GTO
少年マガジン連載の人気マンガのテレヴィ化の映画化。今回は鬼塚永吉が臨時教員として北海道に赴任した 3 週間の物語、という番外編になっておりテレヴィ・シリーズを未見でも一本の完結した物語として楽しめる。かな?
ド田舎の高校に型破り教師が赴任、という『坊ちゃん』を原型としつつ『飛び出せ! 青春』、『われら青春』の系譜に連なる物語であるが、「新鮮味のないストーリー」という批判はこういう映画の場合は無意味だ。この手の映画はステレオタイプに忠実に作られるべきで、キャラクターの造形こそが命なのである。
『GTO』=グレート・ティーチャー・オニヅカの型破りな行動が痛快。演じるのは反町隆史で、ボクはこの人、CM でしか見たことがないが暴ヤン上がりの教師を演じて素晴らしい。最高に適役。
生徒もおいそれと反抗するわけにはいかない教師という立場を利用して、生徒を殴る蹴るは当たり前、生徒をたきつけ殴り合いをさせたり、しかも賭をして儲ける、などなど。本能にもとづく行動がすべていい方に転がって、意固地になってた少女に笑顔が戻り、フニャチン少年は男を上げ、産業廃棄物処理場は建設中止に。もし堪え性のないヤンキーが教師であったれば? という幻想を世のボンクラども(筆者含む)に振りまく。
こんな教師像は、ひと昔前であれば荒唐無稽であったろう。しかし「学級崩壊」など漏れ聞く学校の状況を聞けば、こんな教師がいてもおかしくないかな? と思わせる。それくらい学校ってのが「どうでもいい所」になっている可能性はある。鬼塚先生は教師にふさわしくないヤツなんだろうけど、今、教師をやっている人たちがどれだけ教師にふさわしいのか、がはなはだ疑問(教師の方々勝手なこと言ってすいません)。こういういい加減な教師ってのはきっといるぜ。映画ほど男前ではないだろうが。
『がんばっていきまっしょい』で最高の演技を見せた田中麗奈がこれまた良いし、『新生 トイレの花子さん』でもいい感じであった笠原秀幸も、牛に話しかけるボンクラ野郎を好演。
しかし、脚本はうまくない。『キャッツアイ』の藤原紀香が新聞記者を演じ、彼女の回想形式で物語が進行する。強盗事件もからんだりしてウェルメイドを気取っているのだろうが、こういう小細工はこの映画の場合はムダだ。回想形式ってのは面倒くさいところをセリフで説明できるというのが利点なのだが、その辺わかっているのか? 余計に面倒なコトになってるぞ。後半クライマックスにいきなり田中麗奈の回想が挿入されるのも盛り上がりを削ぐことはなはだしかったりと、構成がオソマツ。もっと鬼塚先生のツッパシリを我々(って誰?)は見たいのである。似たような出自の映画『サラリーマン金太郎』の突き抜け方を見習うべきであろう。
しかしながらお正月映画にふさわしい脳天気さで、単純と笑われるでしょうが泣けるシーンもあり。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の 1 万倍はオススメだ!
余談ですが、公式サイトの BBS には反町、ノリカにナッチャンも登場してます。
BABA Original: 1999-Dec-28;
|