ハッピーフライト
アテンション・プリーズ! 目指すはテッペン、ファーストクラス。ババーン! アメリカ南部、生まれ育った街を一度も出たことなしグウェネス・パルトロウは、失恋して途方に暮れ、たまたま見たテレヴィでカリスマ・スチュワーデス=キャンディス・バーゲン曰く「人は、誰でもなりたい自分を想像し努力すれば、夢はきっと叶う!」、その言葉にコロリやられて「よし! スチュワーデスになってやる!」と一念発起、夢を叶えるまでを描く、たいそうベタなお話です。
グウェネスが夢見るのは「ニューヨーク発パリ行き、国際線、ファーストクラス」のスチュワーデスになること、諸外国から野蛮人と見なされるアメリカ人が、花のヨーロッパでグッチやシャネルなどハイソサエティなブランド品を買いあさって、「やっぱりお金を持っているアメリカさんにはかないまへんな、あっはっは」と言わせてやりたい思い知らせたいみたいな? イケイケドンドンなアメリカン・ドリームをかなえるため奮闘、『恋は邪魔者』を彷彿とさせる、ミッドセンチュリーのアメリカンドリームを描くのであった。
何でも 2000 年に撮影された映画で、見習いスチュワーデス=グウェネスが、初フライトで恐怖にうろたえまくって、乗客も青ざめまくるという、2001 年同時多発テロが起こってタイムリーにもほどがある描写があって、公開が見送られていた作品のようです。
ですので、安手のメロドラマっぽく、ズラしたところを狙った作品が、さらにズレまくりで、賞味期限ギリギリの素材を使って映画を作ったら、公開が延期されて腐っちゃったけれども、とりあえず公開しとけ! って感じ、監督はブラジル出身ブルーノ・バレット、『NY 殺人捜査線』(未見)の人ですが、腹の底でアメリカ人を小馬鹿にしているのでは? みたいな批評的な視点があって好感が持てます。アメリカン・ドリームを語りながら、アメリカン・ドリームが完全に死んでしまったことを感じさせる、不思議な映画なのであった。
オースティン・パワーズことマイク・マイヤーズが、スチュワーデス学校(というか、フライトアテンダント学校)の教官役で登場、この人、優秀なのに“斜視”のため地上勤務をしているという設定で、部屋に飾られたセレブとの記念写真は、ピーター・フォーク、マーティ・フェルドマンが写っていたり(もう一人は見逃し)、とか、『大空港』『エアポート '75』など「エアポートシリーズ」のジョージ・ケネディが一瞬、特別出演しているのも見逃せません。って、どうでもよい。
とりあえず、グウェネス・パルトロウのむちむち水着姿が見どころ、オススメです。
☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)