山猫は眠らない 2
−狙撃手の掟ー
[SNIPER 2]
トム・ベレンジャー主演『山猫は眠らない』続編が、なんと 11 年ぶりに製作され、まさかまさかの劇場公開! ババーン! 前作はペルー出身ルイス・リョサ監督(『スペシャリスト』『アナコンダ』とか)で、お安く作られてましたが、ジャングルに潜む狙撃兵に完全密着、銃器や、狙撃の過程を克明・丁寧に描き、丁寧すぎてダーンと飛んでいく銃弾まで映像化して大笑い、というか、銃弾が銃声より先に飛んでくるリアリズムにビックリ仰天し、ミリタリーマニアは涙、涙、大喜びの隠れた傑作でしたが、今回監督はグレイグ・R ・バクスレーってよく知らない人、脚本はユルユルの『S.W.A.T.』原案を考えた人、前作の美徳であった、マニアックな狙撃描写は稀薄、普通の政治映画になっております。
ベレンジャー今回の任務は、黒人兵ボキーム・ウッドバインとセルビアに潜入、民族浄化を進めている将軍を狙撃・暗殺するというもの。ベレンジャーは、色々文句を垂れながらも CIA 手先の役目を務めます。
ベレンジャーは、狙撃中、一瞬目がくらみ寄る年波には勝てないか? と思わせつつも見事任務に成功。この狙撃シーンはさすがにカッコよく、この作品が『山猫は眠らない』続編であることを思い起こさせるのですが、それは一瞬。
任務遂行後、黒人兵ボキームはセルビア軍にあっさりつかまってしまい、ベレンジャーは、救出作戦を計画します。狙撃のお膳立てをした「現地の反政府勢力」女性に、「腕利きを集めてくれ!」と依頼、集まったのは…たった 2 人! しかも女性の身内! ふむ。「軍事独裁に反対する反政府勢力/民主主義勢力」も、結構しょぼいものなんですね。結局アメリカが他国に内政干渉するための道具、つまるところこの作品は、「世界の民主主義を守れ」と、アメリカ帝国が他国の主権をふみにじるパターンの内実を暴いており、ネオコン世界戦略を批判する作品なのであった。ってよくわかりませんが、兵士は、汚い任務に従事させられ、犠牲になっている、とそういうことでした。
そんなことはどうでもよく、一作目は面白かったなあ、最近は面白い「続編」が多いので忘れがちですが、そもそも続編とは、つまらないのが当たり前、腹も立ちません。ハッハッハ。と、いうか、ドッカンドッカン爆発シーンがなくても、立派にアクションが成り立つことを証明したのが、前作の心意気なのです。それを踏みにじるのは、やめていただきたいな、プンスカ! と一人ごちたのでした。ベレンジャー、古いライフルを手にし「ふむ、これはモーゼルの KAR98 、古いがバランスのいい銃だ」みたいなセリフにガーンと感銘を受けるマニアの方にはオススメ、かも。
☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2003-nov-12;