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 Movie Review 2003・7月15日(TUE.)

デッドコースター

 生き残るのは死んでも無理!! 『マトリックス・リローデッド』のアクション監督に大抜擢された新鋭監督が放つジェットコースター・ホラー『デッドコースター』! …とは、よくわからない題名ですが、原題は“Final Destination 2”…って、『ファイナル・デスティネーション』の続編じゃん! ババーン! ちっとも前作が話題にならなかったからか、宣伝では、続編なのが隠されておりますが、前作を見てないとよくわからないところもありますので、ご注意下さい。

 それはともかく前作は、予知によって、飛行機事故から命拾いした男女が、次から次へと死んでいく、彼らはそもそも死ぬ予定だったのに生き延びてしまったんだけど、死神はどこまでも追いかけていくよン、…というお話はどうでもよく、トリッキーな方法で人びとが死んでいく衝撃映像の数々を愛でるという、目眩がするほど阿呆、しかし好き者にはたまらない作品で、今回の続編はハイウェイでの自動車事故が発端、さらにパワーアップ、というか、フルスロットルです。やれやれですね。

 人が、ただただ残酷に死んでいくのを楽しむ映画は、やはり楽しめません。映画とは、道徳的、倫理的でなければ面白くないと思うのですよ。例えば『13 日の金曜日』でもたくさん人が死にますが、アレなんかはキャンプ地でイチャイチャする、道徳・倫理感を喪失した若者どもを、ストイックな殺人鬼が殺しまくるからスカッとするわけですね(しませんか?)

 この『ファイナル・デスティネーション』シリーズは、人びとが別に何か道徳的な罪を犯したわけでもないのに、次々と残酷に死んでいく、というのが新しいところですけど、そこから、クシシュトフ・キェシロフスキのように、人智を超える偶然の不可思議さを諦念とともにゴロリと投げ出したなら素敵な作品になったことでしょう。それをわあわあきゃあきゃあ、「死神は決してあきらめないわ!」「あそこで命拾いしたから、死ぬ順番が逆回りになったのよ!」「生まれる予定じゃなかった子どもが生まれたからもう大丈夫なのーー!」…と、わけのわからない世迷い言を並べていては駄目です。ビシッと、「そんな死ぬ順番など、存在しない!」と、科学的立場を貫くキャラが一人も登場しないのは、誠に気持ち悪いのでした。

 と、登場人物の反応は、非科学的/疑似科学的なものですが、死神や悪魔を画面に登場させず、淡々と、世界が死に満ちていることを描くデビッド・エリス監督の演出は、オーソドックスで好感が持てます。が、ここまでグロにしなくてもいいのになぁ、と思いました。

 眉をひそめつつも自動車事故シーンは『マトリックス・リローデッド』の 1 億倍の大迫力ですし、死にそうで死なず、ホッとしたら、死んじゃいそう、でも死ななくてやっぱり死んじゃった、という「殺人ショー」は、道徳・倫理感がマヒしている方ならお楽しみいただけると思いますよー。オススメ。

☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Jul-11;

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