「ナショナル・トレジャー」蛇足
昨日の続き。
『ナショナル・トレジャー』とは、「国宝」。
この作品は、アメリカにとっての「国の宝」とは何か? を探し求める物語であり、そしてそれは「建国の精神」である! ババーン! …というお話。
ニコラス・ケイジは、自分がいざ盗み出さんとす[アメリカ独立宣言書]の一部を読み上げます。それはだいたい、以下の内容だったと思います(うろ覚え)。
その正当な権力は被統治者の同意に基づいている.いかなる形態であれ政府がこれらの目的にとって破壊的となるときには,それを改めまたは廃止し,新たな政府を設立し,人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方でその政府の基礎を据え,その権力を組織することは,人民の権利である (アメリカ独立宣言・全訳 http://www.h4.dion.ne.jp/˜room4me/america/declar.htm)
これすなわち[人民による革命権]を認める文言。かのカール・マルクスも激賞したらしい急進的・革命的な文言で、ニコラス・ケイジが、わざわざこの一文を読み上げたところに意味がある、と私は見ました。
ニコラス・ケイジと旅の仲間は、お宝を探す過程で、アメリカ建国の史蹟巡りをします。あいまあいまに、「ウォール街には、元々対イギリス艦隊のための防壁(wall)があったのだ」「夏時間(サマータイム)を考案したのはフランクリン」…などなど、トリヴィアが散りばめられ、舞台・小道具もアメリカ建国にまつわるものばかり、映画は、アメリカ建国の記憶を呼び起こさせるものとなっています。
そして結末、テンプル騎士団のお宝は、一国の王が独り占めするには莫大過ぎる、世界の共有財産にするべきだ…というお話。
つまるところ、今こそアメリカは建国の精神をよみがえらせなければならず、また、現在、超大国アメリカは世界の富を占有しようとしているけれど、それは一国が独り占めすべきではない! …と、この映画の作り手は訴えているのである。…かもしれません。
現ブッシュ政権は、正統な権力といえるのか? アメリカ建国の精神を完全に忘れているのでは? かつてアメリカはイギリスの横暴と戦ったけれども、今やイギリス以上の帝国となって、世界諸国民に大迷惑を与えているではないですか?
- 平時において我らのうちに,我らの立法府の同意なく常備軍を駐留させた
- 我らのうちに大規模な軍を宿営させる
- その兵がこれら諸邦の住民に対して殺人を犯しても,みせかけばかりの裁判をすることによって処罰を免れさせる
- 我らの同意なく我らに税を課する
(アメリカ独立宣言・全訳 http://www.h4.dion.ne.jp/˜room4me/america/declar.htm)
…[アメリカ独立宣言書]に描写されている、当時のイギリスの横暴ぶりは、今日のアメリカと、アメリカのご機嫌をうかがう日本の政府にもあてはまる…と私は一人ごちました。
そんなことはどうでもよくて、謎を解きながら、ニコラス・ケイジのガイド付きでアメリカ建国ツアーが楽しめますし、出番は少ないもののハーヴェイ・カイテル、ジョン・ヴォイトも好演、バチグンのオススメです。
☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2005-Apr-12;