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 Movie Review 2003・7月17日(THU.)

ターミネーター3

公式サイト: http://www1.t3-jp.com/

 ダダン、ダダン、ダダン! アイム・バック! 12 年ぶりの『ターミネータ』シリーズ第 3 作、というより、『T2』の後に、ユニヴァーサル・スタジオのアトラクションで、『T2 / 3D』が作られてますので、厳密(?)には 4 作目なのである。そんなことはどうでもよくて、監督はジョナサン・モストウ! もうワクワクですね。って、ワクワクしてない人の方が多いと思いますけど、長編デビュー作『ブレーキ・ダウン』は、低予算ながら魅力的なトンチがあって意外と面白かったし、続く『U-571』は、ドイツ軍の暗号機「エニグマ」を盗み出すトンチ作戦を描いており、そう、J ・モストウは、「優れた映画監督の資質」=「トンチ」を持った監督なのであった。

 ジェームズ・キャメロンが作り上げた映画史に残る傑作シリーズの後を継ぐとは、無謀なのは承知の上、『ターミネーター』シリーズのどこがそんなに面白いのか? を研究しまくった脚本で、しかも的はずれに陥っておらず、さすが J ・モストウ! と私は胸をなで下ろしたのでした。

 そもそも、キャメロン監督の『ターミネーター』もトンチに溢れたシリーズでした。1 作目当時シュワルツネガーは、まだオーストリア訛が抜けず、満足な英語をしゃべることが出来ませんでした。ならば、と、ターミネーターのセリフを極力少なくし、吟味しまくったおかげで、個々のセリフにユーモアが生まれ、見事にシュワちゃんのキャラを確立することに成功したのであった。

 2 作目、すっかりお茶の間の人気者となったシュワちゃんを、冷酷な殺人マシーンとしてただ再登場させるのはいかがなものか? ということで、アッと驚くヒネリが加えられます。当時私は、キャメロンのトンチ・パワーに呆然と感動したものであった。

 そして今回『ターミネーター 3』、未来からの刺客と、暗殺を防ぐ任務を帯びた味方がやってきて、現代で対決する、というストーリーは 1 作目、2 作目を折衷したもので、ターミネーターが発するセリフのほとんどはお馴染みのものばかり、しかも『トワイライト・ゾーン』風の、奇妙な味わいのオチもあり、モストウ監督「自分の見たい『ターミネーター』を作った!」そうですけど、私の見たい『ターミネーター』でもある。というか、おふざけが過ぎてシュワちゃんがセルフ・パロディの域に達しているのが、意地悪なワタクシ向きでございます。

 今回の新機軸は、女性ターミネーター=通称「ターミ姉ちゃん」の登場で、今回はちゃんと骨格を持ってますので、2 作目とはまた違った「マシン同士の壮絶なバトル」が展開します。が、これも、例えばトイレを舞台にして行われたりして、頭を便器に突っ込むみたいな、「ふざけ過ぎ!」と思わずツッコミを入れたい感じ、真剣に闘ってるけど、どこか間抜けで、「素晴らしい!」と私は呆然と感動したのであった。

 ノリに乗って、悪ノリをエスカレートさせる J ・モストウ最高です。なんでも「映画は 2 時間以内に限る!」との主義の持ち主だそうで、1 作目にあって『T2』が失っていた、「ストーリーのタイトさ」を取り戻しております。キャメロン監督流の「観客の度肝を抜く、もの凄い映像」には欠けてますし、なんかつじつまの合わないところがある気がしますが、『ターミネーター』シリーズに思い入れのない方にはバチグンのオススメです。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Jul-17;

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