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Movie Review 1999・9月09日(THU.)

マトリックス

 残念ながら Matrix について語ることはできない。自分の目で確かめてほしい…というわけで、決して見る前に読んではいけませぬ。こう書いても読んぢゃう人がいるだろうから、なるべく内容に触れないように書く。

「matrix」ってなんでしょう? 辞書を引くと「活字の母型」「レコードの原盤」「数学の行列」などの訳が並ぶ。「型にはめる物」というニュアンスかな。なるほど。

 ともかく、これほど血湧き肉踊り、狂ったように笑い、ハラハラと感涙の涙を流したのは『スターシップ・トルーパーズ』以来。例が悪い? ぢゃあ『トータルリコール』以来というのでどうだ。ホメてるように思えないって? 『未来世紀ブラジル』以来というのでどうでしょ? ともかく『マトリックス』を見てしまった後では大方の SF 映画、アクション映画は古くさく見えてしまうのでご注意。

 スタンリー・キューブリックが死んで「ああ、もう映画というメディアは静かに死んでいくだけだな」と日々悲嘆に暮れていたが『マトリックス』で映画の寿命は 30 年は伸びたと思います。『2001 年宇宙の旅』以来の革命的な映画、と言ったらホメ過ぎか?『マトリックス』の影響を受けた人びとが今後約 30 年間、映画のみならず各方面で活躍していくだろうことは想像にかたくない。21 世紀もなんとか映画が生き延びられる方向を示した映画。ホメ過ぎでしょう、ホメ過ぎだよな、なんせ長いもん、などとノリの悪い事をいうお歴々もおられましょうが、一般公開前に死ぬほどほめておくと「早く見てぇ〜」と悔しがる人もいるだろうから、とにかくほめちぎっておく。最高! 上映時間が 100 時間ぐらいあってもいいくらいだ。続々編まで作られることが決定しているので、それを見るまでは死ねないぜ。

 監督のウォシャウスキー兄弟も偉いが、超大作のくせに生半可なバカはついてこなくてよろしい、ホントのボンクラだけついてこい! というスタンスをつらぬかせた製作のジョエル・シルヴァーも偉い。この人は『エクゼクティヴ・デジション』というサスペンス・アクションのコペルニクス的展開を成し遂げた映画のプロデューサーで、ボクは「度量のある製作者」と認識している。また株をあげました。

 この手の映画につきものの、やたらと長いエンドタイトルなんだが、映画を見た人だけがアクセスできる WEB サイトのパスワードが最後の最後に出るのでご注意。ってパンフでバラしてるぢゃん! アホか。でも、凝った印刷の大判パンフは 800 円で、ま、お買い得かな。ツボを心得た執筆陣でなかなか読み応えあり。ウィリアム・ギブスンもほめてます。

 滅多に見ることの出来ない超満員の美松を見るチャンスを逃すな! で、一般公開後にもう一回見に行って死ぬほど内容に触れまくったレビューをするので、それまでにみんな見ておくこと。

BABA
Original: 1999-Sep-09;

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