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 Movie Review 2003・5月7日(WED.)

リベリオン

 俺が世界を覆す! 『リベリオン』…とは、さっぱりわからない題名ですが、原題は“Equilibrium”=“平衡”…ってやっぱりよくわかりませんが、精神の平衡状態を指します。毎日決まった時間に精神安定剤を注射することが義務づけられた未来社会が舞台。21 世紀初頭の第三次大戦後、生き残った人類は、戦争を防ぐために、欲望・情熱・怒り・恐怖・愛情などの、「感情」を鈍らせることで平和を維持しようとしているのであった。ババーン!

『1984 年』と『華氏 451』を足したような世界ですが、『1984 年』では支配体制維持のため他国と戦争し続けているのに対し、この『リベリオン』では、平和のための全体主義というのが面白いですね。実際、戦争は行われていないようですし、戦争をしてイラクに劣化ウラン弾やクラスター爆弾を落とすくらいなら、感情抑制してもいいのでは? と申しましょうか。

 それはともかく主人公は、感情罪に違反した者を取り締まる「クラリック(聖職者)」と呼ばれる警察官(みたいなもの)です。感情の発露を促すものとして、音楽、絵画、ペットも禁止されており、主人公はペット罪取り締まりの現場で、子犬にうるうると見つめられ、「ううっ! 可愛い!!」と感情に身を委ねることの快楽を知ってしまいます。むむ。どこかで見たようなシチュエーション。「どうする? アイフル」の CM みたいですね。

 感情を取り締まる社会を悪として、主人公は支配体制に敢然と闘いを挑みます。しかし、感情を抑制させておけば、アイフルにお金を借りて借金返済に苦しむこともなく、他国に爆弾を落とすこともなくなるでしょうに。余計なお世話ですが。

 というか、主人公の敵役は、「クラリック」ナンバーワンの座をめざして権謀術策を弄し、主人公を罠にはめて「ニタリ」と笑ったりします。おい、お前も感情抑制剤を服用してるんと違うんか? 権力欲・上昇志向は取り締まりの対象にならんのか? とツッコミたい。要は、穴ボコだらけの杜撰な世界観であり、こういうド阿呆な SF 映画が、まともなツッコミが入らないまま製作されてしまうところに、現代アメリカ社会が抱える病根が看てとれるのではないでしょうか。って知らん。

 そんなことはどうでもよく、至近距離からの銃弾をかいくぐってバッタバッタと敵をなぎ倒すクリスチャン・ベールのアクションはなかなかカッコいいのでオススメです。弥生座での公開は終わってしまいましたが、ビデオででも見てくださいませ。

☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-May-7;

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