Movie Review 1999・10月05日(TUE.)
ホーンティング
久々のドはずれた作品、ということで特別企画、当レビューコーナーの常連投稿者ヤマネ氏(aka 嵐を呼ぶ男)VS BABA 氏の対談を企画いたしました。(進行:管理人)
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最高!「ホーンティング」
- 管理人
- ボクはまだ見てないんですけど、おもしろいんですか?
- ヤマネ
- 今年最高!
- BABA
- とにかく…凄い映画だね。『北京原人 WHO ARE YOU?』以来だな。こんなに笑えたのは。『ミュータント・タートルズ』を越えた!
- ヤマネ
- ヤン・デ・ボンは『ツイスター』を越えましたね。
- BABA
- ある意味では越えているな。あれも竜巻の回りでボンクラな奴らが右往左往するだけという救いようのない映画だったけど、この映画もお化け屋敷で数人の男女が右往左往するだけ。デ・ボン・タッチが確立したね。
- ヤマネ
- ボクは、最初はワクワクしてたんだけど、途中から見方を変えましたからね。俳優たちが、いかに何もない空間に向かって迫真の演技をしているか? に注目すると爆笑できます。涙出ました。こいつら役者根性ありすぎ!
- BABA
- 霊とか、動き出す銅像なんてのは、後から画像処理で加えるもんだから、役者はなんにもないところにむかって「この野郎!」とか「私は怖くないわよ!」とか一生懸命になってるわけだな。まあ、心霊現象ってのは所詮は人の意識が作り出すものだから、そういう見方は正しいね。
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ホントは L・テイラー主演作、リーアム役立たず
- ヤマネ
- 予告編では「リーアム・ニーソン、キャサリン・セダ・ジョーンズ主演!」とか大々的に宣伝しているけど、これリリ・テイラー主演ですよね。
- BABA
- そうそう。8 割くらいは『アンディ・ウォホールを撃った女』ことリリ・テイラーだね。そういう点では希少価値ありだ。興行価値を考えればリリ・テイラー主演ってのを表に出したくない気持ちはよくわかるけどね。他のキャラクターはホント、どうでもいい。『シンドラーのリスト』のリーアム・ニーソンなんかメチャクチャ役立たずだし。
- ヤマネ
- クワイ・ガン・ジンより役立たず!『スター・ウォーズ エピソード 1』の R ・ニーソンは後にダースベイダーになる少年をジェダイ騎士団にむりやり引き入れて、自分はとっとと死んぢゃうという役立たずぶりだったけど、今回も人をだまくらかしてオバケ屋敷に連れてきて、なんかボーッとしているだけだし。最後なんかボーッと出ていくだけだし。あの終わり方はないですね。屋敷が吹っ飛ぶくらいしないとダメですね。
- BABA
- お前が巻いたタネなんだから、死ぬか、何か教訓めいたことでも言いやがれ! ってラストだな。
- ヤマネ
- とにかく R ・ニーソン、役立たずです。唯一の連絡手段である携帯電話も温室の階段にぶら下がって遊んでいるうちに落として壊しちゃうし。
- BABA
- あれは遊んでたんぢゃないよ。リリ・テイラーを助けに行こうとして、結局自分の方が危険になっちゃってみんなに迷惑かける。キャラクター的には助けに行くところだろうけど、自分が危機に陥ってどうする?
- ヤマネ
- そもそも外と連絡を取ろうなんていうこと思いつかないボンクラどもばかりだから、あの携帯電話の意味ありげな落ち方も実はまったく意味がない。
- BABA
- 携帯電話会社がタイアップしてるんぢゃないのか?
- ヤマネ
- あの落ち方はしてますね。温室の銅像につかまれた R ・ニーソンの反応も凄かったですね。
- BABA
- そうそう。銅像が動いたんだからもっと不思議に思えよ! それとも「ああ、そういえば銅像も動くこともあるよなあ」ってくらい非科学的なヤツなのか? 学者のくせに。
- ヤマネ
- 「恐怖」の研究をしようってんでお化け屋敷に行くくらいだから、もともと非科学的なヤツなんですよ。いきなり銅像に首根っこをつかまれて、噴水に浸けられるんだけど、もう何事もなかったかのようにズブ濡れのままさっさと歩き出してみんなに報告〜! 銅像も結局何がしたかったのかわかんないしね。
- 管理人
- あの〜。さっきからネタばらしまくっておられますけど、いいんですか?
- BABA
- いいんだよ。こんな映画、ストーリーのおもしろさを求めて見にいったらガッカリするだけだもん。だからネタをばらそうがばらすまいが、この映画のおもしろさは不変なんだよ。
- ヤマネ
- 本当ですよ。ボクはこの映画をどう見るかで、その人の映画を見るセンスが判断できると思うな。怒っているようではまだまだ甘い。えーっと。ちなみに死ぬのは若者と、リリ・テイラーだけです。リリ・テイラーは実は屋敷の持ち主の子孫で…
- BABA
- そんなムリにネタをばらさなくても…。初日に見にいったんだけど、みんな文句言ってたよ。「なんでこんな映画が全米一位?」って。
- ヤマネ
- え。一位なんですか? さすがアメリカ!
- BABA
- とりあえず『たたり』って古い映画のリメイクだし、ドリームワークス製作だし、『スピード』の監督だし、R ・ニーソン、『エントラップメント』とかで売り出し中のキャサリン・セダ・ジョーンズが出ているし。山のように劇場おさえて、宣伝うちまくってドカンと公開すれば公開最初の一週間だけは全米一位くらいなるでしょ。で、サッと引く。とりあえず「全米一位」って肩書き作っておけば、よその国で公開するときのハクが違うんだよ。もちろんリリ・テイラー主演ってのは秘密。ドリームワークスってのは、こんな映画ばっかりだな。
- ヤマネ
- 試写もやらない方がいい。詐欺ですね。こんな映画が一位になるからヨーロッパの連中にアメリカ映画はバカにされるんですよ。
- BABA
- でも、アメリカの映画製作ってのは巨大産業で、儲けが上がれば成功なんだからね。バカにされても貧乏人の遠吠えくらいにしか思ってない。質的なことを考えたら誰もヤン・デ・ボンに監督させようなんて思わないもん。
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でも「屋敷」は凄い!
- ヤマネ
- こういう映画はアメリカでしか作れないですね。ホント。こんな映画にお金を払う日本人もいい面の皮だ。
- BABA
- でも屋敷は凄かったね。
- ヤマネ
- もの凄かったですね。話とは関係なく。外観も凄い。内装と全然つながってないけど。
- BABA
- 緒方直人のナレーションで「世界遺産」風にしたら 2 時間スペシャルくらい持つだろうね。
- ヤマネ
- ホント。ゴシックもバロックも全部ごちゃ混ぜって感じです。あの、もう甲子園球場くらいある広間も凄い。
- BABA
- そんなに広くはなかったと思うけど、扉を開けると床がグルグル回り出す鏡張りの部屋とか、意味もなく凄い。
- ヤマネ
- 最初の方の屋敷の部屋を探検するシーンで、「おおっ! こんな凄いセットだったら絶対怖いシーンが後から出てくるはずだ!」とか期待したけど、ホントに意味がない。クライマックスで逃げ込むんだけど、通り過ぎるだけだし。
- BABA
- 廊下に水が張ってあって、本の形をした踏み石を渡る部屋も、ただそれだけ。なんなんだろうね。とりあえずセット製作の人員が余ってたのかな?
- ヤマネ
- 謎ですね。ホントに怖くない。ディズニーランドの『ホーンテッド・マンション』の方が一万倍怖い。
- BABA
- 一万倍おもしろいしね。やっぱり、ホラーってのは三人称のカメラってのは禁じ手なんだよ。最初天使みたいなのがリリ・テイラーの寝ているところに忍び込んで来るんだけど、ああいう撮り方はダメだな。「目撃者」をたてるってのがホラー映画が成立する原則だ。こういう映画ってのは、ボクのようなまったく霊魂を信じていないヤツでも納得させよう、って意気込みを持ってもらわないとね。
- ヤマネ
- アメリカ人ってのは迷信深くて心霊現象の存在をハナから疑ってないから、こういうのでもいいんですかね。それから、あの天使みたいなのも最初から善良なイメージではダメでしょう。善悪をアイマイにしておかないと観客が安心しきってしまいますよね。ヤン・デ・ボンはその辺、全然わかっていませんね。
- BABA
- やっぱりホラーを撮る限りは「オレの考えるホラーってのは、こうだ!」っていうのが一本通ってないとダメだな。アメリカ人はこんなのでも結構怖がってたりして。
- ヤマネ
- ヤン・デ・ボンは、撮影監督としては『ダイ・ハード』、『ブラック・レイン』、『氷の微笑』とかいい仕事しているんですけどね。
- BABA
- キャリアをドンドン台無しにしている感じだな。ヤン・デ・ボンってのはオランダ出身で、ヴァーホーベンの撮影監督だったんだ。ヴァーホーベンに弟子入りしておもしろい映画の演出法を勉強すりゃいいのにね。
- ヤマネ
- とにかく敵キャラがダメですね。全然怖くない。なんであんなでっかい屋敷に、あんなちっこい敵やねん!(笑) しかも『ハムナプトラ』に似すぎ! 砂の色を紫に変えただけ!
- BABA
- 特撮担当が同じ ILM だから、データを使い回ししてるんだよ。
- ヤマネ
- 天井をゴンゴンいわせて迫ってくるのも『ツイスター』と一緒だし。
- BABA
- やっぱりコンピュータ・グラフィックスに頼り過ぎだな。部屋の気温が下がって、息が白くなるところがあるんだけど、あれなんか CG モロバレだし。『エクソシスト』はちゃんと部屋を冷やしてたぞ! そもそも心霊現象ってのは眼の錯覚か、手品なんだから、CG を使わなくてもいいんだよ。ショボい方がリアル。
- ヤマネ
- ああ、それで『女優霊』は激ショボでもめちゃめちゃ怖いんですね。なるほど。
- 管理人
- あの〜。もう誰も読んでないと思うんですけど…。最後にひとことお願いします。
- ヤマネ
- とにかく『ホーンティング』最ッ高!! 力強い! もう一回見に行こっ!
- BABA
- ボクは二度と見ません。この映画だけは誰にもオススメしません。
- ヤマネ
- あ、そうそう。キャサリン・セダ・ジョーンズが走るシーンはカッコいいですね。あんなに背が高いとは思いませんでした。
- BABA
- リリ・テイラーと並ぶとドクター・イーヴルとミニ・ミーくらい違うもんね。
- ヤマネ
- そんなには違わないでしょ!? でもキャサリン・セダ・ジョーンズは今年で 30 歳ですよ。オパールの店主と同い年か。そういえば…
- 管理人
- 以下、延々と対談は続くのですが、ほんとにどうでもいい話ですので、今日はこの辺で…。あっ。ギャッ!(続きはカフェ・オパールで継続中)