X-メン 2
本日は映画の日。何を観にいかうかなあーと、しばし考へ、スカラ座に『X- メン 2』を観に行く。
さてこの作品、ババさんがレビューで何度も書いてゐるやうに、公民権運動華やかなりし 60 年代にアメリカで書かれたマンガが原作であり、人種問題が暗喩として基調をなしてゐる政治的な作品である。超能力を持つたミュータントたちは、人類を脅かす存在として、差別と迫害を受けてゐる。そこから様々な問題が生じる訳だが、今回は、大統領がミュータントに襲撃され、それを機に危機感を深めた人類(といふか、アメリカ政府)はミュータントたちの殲滅を決意する…といふ、911 以後の現代社会を暗喩したものとなつてゐる…と、これはすでにババさんのレビューにある通り。このやうな問題意識を持つて観ないと、この手の映画は面白さが半減、といふか、下手したら 9 割減ぐらゐすると思ふ。で、うーんと深読みしたれ! と気合ひをいれながら観たのだけれど…、いかんせん、ゆるい。そこまでの深読みが出来ないつくりである。まあ、鉄腕アトム程度かな? 『鉄腕アトム』におけるロボットも、この映画のミュータントと同様、被差別民(マイノリティ)を暗喩してゐるのは有名な話だけれど、所詮こども向けといふか何といふか、ゆるい作りで、そこまでの深読みはできない。それと同じかな。まあ、この映画も子供向けだし、仕方ないけれど。
「いや、あまり深読み出来るやうに作れば、目をつけられて、抹殺されるからですよ」
とはババさんの言。なるほど。さうかもしれません。CIA は怖いからね。私も、ゆるーい日記を書いて、ヘロヘロっと生き延びていくつもりですよ。サバイブせねば。
んー、まー、前作よりは、各人のキャラもたち、面白かつたのではないでせうか。個人的には、ハル・ベリーの活躍シーンが増えて満足。悪役のマグニートー一派も、すごく格好良くて、といふか、多分一番格好良くて、それも満足。監督のブライアン・シンガーも、『ユージョアル・サスペクツ』みたいな下らない映画を卒業したやうで、それも良かつた。ババさんの云ふ通り、このままガンガンこのシリーズを撮り続ければ凄く良いのではないでせうか。そして、ある時、素知らぬ顔をして、一発キツーい奴をシリーズ中に混ぜ込めば、素晴らしいと思ひます。
イーストウッドの新作、『ミスティック・リバー』が楽しみです。
小川顕太郎 Original:2003-Jun-3;- 関連記事
- レヴュー:2003・5月9日
「X 2」(BABA)