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Movie Review 1999・12月22日(WED.)

母の眠り

 娘を演じるのは『ザ・エージェント』でトム・クルーズの相手役でイイトコ見せたレニー・ゼルウィガー。ちなみに『ザ・エージェント』ってのは、『オースティン・パワーズ・デラックス』の Dr. イーヴルの「You Complete Me」の元ネタになった映画であります。母はメリル・ストリープ、父は似非インテリが似合うウィリアム・ハート、そして弟は、トム・ハンクス監督の傑作『すべてをあなたに』のトム・エヴェレット・スコット。つまり、なかなか渋めのキャスティングってことです。

 主人公の R ・ゼルウィガーは、ニューヨークの女性記者だ。父親は大学の学部長なんかやってて評論集も多数出版の文学者で、10 年くらいかかって一本の小説を書いている。娘・ゼルウィガーは「パパ大好き!」って感じで、「お父さん、こないだのアタシの記事読んでくれた?」とか聞いたりして、「ふむふむ、アレか。お前は才能はあるが、努力が足りんな」とか適当なコトしか言われなくても、思わずジーンときてしまうくらい父親を尊敬しまくっている。

 ところが母親は、というと町の女性クラブで頑張ったりして田舎臭いコトこの上なし。父親の誕生日でたまに娘が帰郷してみれば、M ・ストリープは「今日は仮装サプライズ・パーティよ!」と、年甲斐もなく『オズの魔法使い』のドロシーの扮装で登場だ。バリバリのキャリア・ウーマンでなくとも「うおー、母ちゃんやめてよ!」と家を飛び出したい気分でいっぱいになることウケアイ。

 で、この母親が不治の病と発覚し、ゼルウィガーが介護で母親と生活するうち、父親ってのが実はフニャチン野郎で、母親は実に肝っ玉母さんであったコトに気付いていく、ってお話。その辺が単なる難病モノを逸脱しているところ。…って単なる難病モノが悪いってワケぢゃないですが。ともかくインテリの化けの皮が剥がれていくプロセスはスリリングで痛快。

 M ・ストリープは、初登場シーンが正視に耐えない恥ずかしさ。「さすが! 役者バカ!」ってな感じで病気でストレスをためたり、みるみるやせ細ったりと、ここぞとばかりに気合いの入った演技を見せる。ボクはストリープって、なんかヤなんだが、今回は泣かされました。取りあえず俳優の演技合戦が見どころ。

 監督は、よく知らないカール・フランクリンって人。写真を見る限りアフリカン・アメリカンなんだけど、黒人が主人公であるわけでもなしのこういう映画を監督できている、ってのはたいしたモノなのかいな? 取りあえず丁寧に手際よく演出。

「親の死に目」ってのにどう対処すべきか? を考えたい人とか、「親ってなんかダサいよね」とか言ってる人にはオススメだ。

BABA Original: 1999-Dec-22;

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