーンも同じだし。深作版のどこを直さうとしたのかも、分かる。が、それでも、つまらない事には変はりがない。…みなさん、『魔界転生』は山田風太郎の原作を読んで楽しみませう。
小川顕太郎 Original:2003-Jun-5;