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Movie Review 1999・9月08日(WED.)

ノッティング・ヒルの恋人

 笑いあり、涙あり、のロマンチックコメディー。演出がスピーディーで大袈裟な所がなく、荒唐無稽かつ御都合主義的なストーリーをイヤ味なく納得させて感動させてしまう所など大したものだと思う。主演のジュリアロバーツ&ヒューグラントも凄く魅力的だし、脇を固める人達もそれぞれキャラが立っていて良かった。

 しかし、こういうラブストーリーは私の守備範囲にはないので、正直いってこの作品をどう位置付けるかどう評価するかが分からない。つまり「使い方」が分からないのだ。およそ作品というものは使えなければ意味がない、と私は思っている。世の中には「意味のない作品」を礼賛する風潮もあるようだが、そういう風潮の嫌らしさは、そう言っている本人達がその「意味のない作品」を十分に利用している点、つまり彼等にとってはその「意味のない作品」は十二分に意味があるという点にあるのだ。

 その人にとって「意味のない作品」とは、その人が使えない作品のことであり、そういう作品は何も残さないし、何も産まない。かかわりあうだけ時間の無駄である。また作品を「使う」とは、なにもそれを使ってお金を作ることだけを指すのではない。そこから更に作品を産みだしたり、日々の活動に生かしたり、観照生活を深めたりする事も指すのである。

 そういう意味でこの『ノッティングヒルの恋人』という作品は、私にとって「使えない作品」ではなく「使い方の分からない作品」なのだ。ではどうするか。こういうものは胸の中にしっかり溜めて、肥やしにするに限る。優れた通俗作品というものは常に人生の肥やしとなるものなのだ。

オガケン Original: 1999-Sep-08;

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