グッバイ・レーニン
東ドイツ崩壊の前夜。主人公アレックスはデモに参加したため警察に捕まってしまいます。それを目撃してしまった熱烈な愛国主義者の母親は心臓発作起し昏睡状態にアレックスは看護の為病院に通い、8 ヶ月の時を経て母も目を覚まし一件落着めでたしめでたし。なわけもなく、医師に「次ショックを与えたら命はない」と告げられショック! 母が昏睡している間にベルリンの壁は崩壊、ドイツは統一されており、これがバレたらやばいってなわけで必死の隠蔽工作に走ります。
とにかく西のものを徹底的に隠せということで、母親が「ピクルスが食べたいわぁ」と言えばごみ箱から東時代のピクルスの瓶を探して、今の製品を詰め込み、「テレビが見たいわぁ」と言えばロバート・カーライル似の映画ヲタクに頼んで偽のニュースをでっちあげる。ヲタク曰く東自体のニュースはワンパターンだから簡単らしいですが、普通ニュースなんてどこの国もワンパターンなもののような気がします。まあいいですけど。
問題は他にもあって、まず姉。これがまたどうしようもなく我儘で事あるごとに文句を言う。家では東時代の服を着ろと渡せば「え〜、こんなダサい服きるのぉ?」、忙しいのが分かっていながら子供が出来たから「もっと広いうちに引っ越すわ〜」と、もうちょっと協力せんかい! そしてお母さん、ちょっと立てるようになったからって、勝手に外を出歩かないで下さい! え? 問題だらけの西側文化が入ってきてる? あはは、あれは西側の人たちが東ドイツに逃げてきてるんですよ。あたりまえじゃないですか、東ドイツマンセー! って、なんだかヤケクソじみてきました。
主人公自身も途中で気付くのですが、もともとは母の為にやっていたことが、気が付けば自分の為のものでもあるようになり、偽ニュースで放送される内容は自分がこうであって欲しいと思う東ドイツ像を呈してきます。しかし彼の描く祖国はいきあたりばったりで観客は爆笑の連続、結局母にも気付かれ、いつツっこまれるのかハラハラして見ることになるのですが、…まあこの先は劇場で見てください。
そうそう、物語のなかで 90 年イタリアワールドカップについて触れられているのですが、このワールドカップで西ドイツは決勝でマラドーナ率いるアルゼンチンを下して優勝しており、この西ドイツの活躍がベルリンの壁がなくなった後も依然として存在した心の壁を融解する効果があったと語られるのが感動的です。サッカー最高! けどやっぱりワールドカップってタイミング良過ぎ! と、ワールドカップの胡散臭さを再確認したのでした。というわけでサッカー好きにはオススメです。たぶん。
☆☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)
オイシン Original: 2004-apr-8