ナショナル・トレジャー
目覚めよ!! 歴史を揺るがす《伝説の秘宝》。ババーン! ニコラス・ケイジ主演の現代宝探し物語ですが、何をおいても日ハム・新庄剛志氏が宣伝プロデューサーに就任したことで話題騒然・沸騰、中国では大規模な反日デモを引き起こした……ってそれは関係ない。
閑話休題。ジェリー・ブラッカイマー、といえば、汗くさいド派手なアクション、乱暴な脚本、美女がウハウハ登場することも…、と、低脳な貧乏労働者の私にピッタリの作品を続々くり出す名物プロデューサー、『パイレーツ・オブ・カリビアン』も娯楽映画の王道でそこそこ面白かったのですが、今回の『ナショナル・トレジャー』、近年まれに見る面白さの娯楽映画でございます。
オープニングは少々眠いのですが、ネタバレですけど、「宝の地図は[アメリカ独立宣言書]にあり!」…というあたりから物語が疾走、クライマックスのクリフハンガーアクションは少々もたつきますけど、ちょっと江戸川乱歩やコナン・ドイル風の、暗号解読・奇談風味あり、映画用オリジナルとはにわかには信じがたい、情報量の多いお話であれよあれよとお楽しみいただけるかと存じます。
真偽は定かでない陰謀論もあって、『陰謀のセオリー』がお好きな方ならバッチグー。脚本にはジム・カウフが加わっており、ジム・カウフといえば、『張り込み』(1987)、『ヒドゥン』(1987)、『ラッシュ・アワー』(1998)、『TAXI NY』(2004)…など傑作多数、どこまでがジム・カウフの功績かは不明なれど、バチグンに面白い脚本に仕上がっております。
独立宣言書、リバティ・ベルなどアメリカ建国にまつわる史蹟や、100ドル札など身近なアイテムに宝の手がかりが隠されているアイデアが気色よいし、宝探しはアメリカ建国ツアーの様相を呈し、観光客がウロウロしている横で、丁々発止のお宝争奪戦がこぢんまりと行われている、というのもアホっぽくて最高です。
ニコラス・ケイジが[いかに手がかりをゲットしていくか/それがどのように邪魔されるか]にトンチがひねられているのも私好み。ネタバレですが、見事[独立宣言書]をゲットしたニコラス、みやげ物屋に逃げ込んで、…などのギャグが秀逸、しかもそこでクレジットカードを使ったために、FBIに身元が割れてしまう…という、伏線の張り具合・話の広げ方がグッジョブ(Good Job)。また、謎を解いてお役ご免になったアイテムが、後ほど必要になってくる…というあたり、特に「050407-2 050325-8 041112-6」(ネタバレ自粛。暗号にしてみました)の使い方の見事さに、背筋が寒くなる快感を味わったのでした。
なんでも企画自体は5年前から進められ、その間に[独立宣言書]を保管する公文書館のセキュリティシステムがどんどんアップデートされるので、たび重なる脚本の書き直しを余儀なくされたとか。そのおかげか、前半の展開が練りに練られた感じ、[ワシントンの選挙バッジ]を使ったトリックもエレガントでございます。
公文書館の管理責任者がなぜか金髪美女、ニコラス・ケイジと対立しながらも共犯関係を結び…というロマンチックな展開も、お約束とはいえ『或る夜の出来事』(1934)なんかを彷彿とさせる王道であり、この辺のラブコメ演出はジョン・タートルトーブ監督にとっては、快作『あなたが寝てる間に…』で実績のあるところ。
ちなみにタートルトーブ監督は、ジャマイカンがボブスレーに挑戦する実話の映画化『クール・ランニング』、『あなたが寝てる間に…』と立て続けに傑作をくりだし、「なかなかヤル奴かも?」と思わせて『フェノミナン』『キッズ』(ブルース・ウィリス主演)で脱力させてくれた監督さん。今回は大ホームラン。
またこの『ナショナル・トレジャー』は、「娯楽映画の傑作は、同時に政治映画の傑作である」という私の定理(妄想)を証明する実例でもあります。…長くなりそうなので、明日に続く。…って続きはどうでもよくて、バチグンのオススメです。
☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2005-Apr-11;