コーラス
涙がこぼれそうなとき、歌があった。ババーン!
終戦直後1949年、フランスの片田舎、問題児ばかりを集めた寄宿学校に、音楽家くずれのマチュー、舎監の先生として赴任。マチューは悪ガキどもにコーラスを教え、子供たちはすくすく成長、という「文部科学省特別選定」にふさわしい作品でございます。
映画の冒頭、高名な指揮者ジャック・ペラン(『ニューシネマ・パラダイス』の成長したトト)が母親の訃報に接して里帰り、小学校時代の同級生が訪ねてきて、恩師の日記を受け取り、卒然と子供時代を回想する…って、『ニューシネマ・パラダイス』と同じやん! とまずツッコミを入れました。ジャック・ペランは[過去を回想するオジサン]役では第一人者と言えましょう。
お話はおおむね、観客大多数の予想通りの展開を見せます。少々ネタバレですが、マチューは「私の人生は挫折続きで、舎監にまで落ちぶれちまった…」とぼやきながら赴任し、痛切な挫折感を味わったまま去っていくところとか、転校してきた悪ガキは、結局、悪ガキのまま、というあたりにはスキッとしない、リアル感あり。また、マチューはモランジュ少年に天賦の才を見出しますが、少年の母親にホの字で、少々(だいぶ?)依怙贔屓してしまう…というところも、下世話な感じでよいですね。
教師マチューが学校を去る時、×××(自粛)が飛んできます。「全部ひろえよ!」とツッコミを入れたのは私だけでしょうか? いや、そんなことはどうでもよくて、厳格な校長と大甘のマチューの対立など、お話は図式的ですが、フランスには[子供さん大暴れ]映画に『新学期 操行ゼロ』(1933 ジャン・ヴィゴ監督)、『トリュフォーの思春期』(1976)など伝統あり、…ってそれもどうでもよいのですけど、少年たちそれぞれキャラ立ち、いきいきとした表情、コーラスの歌声もバチグンに素晴らしく、私は茫然と感動しました……と言いたいところですが、お話が図式的にすんなり進みすぎの感あり、少年たちはコーラスにすんなり熱中しすぎ、マチュー先生はあっさり振られ、すんなりあきらめすぎ、学校をすんなり去り過ぎ、そこでガッツを見せないからチミは挫折続きの人生なんじゃぞ、って私、何様のつもりでありましょう?
図式的なお話とはいえ、コーラスの歌声は聴きごたえあり、マチュー先生=ジェラール・ジュニョ、少年たちもすこぶる好演、オススメです。
☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2005-Apr-18;