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Movie Review 1999・9月07日(TUE.)

ノッティング・ヒルの恋人

「ノッティング・ヒル」ってのはロンドンの下町らしい。ジュリア・ロバーツ主演ということでハリウッド謹製の印象があるが、実はイギリス映画。製作・脚本・主演は『フォー・ウェディング』のチームで風合いも似ており、脚本家の発想の原点は「イギリスの庶民の生活に突如ハリウッドのセレブリティが現れたらどうなるか?」ということで、モンティ・パイソン的と言えなくもない。それほどアナーキーぢゃあないけれど。

 よって今までジュリア・ロバーツってのはどうも好かん、って人でもおもしろく見ることができるんぢゃないかな。ちなみにボクは『プリティ・ウーマン』という映画はカスだと思うが、『ベスト・フレンズ・ウェディング』とか『アイラブ・トラブル』『陰謀のセオリー』などちょっと毛色の変わったコメディに出演するのでジュリア・ロバーツは洒落のわかる女優さんとして認識しております。

 ま、繁盛しない旅行書専門書店の旦那とアカデミー主演女優賞も取ろうかというイキオイの女優さんのロマンスなんて現実ばなれしているが、作者たちはシュールリアルな笑いを狙っているフシもあるから、この際それは置いときましょう。庶民代表はヒュー・グラント。自虐的な笑いが似合う。スター女優が H. グラントの妹の誕生日パーティにやって来たり、とシュールリアルな展開で、「嗚呼、庶民の生活ってほのぼのしてて暖かくて、良い物ね」とかいうぬるい展開になると思いきや、パーティに集まって来るのがケン・ローチやマイク・リーの映画に出てきそうな、ノー・フューチャーなワーキング・クラスの人びと。どうだ! って感じ。妹がそこはかとなく H. グラントに似てたりして、キャスティング・ディレクターの腕を見せた。

 H. グラントの同居人を演じるのが『ツイン・タウン』にも出ていたライス・イファンスという人で、すげーメチャクチャ。少し『Mr. ビーン』入ってます。近頃好調のブリット・ムーヴィーに何を間違ったかジュリア・ロバーツが出てしまった、という珍品でありましょう。結構感動してホロリとしてしまったりしたんだけどね。良い映画。H. グラントのいいヤツぶりが泣かせるし、セルフ・パロディを演じる J. ロバーツも、ひょっとしたらベストなんぢゃないか。グッと来ます。

 ところで『ユー・ガット・メール』とかいうカス映画でも「もうからない商売」として専門書店が登場したが、英米ではそういう一般認識なのかしらん?

「身分違いの恋」ということで『ローマの休日』と比較検討するのもおもしろいと思うぜ。

BABA Original: 1999-Sep-07;

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