タイムライン
「超頭脳」マイケル・クライトンが仕掛けた想像を絶する驚異の SF 超大作! バババーン! 14 世紀に取り残された教授を救え! 教授の教え子数名と、息子ポール・ウォーカー (『ワイルド・スピード』の爆走兄ちゃん) が、密かに開発されていたタイムマシンで中世、英仏百年戦争のまっただ中にターイムトラベル! …想像を絶するツッコミどころ満載ぶりでした。
以下、ネタバレしまくりですので未見の方は絶対読まないでください。
まず、フランソワ君が想像を絶してました。教え子フランソワ君、「行きたくない! 行きたくない!」とゴネていたのに「お前が必要なんだ!」と無理矢理中世へ。たどりついたのはイギリスとフランスの激戦地帯。教え子ご一行は、『グーニーズ』よろしく逃げ回っていたもののイギリス軍に捕まってしまい、尋問を受けます。
イギリス兵「…名前は?」
フランソワ君、正直に、「……フ、フ、フランソワ。」
イギリス兵「フランス人かよ!!」たたっ斬って殺してしまう! …哀れフランソワ君、無理矢理連れて行かれて、捨てキャラとして死ぬ運命とは…。なるほど、あんなにゴネたのも無理ないですね。っていうか、無理強いした他の教え子、まるで無反省です。中世に対比して、現代人のドライさが鋭くあぶり出されるのであった。
さてご一行、イギリス軍によって屋根裏部屋に監禁されます。そこでポール・ウォーカー、
「待て! 待て! 待て待て待て待て待て待て! 慌てるな! 俺たちは 650 年文明が進んだ未来から来ているんだ! 頭を使えば必ず脱出できるはずだ!」
…おおーっと、いきなり現代人のトンチ能力が試される瞬間です。ポック、ポック、ポック、チーン! と見出した脱出法は…ワラ葺き屋根の、ワラをむんずと広げて屋根づたいに逃げるというものであった。…ってワラ広げるだけかよ!! 中世の人もこんな脱出法があるとは想像を絶してたのでしょう。
さらに、これまで「タイムマシンもの」といえば、過去を変えると現代にどんな影響を与えるかわからない、結局タイムトラベルしないかもしれない? …みたいな、頭の痛くなるパラドックスを防ぐため、「できるだけ過去を変えないようにする」というのが鉄則・定石ですが、今回、教授の教え子たちは 14 世紀の兵士を殺しまくる! …現代で、兵士の子孫が数百人規模で消失してやしまいか? と冷や冷やです。
しかし、教え子フランシス・オコナー、「…人を殺してしまったわ…」と浮かない表情です。さすがヒロインです。「…一生消えないトラウマになっちゃう…」って、心の傷の心配かよ! って F ・オコナー、その直後に襲いかかってきたイギリス兵の側頭部を、直径 15 cm 大の石で思いっきりよく強打するという、想像を絶する切替の早さを見せます。さすがヒロイン。
さて、イギリス軍陣地を脱出した一行はちりじりに逃げます。ここでの「想像絶し屋さん」は、助教授ジェラルド・バトラー。捕虜になっていたフランス娘と一緒に、命からがら川下りしながら曰く「…キミ、結婚してるの?」 って、口説いてる場合かよ!
そもそも君ら緊張感無さ過ぎ! 「6 時間たったら現代に戻れなくなる」という設定を忘れているんと違う? もう、周囲は暗くなってきているぞ! のんびりし過ぎですよ! と、観客は想像を絶する不安とサスペンスに叩き込まれたのでした。
ところで「現代人が、中世に迷い込む」作品として、みなさんはまず傑作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』を想起されるでしょう。原作マイケル・クライトン+監督リチャード・ドナーもクレヨンしんちゃんに敬意を払って、クライマックスは城の大攻防戦となります。
想像を絶して、この戦闘スペクタクルだけで製作費を使い果たしたのとちゃうか? と思える大迫力です。燃える巨岩をバオオォーーォン! っと投石機が放つシーンはかなりカッコいいです。夜空を焦がして、燃える火矢が飛び交うシーンを見て、「途中で劇場を出なくてよかった…」と一人ごちること請けあいです。
さて、籠城側イギリス軍、火矢を放ってもフランス軍に楯で受けられ、いまいち効果が薄い。そこで英軍司令官、「ふふふふふふ。そろそろ新兵器の出番だな。『夜矢(Night Arrow)』を放て!」…新兵器の「夜矢」とは? …なんと「火矢」の、火を点けないバージョンです。「夜矢」恐るべし。…って、普通の弓矢かよ!!
わーわーきゃーきゃー城の攻防戦は乱戦気味、ふとポール・ウォーカー気づいて、「おい! 急げ! あと 1 分で現代に戻れなくなるぞ!!」っていきなり 1 分前かよ!!
過去から現代へターイムトラベル! 今回のタイムマシンは、量子論、ワームホール理論を駆使した「DNA ファックス」方式、ご存知 ILM の想像を絶する SFX が炸裂します。って、ほっぺたプルプルさせるだけかよ! 強風あててるだけかよ!
『ホーンティング』以来の度はずれた、というか底抜け超大作、今見ておかないと、一生見る気が起きないこと必至、お見逃しなく。オススメ。
☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABAOriginal: 2003-Jan-18;