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前作以降、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、ファムケ・ヤンセン、アンナ・パキン、イアン・マッケラン、パトリック・スチュアート、彼・彼女たちは順調にキャリアを重ね、そういうランクアップしたスター俳優が再び集結! おまけに新キャラでアラン・カミングも出てるぞ! ババーン! 製作費に占めるギャラの割合がさぞ高くなったと存じますが、そんなことはどうでもよく、黒人、エイズ、ゲイセクシャルなど被差別者のイメージを「X- メン」に重ねた前作に負けず劣らず、第二作も政治的なのでした。
瞬間移動ミュータントがホワイトハウスを襲撃。ギリギリのところで大統領は助かるですが、これまでミュータント対策に及び腰だった大統領は、「ミュータント殲滅作戦」にゴーサインを出します。すわ全ミュータントの一大事と、前作では、「平和主義 VS 武装闘争」の路線の違いで対立した、「X- メン」と「マグニートー」に共闘関係が生まれます。支配者白人どもと壮絶な闘いが繰り広げられる! ババーン! …と、いう具合、冒頭のホワイトハウス襲撃は 9 ・11 同時多発テロを思わせ、アメリカがイラク攻撃に突き進んだ時期に製作された今作は、アメリカ帝国に対抗するために、被差別民族の団結を呼びかけているのであった。
前作での悪役マグニートーが、今回は善玉に協力し、キャラがビビビッと立っております。幽閉されていたマグニートーが白昼堂々悠々脱走するシーンは、かなりカッコいいですね。マグニートーのみならず、他のキャラも様々な矛盾を抱える存在として陰影を増しております。ミュータント同士の恋の鞘当てもキッチリ描きこまれ、そうなりますと手に汗握らざるを得ない。って、やっぱり CG 使い過ぎで、CG 苦手な私はアクションシーンで眠くなっちゃいましたが。
それはともかく、今回新たに、「ユリコ」という日本人ミュータントが登場するんですが…なんと、こいつはミュータントのくせに、白人の手先になって、ミュータント共闘軍と戦うんですね。…うーん、やっぱり日本はアメリカの手先なのか、と私は呆然と一人ごちたのでした。尻尾がはえてて悪魔みたいな新キャラがドイツ人だったりするのも面白いですね。
まあ、そんなことはどうでもよく、若干ネタバレですけど、大統領を追いつめ、ヒュー・ジャックマンは言います。「I will be watching you」(だったかな?)。字幕では「見守ってるぜ」…?? 英語に堪能でない私が言うのも何ですけど、「俺たち X- メンは、お前をずっと監視しているぞ、おかしな素振りを見せたらただじゃおかないぜ」との脅しの言葉だと思うのですよ。字幕は戸田奈津子氏で、戸田氏にとっての「X- メン」とは、大統領を見守る存在なのでしょうね。一本の映画でも、人によって見方がまるで違って驚くことがありますが、映画を見ながら同時に、他者の異なる見解を知ることができる戸田氏の字幕はなかなかにありがたいものですね。
それはともかく、前作に引き続き、ティム・バートン『バットマン』シリーズ同様、ヒーローたちをフリークっぽくダークな印象で描くブライアン・シンガーの演出もカッコいいのでオススメです。って今から『X- メン 3』が楽しみなのであり、CG はなくていいから、半年に一本くらいのペースでシリーズ製作していただきたいところです。
☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2003-May-9;- 関連記事
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「X-メン 2」