アイ・スパイ
さてこの作品の名誉宣伝部長に任命されたのは、鈴木宗男氏の元秘書、ムルアカ氏だ! ババーン! って、えらいこっちゃえらいこっちゃ、なのですが、盗まれた新型ステルス戦闘機を奪い返すため、エディ・マーフィとオーウェン・ウィルソン(『シャンハイ・ヌーン』の白人)がブタペストで大暴れ! ババーン! というお話。
さて、エディ・マーフィは 37 戦負け無しのボクシング世界チャンピオンという設定、しかしなぜ米国のスパイにならねばならぬのか、が、まずもって不明確です。
地位も名誉も金もある世界チャンピオンが、ステルス戦闘機ごときに命を賭けねばならぬのか? 大統領が、直々に電話でお願いしたからなんですけれど、そんなものなのでしょうか? 一応、なんでヘナチョコ白人の指図を受けなアカンねん、とゴネたりしますが、「スパイになれば、こんな秘密兵器が使えるよ!」とうまく懐柔されてしまいます。
さてボクシングのチャンピオンといえば、モハメド・アリであり、昨年公開された『アリ』が記憶に新しいところですが、ご存知のようにアリはベトナム徴兵を拒否、チャンピオンの資格を剥奪されてしまいます。『アリ』では、政府権力の言いなりになるな! 自らの人生を生きよ! と、熱いメッセージをクールに伝えたわけですが、対してこの『アイ・スパイ』、大統領にお願いされたなら、白人のコントロール下で国益のために一生懸命働け、とウソ臭いメッセージを伝えてきます。
ていうか、まったく諜報部員 O ・ウィルソンならびに、アメリカ大統領は何様のつもりでしょうかね。37 戦無敗のチャンピオンともなれば、本来 O ・ウィルソンが対等に口を聞くなどもってのほか。大統領も電話だけで依頼を行うのは失礼にあたるはずで、まったく白人様の傲慢ぶりには開いた口がふたがりません。
ところでファムケ・ヤンセンという美人女優が出てますので、E ・マーフィはファムケの関心を引くために頑張る、というならば、納得が行くのですよ。ところがあろうことか、E ・マーフィは、ファムケに気がある O ・ウィルソンに、黒人流アタックを伝授する始末です。どないなってんねん。E ・マーフィは黒人の魂(SOUL)を失ってしまったのでしょうか。
と、納得のいかないことばかりですので、ロマンチックな白人の方にオススメです。ってか、エディはもっと出演作を吟味せなアカン、と苦言を呈させていただく。オッホン。
☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2003-May-8;