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 Movie Review 2002・10月15日(TUE.)

ガウディ・
アフタヌーン

 バルセロナ在住のアメリカ人、カサンドラ(ジュディ・デイビス)のアパートへ、カリフォルニアからやって来た謎の美女フランキー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)が訪れる。「大金持ちの夫ベンが行方不明だったんだけどバルセロナにいるらしいのよ。あなた、翻訳者なんでスペイン語に堪能でしょ? 通訳として、ぜひ一緒に捜してくれまいか? 手付け金 1,000 ドル、成功報酬 2,000 ドルでどうかしら?」と持ちかけられ、家賃滞納気味のカサンドラ、一瞬の躊躇の後、依頼をうける。ガウディ建築の街バルセロナで素人探偵カサンドラの活躍が今始まる。ババーン!

 と、懸命なる読者は、「なんだなんだなんだ、観光地を舞台にミステリーといえば、藤田まことの『京都殺人案内』みたいなもんか?」と思われるでしょう。『京都殺人案内』の場合、観光名所をキチンと登場させ、京都的な風物がストーリーに取り入れられているのですが、この『ガウディ・アフタヌーン』の場合、ガウディ建築のいくつかが登場するとはいえ、ぞんざいな扱いなんですね。

 素人探偵カサンドラは、夫ベンの居所をつきとめます。それがなんと世界遺産「カサ・ミラ」という設定。いや、それはいいんですけど、ベンが住むのは、外観は「カサ・ミラ」、室内は「カサ・バトリョ」、屋上は「グエル邸」という具合に、バラバラに撮られたものが編集によってまとめられている。映画的な「ウソ」がつかれている。そんな別撮りは映画では当たり前ですが、有名建築でそれを行うのはいかがなものか? 京都でいうなら、外観は二条城、庭は大覚寺、室内は東映太秦映画村みたいなもの。…って、時代劇ではよくあることですね。

 いや、そうではなくて、仮にも「ガウディ」を題名に掲げるからには、ガウディ建築をただ「書き割り」のごとく扱ってはいけないと思うのです。『京都殺人案内』の場合は、まがりなりにも「京都」に対する思い入れが感じられるのですが、『ガウディ・アフタヌーン』にガウディに対するリスペクトはあるのか? と問いつめたい。

 ガウディとは関係のない、トランスジェンダーなお話が繰り広げられ、放浪者カサンドラが、異形の家族を目撃し、家庭の良さを知る、という結論ですが、わざわざバルセロナで撮ってる意味がない、…ってか、監督・スタッフ・キャストの方々、キミら、バルセロナに行きたかっただけとちゃうんかと問いつめたい。

 というか、我々はこの作品の出来具合から、映画の撮影なんかどうでもよくなってしまうバルセロナの面白さを、見て取るべきなのであろう。か? バルセロナの魅力というなら、ジャッキー・チェンの『スパルタン X』の方が 10100000 倍オススメです。

☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Jan-15;

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