地獄のお気楽
スペイン観光
09-02 Madrid
09/Aug./2002(FRI.)
プラド美術館の3時間
その2
オラ。さて、プラド美術館は「世界 4 大美術館のひとつ」と言われております。さて、ここで問題です。後の 3 つを答えてください。……えーっと、えーっと、ルーヴルと……はて? と困り果てる。
インターネットで調べてみても、「プラドは 3 大美術館のひとつ」とか「4 大美術館のひとつ」とか色々いわれておりますね。「3 大」あるいは「4 大」の中に、ルーヴルは必ず入っていますが、プラドが入っていない場合もある。残りを争っているのは、プラド、大英博物館、メトロポリタン、ボストン、エルミタージュ、ウフッツィなどなど。そもそも「3 大」または「4 大」といっても誰が決めてるわけでもないでしょうから、プラドは「世界 4 大または 3 大美術館のひとつに挙げる人もいる美術館」である、ということです。…ってどうでもいいですね。
駆け足で見て 3 時間半。量・質とも半端やないので、ツーリストは駆け足で見るしかない。しかし駆け足で見れば、大体は見られます。
日本に帰ってから読んだ『プラド美術館の三時間』(エウヘーニオ・ドールス著/ちくま学芸文庫)というガイド本によると、やっぱりプラド美術館は 3 時間半くらいで見るのがよいそうですわ。ともかく、ギリシャ・ローマから、ゴヤあたりまでの西洋絵画史を一望のもとに眺められる、というのは得難い体験。
とはいえ、入口に置いてある「フロアプラン」リーフレットの館内図には、「せめてこれだきゃあ見とけ!」という 10 点ばかしのとびきりの名画の展示場所が記されているので、例えば 1 時間しかプラドに行けない、という場合はそれらをピンポイントで見るのもいいかも、です。
そうそう、館内の二室ほどを使って、展示作品からセレクトした企画展『リザーヴド・ギャラリー〜プラド美術館の裸体画 The Reserved Gallery and tha Nude at the Museo del Prado』というのが開かれており、ゴヤの『裸のマハ』、ルーベンスの『三美神』など裸体画の名品が展示されていました。かつてこれらがスペイン王室コレクションだった頃、王宮内には裸体画のみを集めた「Reserved Gallery」(要予約のギャラリー?)というのがあって、ごく限られた者しか入ることができなかったそうです。近代以前、裸体画はこっそりと鑑賞されるものだったのですね。
小学生の頃、美術全集に裸体画を見つけハアハア興奮していると、先生に「いやらしい子! これは芸術よ!」とたしなめられた経験は誰しもが持っていると思いますが(んなわけない)、そもそも裸体画は猥褻図画として愉しむのが本来の姿である、と、この企画展は主張しているのだ。…って、適当。
『プラド美術館の三時間』で著者エウヘーニオ・ドールスは、
「まるまる三時間を美術作品の鑑賞に当てうるとすれば、それは眠りに優る営みであり、生に優る歓びである。」
「プラド美術館の三時間の訪問がもたらす最良の成果は、きっともう一度訪ねねばならないと感ずることであろう。」
…と書いておりますが、門外漢私も、やっぱり美術は面白いや、近所にこんな美術館があるマドリードの人はうらやましいぞ、またいつか来よっと、と思いつつプラドを後にす。次回「マドリード:夜」。アスタ・マニャーナ。
(BABA)
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