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 Movie Review 2003・11月19日(WED.)

デブラ・ウィンガー
を探して

公式サイト: http://www.debra.jp/

『愛と青春の旅立ち』(82)、『愛と追憶の日々』(83)、80 年代に大活躍の美人演技派女優デブラ・ウィンガーを、『ベイビー・イッツ・ユー』(83)『マドンナのスーザンを探して』(85)と、これまた 80 年代女優ロザンナ・アークェットが探すとは、これいかなるお話であろうか!? ワクワクで鑑賞に臨んだのですが、ドキュメンタリーでした。(それくらい知ってから見に行けって?)

 D ・ウィンガー、最近見かけないですね、と一人ごちていたら、いつの間にか引退されていたのでした。R ・アークェットは常々、女優業と家庭の両立に悩み、解決の糸口をつかむためか、セラピーのためか、インタビューを開始、多くの女優は色々悩みを抱えながらも仕事を続けており、しかしどないしても女優は若いときが華、一方、バネッサ・レッドグレーヴやメリル・ストリープは歳を重ねていい仕事してますね、では家庭優先で引退しちゃった D ・ウィンガー、ジェーン・フォンダの心境やいかに? と、カメラ片手にロザンナ突撃インタビュー! バババーン!

 ロザンナの人徳でしょうか、それとも女優さんたちにもストレスが貯まりまくっていたのでしょうか、「私にも言わせろ!」と綺羅星のごとくスターが大挙出演、素顔の本音トークの数々が面白い……と言いたいところですが、ロザンナ監督の編集がアレなのか、インタビュアーとしての資質がアレなのか、オバサン女優が似たような話をグチグチグチグチと愚痴りまくっていい加減飽きてきますが、おお! こんな人も素顔で出演! と続々登場しますので見飽きません。

 本来、ロザンナ監督が女優の告白の傾向を整理、分類、より深い分析を加えておれば面白いものになった、と思うのですけど、ロザンナ自身も悩み多き女優、冷静に分析する余裕はなく、というか、女優の悩みは「家庭を持ちながら働く女性」一般に共通するもの、先日見た『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』と同じですね、すなわち働く女性すべての共感を得ながら、女優の権利向上をめざし「立て! 万国の女優諸君」とアジテートするプロテスト・ムーヴィーとなっております。

 女優自身が女優にインタビューするので、女優に対する幻想はなく、「女優は奇麗に撮らなくちゃ」みたいな規制が働かず、素顔の女優がホントに素顔で大挙出演、素顔っぷりにもほどがある素顔を目の当たりにして幻滅…というか、逆に、デジタルヴィデオの映像ではそこら辺にナンボでもいそうな女性が、ひとたびスクリーンに映し出されるやオーラを発するのですから、女優は偉大というか、映画の撮影テクニックはたいしたものだなあ、と一人ごちたのでした。素顔でも、ムワーンムワーンとオーラを発するウーピー・ゴールドバーグはさすがですね。

 さてインタビューから明らかになるのは、人気なんて、水物なのですけど、やはり女優はクリエイターであり、職人であり、プロであり、人気に左右されない「実力」というものが厳然と存在していることであった。また、女優同士、役を取り合ってケンケンガクガクのゴシップばかり喧伝されますが、(多くの)女優は、同じ職業で頑張る者同士の連帯感で結ばれており、実力ある女優をリスペクトすることに何らためらいなし、など、今までスクリーンで描かれなかった女優の本質が浮かび上がり、私は、女優さんをもっと尊敬しなければいけませんね、と一人ごちたのでした。って私、単純ですね。というか、これすなわち「女優=神話装置」メカニズムの終焉なのである。ってワケわかりません。

 スクリーンでは描かれなかった女優の本音を聞けるのがワクワク、……って、登場するのは 80 年代に活躍した女優さんがほとんど、最近旬の女優さんはあまり登場しませんので、昔からの映画好きの方にオススメです。

☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-nov-19;

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