ワールドカップ
決勝トーナメント
日本戦
先日の日本戦と同じく、今日もプロジェクターでオパールの壁一面に試合の様子を映して観戦するのだけれど、前回はそれほど人が集まらなかったので、軽い気持ちで試合が始まる直前にオパールに行くと、ドアが開いた途端に溢れんばかりの人々が。な、なんで…？ と、戸惑っていると、突如として「にっぽん ちゃちゃちゃ！」という歓声が店内にわき起こり、画面に向かってみなが一様に手を振って踊りだした。なんだなんだ、人がえらく集まっているじゃないか。辞めたはずのオイシンも働いているじゃないか。ショウヘイくんとヤマネくんが端に追いやられているじゃないか。やはり前回は宣伝不足だったということか。ちゃんと（？）宣伝すれば人は集まるということか。それにしても…これは、嬉しい。私は T 作戦の成功を、しみじみと感じたのであった。
試合そのものは、最初に日本がトルコに 1 点とられ、それを終始日本が追い上げる、という形で続いた。何度もチャンスがあったが、どうにもものにならない。歓声と嬌声と悲鳴、怒号が飛び交うなか、試合はどんどんとすすむ。私も今回はじめて、身を入れて試合を観たかもしれない。なんといっても、この試合に日本が勝てば、次は土曜日に試合があることになる。実を言うと、プロジェクターは「平日なら」という条件付きで借りているので、土曜日は借りる事が出来ないかもしれない。しかし、もしこの盛り上がりのままで日本が勝ったら、オパールでまたプロジェクターを使っての観戦会をしないわけにはいかなくなるのではないだろうか。どうすべきか？ T 作戦の新たな展開は？ と、頭の中でグルグルめぐらしながら、試合をみていたら、結局日本はそのまま負けてしまった。あらら、悩む必要はなかったか。
「あかーん、もったいなーい、ダメやー！」と叫んで頭を抱え、ヤマネくんはパタッとソファの上に倒れ込んだ。他のお客さんもみな虚脱している。それでも、お客さん・サポーター達は、「日本よく頑張った！」と言って、画面に向かって拍手をしていた。その様子を、憮然と眺めているのがショウヘイくん。「ダメです。全くダメです。この期に及んで布陣を変えたトルシエは問題外、やはりこいつはダメか、という感じですが、なにより選手の動きが悪い！ じゅうぶん勝っていた試合なのに、あれだけミスを連発して負けたというのは、恥ずべきことです。試合としては最低、まったく面白みに欠ける試合でした」と言い放つ。ははは、まあ、色々あるよねー。
夜は韓国・イタリア戦。これは素人目にみても、日本・トルコ戦に較べて格段に激しく、面白い試合だった。ところで、ショウヘイくんの予想は必ずはずれる、という評価がこのワールドカップ中に確立されたが、本日の日本戦も、実はショウヘイくんが「日本が勝つ」と予想したために負けた、という噂が、はやくもオパール周辺では囁かれていた。で、韓国・イタリア戦。こちらも最初に韓国が一点とられ、それを猛然と韓国が追い上げるという、日本・トルコ戦と似た展開になったのだが、そろそろ試合時間を過ぎたかな？ という頃、私が注文の品を作っていると、ショウヘイくんが「よし！ イタリア勝った！ やはりイタリアには残ってもらわないと」と叫んだので、ああ試合が終わったんだなあ、とテレビに目を向けたら、まだ試合は続いている。「いや、もう終わります。あとちょっとです。イタリアが勝ちました」とショウヘイくんが言ったところで、韓国がゴールをきめ、同点に持ち込んだ！ 愕然とするショウヘイくん。
「い、いや、大丈夫です。ボクは『イタリアは PK 戦に弱いから、PK 戦になったら負ける』と、『予選１次リーグはこんな感じ！！』で予想しましたから、PK 戦になれば、イタリアは勝つはずです！」と言っていたら、延長戦、サドンデスで韓国の勝利。PK 戦までには至らなかった……。
しかし、ここまで予想をはずすというのは凄い。1 ％しか予想が当たらない、というのは、裏返せば 99 ％も予想があたっている事になる。ワールドカップが終わって、「今日の見どころ」が終了したら、ショウヘイくんに「今日の予想」という新コーナーをやってもらうか。
ところで、日本が負けてしまった事で、オパールの T 作戦も、事実上終わりだろう。もちろん、最後までテレビは置いておくが、プロジェクター上映でみんなが大集合！ というのは、ないんじゃないか。ああ、次なる一手を考えなくては。なんとかお客さんをもっと集めないと、オパールの未来が危ない。
「いえ、きっと大丈夫ですよ」とショウヘイくん。
ああ！ あっかーん！！ もうダメやー！！！
小川顕太郎 Original:2002-Jun-20;